地方の中小メーカーの新米デジタルマーケティング担当の猫山が、自社のメールマーケティングに奮闘した軌跡、ちょっとしたTipsを(多分)余す所なくドラマ化した物である。今回は、新米デジマ担当爆誕と苦悩の巻!
メールマーケティングをしろと言われましても……:松本編集長が伝授!デジタルマーケティングの極意(メール編 1)

この記事は…
(執筆:おりも みか/製造業ライター)
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
■登場人物

猫山(ねこやま):総務部の社会人2年目。お酒が強い。カフェや居酒屋巡りが趣味で、おいしいものと猫のブログを書いており、デジタル担当になった。

社長(富良座:ぷらざ):そろそろ老後のことが頭をよぎる60代。新しいアイデアを試すのがだいすき。無茶ぶりしがち。お酒がすき。

総務部長(根津海:ねづみ):50代前半。Web黎明期からのネットサーファー。カメラが趣味。ご当地美少女キャラクターを常にチェックしている。

松本さん:PlaBase編集長。デジタルマーケティングについて教えてくれる。
会社のデータ
会社名:株式会社ぷらぷら~ざ
所在地:石川県
概要:プラスチック製品製造会社。OEMも多いがオリジナル商品も開発・販売している。社内に金型・成形工場がある。
社員数:約50名
プロローグ
株式会社ぷらぷら~ざは、石川県内にある中小企業で、プラスチック製品メーカーです。OEMが多いメーカーですが、自社のオリジナル商品も作っています。
ある日の夕方、ぷらぷら~ざの社長の富良座は、自分の席に座りPCの画面とにらめっこしていました。
15年くらいに知り合いの学生さんに作ってもらった自社のWebサイトをじっと見ながら、「うーん、あれ見ちゃうと、うちのホムペはどうも古くさく見えるんよ……」と、首をかしげています。
この日のお昼過ぎ、中小企業交流会で会った同業A社の社長が自社を見学しに来てくれたのですが、そのついでに自社商品のカッコいいWebサイトのことを自慢げに見せてくれたのです。
「A社さんのは、ページの上の方にあった社内の写真が、アルバムをめくるようにぱっぱとカッコよく切り替わったり、問い合わせフォームがページの横のあたりからスンッて出てきたり、すごいね。ああいうのはやっぱりお金かかるのかね?」
ふと、「今日の訪問者カウンター」を見てみると、「5人」。……「これ、自分と、おそらく自社の誰かなんじゃないかなぁ……」。富良座社長は、自社のWebサイトが意味があるものなのか、ふと気になりました。Webサイト経由の問い合わせも年に数回で、しかも怪しい営業メールがほとんどです。
「俺は10年もしたら引退するかもだけども、ぷらぷら~ざのみんなは、これからもずっとここで働いていくんだよ。新しいことしないとなぁ……。ひとまず、ホムペの作り直しとか。あ、メルマガもいいかもね」
ぷらぷら~ざは、昔かたぎで職人気質な社員が多いのです。富良座社長自身もそうです。今も、電子メールよりは、ファックスや手紙、電話を使ったコミュニケーションが多いです。社内に、Webサイトやメールマガジンを趣味で作っていそうな人は、〝あの人”以外にいなさそう。
「総務部長の根津海君かしら?」
富良座社長は、総務部長が昼休みに、自分のスマートフォンで美少女ゲームのキャラのページや、SNSの投稿を熱心に見ていたのを思い出しました。総務部の執務室を覗きこんで、総務部長に声を掛けてみると……。
「いやあ、僕、ネットサーフィン専門で、自分で発信はしないんです。炎上とか怖いし」

総務部長は面倒くさそうに答えつつ、自分の部下であり、部内の最年少である社員の名前を出し、執務室の奥に目配せします。
「猫山。ブログやってて、おしゃれな店とか、自分ちのネコとかの情報を発信しているんですよ。メルマガもできるっしょ。若いから、そういうの得意だろうし」――
社長室にて
猫山は、朝一番で富良座社長(以下、社長)に呼び出されました。
社長「猫山くん、君、ブログをやってるんだって?」
猫山「ええ、まぁ……でも何で知ってるんですか?」

社長「総務部長から聞いたよ。会社のホムペ、どう思う?」
猫山「社内の人には教えてないのにどうしてっ!? というか、当社のホームページですか。……うーん、普通だと思いますけど」
社長「訪問者数が伸びないんだよ。だからさ、君、メルマガやろう」
猫山「え!? 何をいきなり!メルマガ?私が?」
社長「だってさー、総務部長に聞いたら、君、メルマガできるって……」
猫山「何言ってるんですが!? できないし、作ったこともないですよ! それに私のブログ、昨日の訪問者数14人で、会社のホームページといい勝負ですが!」
社長「えー!そうなの!!」
社長は、びっくりして目を丸くしています。
社長「ま、いっか。何とかなるさ」
猫山「……」
――「ま、いっか」じゃねーよっ!!
猫山は、心の中で叫び声をあげます。
ぷらぷら~ざのデジタルマーケッター爆誕の瞬間
総務部の居室に戻ってくるなり、猫山は総務部長の席につかつかと向かっていきました。
猫山「ちょっと! 部長がメルマガやってくださいよ。そういうの詳しいんじゃないんですか!?」
総務部長「だめだよ。俺忙しいもん。……ほら、また廃プラゴミ箱の中にエラストマー入れてある。エラストマーはゴムだからだめだって言ってるのにぃ。……こういうのチェックしないといけないの」
猫山「こっちだって忙しいですよ! 私のブログは特定する暇あるくせにっ!」
総務部長「それは俺の趣味。だめだよー、あんな分かりやすい写真使ったら。それに、俺ネットはするけど、デジタルマーケティングは専門家じゃない」
猫山「私だって何も分かりませんが」
総務部長「だからー、これも勉強! 若いんだから。よーし、君は今日から、ぷらぷら~ざのデジタルマーケティング担当に任命しちゃおう! とりあえず『メルマガ 始め方』で調べてみてください」
猫山「んな、勝手な……」
もう、反論するのも面倒くさくなった猫山でした。
――「メルマガ」「始め方」……、どうせ予算はつけてもらえないだろうから、「無料」と……。
猫山は、自分の席のPCでブラウザを開いて、いろいろ検索してみました。
猫山「教えて検索エンジンさん! ……なるほど……よし……そうか……ふむ……分からないよぉ……」
ちょっと調べれば出てくるだろうと軽く考えていた猫山でしたが、甘かったようです。どうやら、「メルマガを簡単に配信する便利なツールがあるようだ」ということまでは分かり、いろいろな情報がとにかくたくさん出てくるのですが、あまりに分からないことが多すぎて、調べながら次々と疑問もわいてくるしで、検索沼にずぶずぶとはまってしまってしまいました。
猫山「どうしよう、これでは本業が回らない……。困ったぞ。これは自分一人では限界だ……。でも社内にはほかに教えてくれそうな人もいないし……。こうなったら、ネットの世界の世界に助けを求めよう……誰か……」
師匠との出合い
猫山はメルマガについて教えてくれそうな、親切そうな人を、Twitterで探してみることにしました。製造業界隈で、似た境遇の人がいたら……と思い、工場関係の人や、プラスチックのことをつぶやいている人を見て回っているうちに、ふと出てきたのが、このアカウントでした。

猫山「PlaBase? ああ、何度か見たことあるよ。材料の物性が無料で調べられるやつ。そういえば、たまにメルマガ飛んできてた!」
この人しかいないかも――、猫山は藁にもすがる思いで、自分のフォロワー20人のTwitterアカウントで松本編集長をフォローし、ダイレクトメッセージを送りました。
necco
「松本編集長。初めてご連絡差し上げます。大変恐縮ですが、メルマガについて教えて頂けませんでしょうか。北陸にあるメーカーに勤めていますが、当方、突然会社のデジタル担当になってしまい、大変困惑しております。まずは、私はいったい何をすべきなのか、教えていただけませんでしょうか」
PlaBase編集長 松本祐介
「いいですよ!」
あっさりOKの返事がきました。
――神!!! 神さまいたぁぁぁぁ!!!!(泣) 検索沼の底で疲れ果てていた猫山は、それ以上深く考えることなく、松本編集長に電話をかけてもいいか尋ねました。
電話にて
松本編集長「猫山さん、実はメルマガ、もとい『メールマーケティング』って奥が深いんです。なので、つまづいてしまったり活用しきれていない会社も多いんです。最初に精通している人に出会えるかどうかというのは大事なんですよ」
猫山「メールマーケティング……。そうなんですね。私も初手から詰むところでした…。まず、メルマガってどうやって送ればいいんですか? 上司からはとにかく『メルマガをやりなさい」と。ちょっと思ったのですが、 Gmailで、Bccにお客さんのメールアドレスを入力して送るのは、どうなんですか?」
松本編集長「あー、それ、やっちゃだめですよ。アカウントがスパム判定されて使用停止になるかも」
猫山「ですよね……。だから、メールが一斉送信できるツールがいろいろあるんですね。そこまでは、検索してたらいろいろ出てきたので」
松本編集長「そうそう。無料で試せるものもありますよ。ところで、HTMLって知っていますか?」
猫山「HTMLは、要は、Webサイトを作るときのプログラム、と、うっすら知っている程度でして」
松本編集長「そういうことですね。詳しくは後程説明しますが、メルマガでは、文字だけのテキストメールではなくて、画像がつけられるHTMLのメールが送れるものがいいですよ」
猫山「HTML……画像……。何だか、データが重くなりそうですけど、お客さんに読んでもらうにはデータは軽いほうが良くないですか?」
松本編集長「何メガもあるメールを送りつけるわけじゃないので大丈夫ですよ。それに、メールがどれだけ送れたのか、開封されたのか、クリックされたのか、後はどれくらい配信停止されたのか……といった情報は、HTMLメールでないとデータを収集できないんです。メールの配信結果を見て、どんどん改善していくというのがメルマガでは大切なことです。ですので、こうしたデータ――、『メールパフォーマンス』と言ったりしますが、そういったものが視覚的に分かりやすいものがいいと思います」
松本編集長「いろいろサービスはありますが、有名どころだと日本のツールだと『配配メール』ですね。アメリカ企業のツールですが、『ベンチマーク(Benchmark)』も有名です」

ベンチマークのUIの例 出典:動画一覧 - Benchmark Email
猫山「うーん、なるほど。分かったような、分からないような……すみません、 ひとまず、ブログ投稿みたいで簡単そうには見えるのですが、どこから手を付けたらいいのか全くイメージがわかず、面目ないです」
松本編集長「じゃあ次回は、とりあえずメールツールを一緒に使ってみましょう」
*猫山ノート*
・メルマガはメールツールを使用すべし
・送るメールはテキストメールではなく、HTMLメール!
・HTMLメールなら、メールパフォーマンスを視覚化できる
デジマの基本であるメールマガジンのことも「分かったような、分からないような」と、現状、かなり頼りなさげな新米デジマ担当・猫山。これからどうなる!? 今後の奮闘記をお楽しみに。
(次回へ続く)
>>>>連載「松本編集長が伝授!デジタルマーケティングの極意」一覧
監修者

松本祐介(まつもと ゆうすけ) 1979年生まれ。中学、高校、大学院と通算して8年間オーストラリアに滞在後、日本に帰国。バイリンガル。無類のコーヒー好きだったことからUCC上島珈琲に就職。その後、飲料原料の海外取引をメインに行う丸紅食料にて商社営業を経験。結婚して家族が増えたことを機に富山にIターン。化学品専門商社の江守商事に転職。ここで初めて合成樹脂・プラスチックに出会う。富山、シンガポール、上海、オランダで海外経験・ネットワークを構築して帰国。その後、2015年に三井化学に転職。スーパーエンプラという極めてニッチな商材を扱う。2017年から、金森産業の事業開発室に所属。化学品業界でのデジタルマーケティング支援を目的としたビジネスモデル「PlaBase ad」の事業推進に従事。
ライタープロフィール

おりも みか 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
Twitter ID:@jilljean0506
新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。Twitter ID:@jilljean0506

