第2回「サステナブル マテリアル展」レポート(前編)

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第2回「サステナブル マテリアル展(通称:SUSMA)」(会場:幕張メッセ)の出展企業の出展内容をレポートします(前編)

(執筆:小林 由美)

2022年12月7~9日に第2回「サステナブル マテリアル展(通称:SUSMA)」(会場:幕張メッセ)が開催されました。2021年初開催である新しい展示会ですが、前回と比較すると会場内の活気がより高まっているように感じられました。人の多さは、もちろん新型コロナワクチンの接種がだいぶ進んだことから移動制限が緩和されてきたこともあるのでしょうが、化学業界において「サステナブル」というテーマへの関心が確実に高まっているということの表れではないかと思います。実際、出展していた大手化学メーカーについてはいずれも経営計画の中で「2050年までのカーボンニュートラル」と「GHG 排出量削減」を掲げているような状況です。

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会場の様子

さて今回は、SUSMAより、PlaBase編集部が選んだ化学系企業7社の展示やサステナブルの取り組みについて、前編・後編で紹介します。

フードロス解決にガスバリアフィルムで貢献――三菱ケミカル

三菱ケミカルグループ(三菱ケミカル)は、同社が開発しているバイオマス素材や、環境保護に役立つ高機能素材の他、同社におけるグリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みについて紹介しました。

同社におけるサーキュラーエコノミーを支える取り組みテーマとしては、「バイオマス素材」「リサイクル」「生分解」「ステークホルダとの協業」「高機能素材」を掲げており、今回の展示内容もそれに準じていました。

同社が注目している社会課題の1つが、世界でもトップクラスとも言われてしまっている、日本のフードロス問題でした。この件、ACジャパンのテレビCM「おむすびころりん1億個」でも話題になりました。

同社では、フードロスを減らすためのアプローチの1つとして、包装(パッケージング)技術に着目しており、高機能素材と包装技術、いずれからも開発に取り組んでいるということです。例えば、真空状態の包装の外から、食品の劣化につながる空気の侵入を包装で防いで消費期限を延ばすなどです。それと合わせて、フィルム自身に空気を吸収する機能を持たせる技術も開発しています。そうすることで、パッキング後に食品にわずかに含まれる空気もフィルムで吸収できるということです。

高ガスバリア性を有するフィルム素材「テックバリア」では、その機能によりフードロス低減を支援すると共に、今後はそれ自身もモノマテリアル化(単一素材化)して循環社会に貢献していくということです。テックバリアは、湿気から守りたい乾物や菓子の包装にも有効な素材です。

同じく、「あらゆるガスに対して比類ないバリア性を有する」としているガスバリア系素材「ソアノール」(EVOH:エチレンビニルアルコール共重合体)、ガスバリア系の素材で開発中のものとして、エラストマー相当柔軟性と優れたガスバリア性、耐薬品性を有する高機能素材「新規アセチルポリマー」も展示しました。

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テックバリアのサンプル展示

水に溶けるマジックテープ――クラレ

クラレは、一般消費者からするとランドセルでよく使われている人工皮革「クラリーノ」や、面ファスナーの商標「マジックテープ」の主であることが有名ですね。

今回のSUSMA展では、開発中である水に溶けるマジックテープを披露していました。ちなみにマジックテープの微細なフープも射出成形で製作されています。用途はまだ模索中ということですが、1つ考えられるのが農業とのこと。苗を支柱に括り付ける際に使用するマジックテープとして利用し、苗が成長した後にも雨などで溶けてしまうので、廃棄に手間がかからないと共に、生分解性の素材を利用しているため土壌を汚染することもないということでした。ただし、水に溶けてしまうので、残念ながらアパレルや雑貨では使えないということになります。

さらに同社のジオール「クラレポリオール」のバイオマス材料版を展示していました。この製品は、ひまし油由来のセバシン酸を利用し、バイオ化率は約60%になっています。ウレタンの合成に利用する際には、バイオマス材料が高比率でありながら物性低下することなく、むしろ高まる傾向であり、耐熱性と耐加水分解性に優れているとのことです。

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クラレポリオールのサンプル展示

「富山の米」のもみ殻を使ったバイオプラに役立つ添加剤――理研ビタミン

理化学研究所(理研)を母体とする理研ビタミンは、テレビCMでのインパクトが大きい「ふえるわかめちゃん」や「マボ茄子」、ノンオイルドレッシングなど、食品のイメージが強いという方もいるかもしれません。そのような理研ビタミンが工業系の展示会にいる理由は、化成品改良剤を開発しているためです。同社の化成品改良剤は、食品製造から生まれた技術を工業用製品に応用したものです。食品にも使用されている成分などを用いるため、安全性が高いことが特色です。

今回のSUSMAで理研ビタミンは、PETをリサイクルしやすくする鎖延長剤を添加したマスターバッチ(着色剤)や、セルロースナノファイバーなどバイオマス材料に添加して強度向上ができる添加剤の新版「リケエイドKG」を披露しました。リケエイドKGでは、従来品の「リケエイドMG」の欠点ともいえる過剰添加での物性低下や耐衝撃性の低下が抑制されるということです。

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もみ殻コンパウンドのサンプル展示(リケエイドMG配合)

同社は富山県産業技術研究開発センターによるもみ殻を利用したバイオプラスチックの研究で、リケエイドMGが活用された事例も紹介しました。日本屈指の米どころでもある富山県で年間5.5万トン程度発生するもみ殻を利用しようという取り組みです。もみ殻はセルロースが含まれることはもちろん、二酸化ケイ素を豊富に含んでいる(20%前後)ことから、バイオマスプラスチック化した際の強度や耐熱性の確保が期待できるとのことです。同センターの実験によれば、PP自身の引っ張り弾性率が1200MPaであったところ、もみ殻を加えることで2500Mpaまで高まり、さらにリケエイドMGを3.5%添加することで3000Mpaまで高まることが分かったそうです。

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「リケンのわかめスープ」はJAXA (宇宙航空研究開発機構)から宇宙食認定されています。

コンパウンド素材でバイオマス原料への取り組み――リケンテクノス

リケンテクノスも、社名の通り、理研と関係する企業です。同社は、東京工業大学による塩化ビニル配合技術研究の成果を商業化するための理研ビニル工業が起源です。リケンテクノスの有名な製品の1つが、PVC(塩ビ)製ラップの「リケンラップ」ですね。家庭用としても使われていますが、しっかりと伸びて容器を密閉できることが特色なのでラーメンなどの汁物の出前でも活躍しています。

同社では、バイオマスコンパウンド素材の開発に取り組んでおり、2022年6月にはバイオプラスチックの新ブランド「RIKEBIO」を上市しており、展示でも紹介しました。同社が得意なPVCだけではなくTPEのコンパウンドやPEのオレフィンフィルムなどもあります。また同社のラップ製品などにもバイオマスの素材の採用をしようと開発を進めているとのことです。会場ではフードロス対応を支援する開発品の鮮度保持フィルムも展示しました。

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リケンテクノスの事例展示:中央のちょっと気になる製品は、なるべく早く上市したいそうです!(記事公開時点の情報)

本レポートは後編へ続きます。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。