第2回「サステナブル マテリアル展(通称:SUSMA)」(会場:幕張メッセ)の出展企業の出展内容をレポートします(後編)
第2回「サステナブル マテリアル展」レポート(後編)

この記事では…
(執筆:小林 由美)
前編に引き続き、第2回「サステナブル マテリアル展(SUSMA)」よりPlaBase編集部が選んだ化学系企業の展示やサステナブルの取り組みについて、紹介します。
明治創業のバイオマス素材メーカーのプラスチック添加剤――荒川化学
荒川化学は、天然樹脂ロジン(松やに)を主原料とする中間素材メーカーです。同社は1876年(明治9年)に創業してからずっとロジンを取り扱い続けており、バイオマス素材メーカーの老舗ともいえる存在です。ロジンは、紙のにじみ止め、印刷用インキ樹脂、接着剤樹脂などに活用されてきました。
今回のSUSMA展では、ロジン由来のプラスチック向け添加剤「PLAFIT」を展示しました。PLAFITはセルロースナノファイバーなど成形性で課題が出やすいバイオマスプラスチックに添加することで流動性を改善し、小型・薄肉な部品での成形性を向上させられるとのことです。そもそもロジン自身がバイオマス素材であるため、プラスチックのバイオマス化ではぴったりな添加剤といえそうです。PLAFITは加工温度が高いプラスチックにも適用できるということでした。
セルロースナノファイバーへの取り組みは、世の中のペーパレスの取り組みが向かい風になってしまっている製紙業界で積極的に進められています。荒川化学が長年取引をしてきたのも製紙業であるため、従来の顧客ともビジネスの相性がよいとのことです。

ロジン
ADEKA
古川グループの化学メーカーADEKAは、化学品と食品の2本柱の事業を展開します。化学品では半導体材料や化粧品原料、難燃剤など、食品系では食用油脂や業務用マーガリン(RISU BRAND)など、幅広いものを取り扱っています。
今回の展示で同社は、樹脂添加剤新ブランド「アデカシクロエイド」を披露しています。同社では、「バイオマスプラマーク」(JBPA)の取得を目指す顧客から、バイオマス原料の問い合わせが増加しており、それに対応するために開発したということです。アデカシクロエイドの展示も注目度が高いと説明担当の方が話していました。また、バイオマス材料の比率を増やしていくところで懸念されるのが製品色への影響や物性の低下であり、バイオマス製品としてバランスのよい特性を出すための開発に日々苦心しているそうです。
上記ブランドの1つである「アデカシクロエイド PNB-205」は、バイオマス度が95%のポリエステル系可塑剤で、日本有機資源協会のバイオマス商品認定も受けています。PVC(塩ビ)を柔らかくしてソフト塩ビを作るための可塑剤としてフタル酸エステルがよく使われます。それをアデカシクロエイド PNB-205に置き換えるとバイオマス化ができるだけではなく、耐油性や耐熱性が向上するということです。

PLA用可塑剤によるサンプル
材料メーカーです!!――電通プロモーションプラス
電通プロモーションプラスという社名からすると、ノベルティ(販促グッズ)などでプラスチック製品を利用する立場としてなのかと思いきや、今回は何と、材料メーカーとしての出展でした。同社は広告制作業という位置づけでありながら、ノベルティなどの実物をOEM契約工場で製造して納品するメーカーとしての機能も持つ、電通グループの企業の中でも珍しい存在です。
今回同社が展示したのが、同社が化学メーカーの協力の下で開発した100%植物由来のバイオプラスチック「PLANEO」です。こちらは植物由来のプラスチックであるPLA(ポリ乳酸)を添加剤で改質して、成形・加工性を改善した材料です。そしてこの添加剤も、樹木から抽出される多糖類由来なので、100%というわけです。また同社によれば、PLANEOの原材料製造時のLCAにより算出したCO2排出量は石油由来のPETと比較して7割削減できる(ウェイストボックス社による算出)とのこと。PLANEO製のものを廃棄する際の焼却時にはCO2が発生しますが、「原材料の植物が成長過程でCO2を吸収しつづけている」ということでカーボンニュートラルになります。電通プロモーションプラスは、同社の企画するノベルティで使用するのはもちろん、PLANEOの製造・販売元として立ち回って外販もしているということです。

PLANEOの成形サンプル:くしの細かい歯がショートせずきれいに成形されている。
今後もサステナブル素材の動向をキャッチ
本稿冒頭でも書きましたが、今回の展示会はまさに久々の活況感といったところでした。今回取材させていただいた各社でも、顧客から製品のバイオマス化などのサステナブル関係の問い合わせがこの1年くらいで増加しているとのこと。PlaBaseでも引き続き、このテーマの情報を積極的に追いかけていくことはもちろん、今後の誌上でバイオマス材料などを採用しているユーザー側の事情も紹介する機会が増えてくるなら幸いだと思います。
なお「第13回高機能素材Week」の「第5回塗料・塗装設備展(コーティングジャパン)」の取材レポートが、PlaBaseの姉妹サイトである「COATAZ(コーターズ)」に掲載されています。ぜひ併せてご覧ください。
続きは、動画で!
1月下旬より、松本編集長の突撃取材シリーズの動画を準備出来次第随時公開予定です。2023年1月中にCDケースのリサイクル事業を開始するブックオフなど、今回紹介しなかった企業を幾つか紹介予定です。楽しみにお待ちください。

ブックオフのペレット!?

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。
