地方の中小メーカーの新米デジタルマーケティング担当の猫山が、自社のメールマーケティングに奮闘した軌跡、ちょっとしたTipsを(多分)余す所なくドラマ化した物である。今回は、ペルソナを設定しようの巻! そして、新キャラ登場!?
ペルソナを設定しよう!:松本編集長が伝授!デジタルマーケティングの極意(メール編 4)

この記事は…
(執筆:おりも みか/製造業ライター)
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
■登場人物

猫山(ねこやま):総務部の社会人2年目。お酒が強い。カフェや居酒屋巡りが趣味で、おいしいものと猫のブログを書いており、デジタル担当になった。

社長(富良座:ぷらざ):そろそろ老後のことが頭をよぎる60代。新しいアイデアを試すのがだいすき。無茶ぶりしがち。お酒がすき。

総務部長(根津海:ねづみ):50代前半。Web黎明期からのネットサーファー。カメラが趣味。ご当地美少女キャラクターを常にチェックしている。

松本さん:PlaBase編集長。デジタルマーケティングについて教えてくれる。

SHIHO:謎のWebエンジニア。ていうか、AI?
会社のデータ
会社名:株式会社ぷらぷら~ざ
所在地:石川県
概要:プラスチック製品製造会社。OEMも多いがオリジナル商品も開発・販売している。社内に金型・成形工場がある。
社員数:約50名
前回までの 「デジ極」
株式会社ぷらぷら~ざは、石川県内にある中小企業で、プラスチック製品メーカー。総務部の2年目社員の猫山は、(ほぼ)「趣味でブログをやっている」という理由だけで、突然社長からメールマガジン担当に任命されてしまいました。しかし猫山にはデジタルマーケティングの知識が何1つありません。
そこで助けを求めたのが、Twitterでたまたま見つけたPlaBaseの「松本編集長」。猫山は松本編集長の力を借りて、果たしてメルマガを攻略できるのでしょうか。
ぷらぷら~ざで大好きなねこちゃんプリンのカップを製造していると知った猫山。メルマガへのモチベーションが上がってきたが…!?
ぷらぷら~ざ小会議室:Webミーティングにて
猫山はこれまでの進捗や今後のことを打合せすべく、松本編集長とオンラインミーティングをすることにしました。カメラの前には成形工場からたくさんもらってきたねこちゃんプリンカップをたくさん並べています。
猫山「……というわけで、『実はうちの会社ってすごいのかも~っ』て思いまして。それと同時に、自分はあまりに自社のことを知らなかったなと思って、反省しました」
松本編集長「そうですか! 自分の会社について知る……いいですね! あ、それがねこちゃんプリンカップなんですね。かわいいですね」
猫山「はい、成形工場からもらってきました。よく見たら、成形工場内にもこのプリンカップたくさん置いてあって……。ネジとかワッシャーとか入れるのに使われてました。何度も工場に行っているはずなのに全然気づきませんでしたよ」
松本編集長「新たな気づきがあったんですね! よかったです。それで、ネタは集められそうですか?」
猫山「はい! ちょっと勇気を出して、お昼に食堂で他の部署の人にもお話を聞いたりしているんです。『いまどんなお仕事してるんですか?』とか、『最近大変なことありましたか?』とか。いろんなお話が聞けて、ちょっと楽しくなってきました」
松本編集長「楽しくやるのは大切なことです。だれか伴走してくれる仲間がいれば、きっともっと楽しくなりますよ」
猫山「仲間……」
猫山の脳裏に、ふとあの人が浮かび上がります。

(あの、えっと、えっと……、大丈夫です!!)
一体何が大丈夫なのか、自分でもよく分からないけれど、猫山はかぶりをふります。
どうせ助けてくれないし、この人。
猫山「いやちょっと……、思いつかないですね」
メルマガの文体はどうすればいいの?
猫山はいくつか集めたネタをもとに、練習がてらメルマガの文章を書いてみることにしましたが、そこでふと手が止まってしまいました。そもそもメルマガの文章って、どういう文体で書けばいいのかが全くわかりません。
猫山「ちょっと疑問に思ったんですけど……メルマガの文章って、ビジネスメールみたいなお堅い文章で書くほうがいいんですか? 総務なので社内向けのメールは多いんですけど、あんまり社外の方にメールを送ったことがないのでそういうのが得意ではなくて…フランクな感じで送っちゃうのはダメなのかな~って…思いまして」
松本編集長「キャラクターが見えてくるようなメルマガにするのはいいと思います。当初猫山さんが言ってた、会社で保護している猫ちゃんの話にしても、例えばTwitterなどで発信していると親近感が沸いたりするので。でも逆に、会社で猫を飼うなんて言語道断だ! というお客さんもいるかもしれない」
猫山「そういえばこの間、面白い話を聞いたんですよね。家族経営の小さな工場にお願いした製品に動物の毛が付着してて、担当者が見に行ったら成形機の隣でそのおうちで飼ってるワンちゃんが寝てたんですって……。成形機のそばってあったかいから……。それで、ワンちゃんは成形機の近くに入れないように指導したって聞きました」
松本編集長「そういうエピソードも面白いですね。メルマガでは、たとえばBtoBとかBtoC※とか、この会社ではどんな仕事ならお願いできるのか、どんなトラブルがあってどうやって解決したのか…といった感じで、お客さんにぷらぷら~ざのことを知ってもらうという形にするのがいいんじゃないかと思うんです。であれば、そんなにゆるい感じではない方が信頼できそうな気がしますよね。かといってメルマガはビジネスメールとは違うので堅すぎると読む気がなくなってしまいますが」
猫山「そうですか……う~ん難しいな……」
ペルソナを設定しよう!
松本編集長「猫山さんは『ペルソナ』って知っていますか?」
猫山「ペルソナ? 仮面…ですか?」
松本編集長「確かに、心理学用語の語源は、演劇で使う仮面という説があった気がします。ここではちょっと違う意味ですかね。そして、初期のマーケターがつまずくのがペルソナなのです! じゃあペルソナについて説明してもらいましょう」
松本編集長「ヘイ! SHIHO」
そこに突然、Webミーティングのチャット機能に知らないアカウントからメッセージが書き込まれました。気が付くと、さっきまで松本編集長と2人だったはずのトーク画面にはもう1つアカウントが増えています。カメラは切ってあるようで無機質なアイコンだけが画面に映っています。

――SHIHO「まずは、ペルソナを設定しなければならない理由を説明します」
猫山「え? 急にチャットが入ってきたんですけど、誰ですかこれ? ひょっとしてAIアシスタント? Siri? あ、『シホ』さん?」
アカウント名「SHIHO」は、直接話すのではなく、チャットでメッセージを送ってきます。スマホ世代の猫山には追いつけないほどのタイピングスピードです。
――SHIHO「あなたの中で40代男性と言えばどのようなイメージですか?」
猫山「はい? あ、いきなり40代男性って言われても」
――SHIHO「でしょ、ぼんやりしますよねぇ」
猫山「そうなんですぅ。って、あれ、やっぱり人間なのかしら? あなたは誰なんですか?」
――SHIHO「そう、誰ってなりますよね。チームでメールやホームページを作る際などにその対象をくっきりさせるということです」
猫山は、「そうじゃなくて、あなたは誰か、超気になりすぎるのよぉぉぉ!」と内心思いましたが、あえて聞かないでおきました……。
――SHIHO「その誰かというのを、もう固有名詞であの人っていうぐらい、チームのメンバーが共通で思い浮かぶ形にすることが、ペルソナを作ることの目的です」
――SHIHO「これが、ペルソナの例です」

猫山「って……えーっ? 居住地に家族構成に年収や休日の過ごし方まで……!? これって個人情報ですよね。まずくないですか?」
松本編集長「あはは。これは『架空の個人』だから大丈夫です。これが、ペルソナですよ。このように具体的であればあるほどいいですね。チーム内で共有するときにブレないので。ぷらぷら~ざの場合は、今のところ猫山さんだけなので、あまり役に立つ場面はないかもしれないのですが、会社でメールマーケティングをする際には必ず設定するのがセオリーとなっています」
猫山「ん? 顧客ターゲットって言葉はよく聞きますが、それとはまた違うんですか?」
――SHIHO「ターゲットは抽象的な顧客像。それをより具体的に、リアルな人物像にしたものがペルソナです」
松本編集長「プラスチック関連メーカーの営業部員、これがターゲットですね。ペルソナはさらに具体的に、何歳でどこに住んでいて、結婚はどうか子どもは何人いるか…と詳細に具体化したものです。ペルソナを設定すれば誰向けにどんな情報を出せばいいのか明確になって、メルマガ本文も書きやすくなりますよ。これからメンバーが増えていくこともあるかもしれないので、やってみるといいですよ」
猫山「なるほど……大きな集団にポンっとメールを送るんじゃなくて、だれか決まった相手に届けるつもりで書いてみるってことですね」
松本編集長「そういうことですね。ぷらぷら~ざはOEMが多いということならばメールを送る相手先の営業さんなんかは30〜40代の男性が多いんじゃないでしょうか。そういう形でペルソナを設定してみてください」
とっておきの裏技を教えます!
松本編集長「ここで、ちょっと裏技をお教えしましょう」
猫山「裏技!? ぜひ教えてください!」
松本編集長「ずばり、メールの送信者名は女性の名前の方が開封率が良くなります!」
猫山「送信者名……?」
松本編集長「メルマガの送信者名は架空の名前でもいいんですよ。猫山さんは女性ですけど、別の名前を設定して送っても大丈夫です。男性の性(さが)と言いますか…やはり女性の名前から送られてくるメールは開けてみたくなっちゃうんですね」
猫山「そうですか……(真顔)」
(仕事のメールだと分かっているのに、それでも女性からの名前だと気になってしまうなんて、男心は分からん……)
松本編集長「僕はTwitterで顔出ししてキャラクター付けをしているので、ここぞという時は『松本編集長』の名前で出したりもします。キャラクターを生かして使い分けているんですね。でも、やはり比率的に男性が多いので、送信者は女性の名前の方が開封率が良いというデータは出ていますね」
猫山「それも…メールの解析をするとわかる…ということですね」
松本編集長「そういうことです。ペルソナについてはすっきりしましたか?」
猫山「そうですね!」
「ペルソナ」については、ね。
――SHIHO「よかったです!」
結局、SHIHOさんは何者だったのーーーっ!?
猫山のデスクにて
猫山は松本編集長とのオンライン会議を終え、自分のデスクに戻ってきました。まずは宿題になっているペルソナの設定を考えてみることに。しかし30~40代の男性と言われてもいまいちピンときません。そこにご当地アイドルソングを口ずさみながら総務部長が斜向かいのデスクに戻ってくるのが見えました。
総務部長も40代のはずだから……。参考までに聞いてみるか……興味ないけど。
猫山「ペルソナかぁ……えーっと……あ、総務部長って何歳ですか?」
総務部長「46歳」
猫山「たしか四大卒でしたよね? ご結婚されてるんでしたっけ? ご家族は?」
総務部長「こっわ! 俺の個人情報をどうするつもり? きっも!」
猫山「別にどうもしません‼!!!!」
やっぱりペルソナの設定は、誰か営業部の人を参考にしよう。そう心に決めた猫山でした。
■総務部長ねづみのどや顔豆知識

*猫山ノート*
・ペルソナを設定しよう(読ませたい具体的な個人についての設定を作る)
・男性が想定読者の場合、メルマガ送信者は女性の名前のほうが開封率が良いらしい
(次回へ続く)
>>>>連載「松本編集長が伝授!デジタルマーケティングの極意」一覧
監修者

ライタープロフィール

おりも みか 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
Twitter ID:@jilljean0506
新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。Twitter ID:@jilljean0506

