プラスチックやゴムといった素材や加工技術を中心に取り扱う「高機能プラスチック・ゴム展2023」(会期:2023年2月9~10日、会場:大阪市の産業創造館)の出展企業を紹介する。(前編)
大阪産創館「高機能プラスチック・ゴム展2023」レポート(前編)

この記事では…
(執筆:松永弥生/ライター)
近年、カーボンニュートラルやSDGsといったテーマへの関心が急速に高まり、プラスチックやゴムなど合成樹脂に対して社会の厳しい目も向けられる中で、化学メーカーなどで新しい樹脂素材の開発が進んでいる。またエンジニアリングプラスチックも植物由来(バイオ)のものやリサイクルグレードなどが登場してきている。しかし一方で、そうした環境配慮素材を用いた部品の成形や加工には課題があることが多い。
プラスチックやゴムといった素材や加工技術を中心に取り扱う「高機能プラスチック・ゴム展2023」(会期:2023年2月9~10日、会場:大阪市の産業創造館)でも、そのような新しい時代を担うさまざまな技術の展示が見られた。
今回のレポートでは、同展示会の出展企業が持つ独自のノウハウや、多種多様な素材・設備について、前後編で紹介する。

会場の大阪産業創造館

来場は完全予約制。受け付け開始前から、並んでいた

会場は多くの来場者でにぎわっていた
成形しやすく、しかも強い部品が作れるスギのリグニン――大阪産業技術研究所
大阪産業技術研究所では、国立研究開発法人森林研究・整備機構と共に、スーパーエンジニアリングプラスチック相当の性能を備え、かつ環境適合性にも優れた新たな材料の開発を行っている。
安価なフェノール樹脂に植物由来のリグニンを混ぜ込み、かつ性能を高めた「改質リグニンフェノール樹脂」は、従来のフェノール樹脂と同等の成形加工性を有し、耐熱性と柔軟性を併せ持っている。
樹脂の中には、衝撃に弱くもろい素材もある。一方、改質リグニンフェノール樹脂は、靭性が高く割れにくいという。そうしたことから、大きな力が掛かる部品にも採用がしやすく、金属で製作していた部品を樹脂に置き換える際などの活用に期待できるということだ。
リグニンはあらゆる植物に存在するありふれた存在であるが、それぞれ構造が異なる。由来の違うリグニンを混ぜてしまうと成形時に不安定になってしまう。そこで同研究所は、リグニン構造が比較的一定である日本固有のスギからリグニンを取り出すようにしているという。改質リグニンフェノール樹脂による成形品は、既存の汎用フェノール樹脂の成形品と比較しても物性が優れており、耐熱性を低下させることなく柔軟性を付与できるとのことだ。
現在は大規模プラントもできており、各企業にサンプルを提供し、用途の検討が始まっている。実用化も間近とのことだ。

改質リグニンのサンプル
樹脂も作業もまとめて削減――佐々木化学薬品
佐々木化学薬品の吸湿性樹脂ペレット「S-KID(エスキッド)」は、ベース樹脂に吸湿剤を含有させたペレットだ。成形すると、製品そのものに乾燥剤の役割を付与できる。
低密度ポリエチレンに吸湿性のフィラーを含有させており、射出成形やブロー成形、インフレーション成膜など、用途に合わせて自由な形状に加工ができる。
S-KIDを用いた製品は、湿度が平衡状態になるまで吸湿を行い、その後、吸湿を停止する。湿度が再び上昇した場合には、吸湿活動を再開するため、湿度を一定に維持する。用途に応じ、相対湿度を0%付近、20%程度、30%程度まで降下させるタイプを備える。
S-KIDの導入により、樹脂の一部が吸湿剤に置き換わるため、石油由来樹脂の使用量を削減できる。また、これまで容器に別途除湿剤を入れていた手間を省くこともできる。成形例としては、フィルムやシート、プレート、ボトルなどが挙げられていた。

ベース樹脂に吸湿剤を含有させたペレット「S-KID®」

開発品「酸素吸収ペレット」
(後編に続く)
ライタープロフィール

松永弥生(まつなが・やよい)
関西を中心に活躍するフリーライター。2000年からロボコン観戦を始め、三月兎のハンドル名でイベントレポートや動画で情報発信を開始。編集部からの依頼でライターデビュー。以来、ロボットや製造業関連ニュースをメディアに発信してきた。得意分野は、ロボットと製造業。モノづくりが大好き。文章講座やプレスリリース講座の講師としても活動中。

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。
