溶融粘度にはどんな特性があるか

流体は圧力が高い方から低い方に流動します。そのときの流動に対する抵抗が粘度です。電気に例えると圧力は電圧、流動は電流、粘度は抵抗に相当します。

粘度の単位はポイズ(Pa・s またはpoise)といって、ポアズィユ(Poiseuille)という学者の名前に由来しています。

ポイズをCGS単位(cm,g,sec)で表すと

ポイズ(Pa・s):kgf・sec/cm2

です。これを次のように書き直すと意味がわかりやすくなります。

kgf・sec/cm=kgf/[cm・(cm/sec)]

単位の意味は(力(kgf)/[距離(cm)・速度(cm/sec)])になります。単位距離を単位速度で流動させるに必要な力が粘度です。従って、粘度の値が大きいものは大きな力を加えないと流動しないことになります。

プラスチック(熱可塑性)は長い線状分子の集合体ですので、加熱すると分子の熱運動が活発になり、やがて溶融状態になります。溶融状態の粘度を溶融粘度と言います。溶融粘度が大きい材料は流動性が悪いので成形しにくくなります。そのため、溶融粘度は流動性を表す指標の1つになります。

プラスチックの溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(細管粘度計)を用いて測定します。装置の概念図を図1に示します。シリンダを所定の溶融温度に設定したのち、試料(ペレット)をセルに入れます。試料の温度が所定の溶融温度に達したら、プランジャでノズルから溶融樹脂を押出します。押出量から溶融粘度を求めます。押出量から溶融粘度を求める計算は複雑ですので割愛しますが、時間当たりの押出量が大きいほど溶融粘度は小さくなります。

溶融粘度の値から流動性の良し悪しを比較評価できます。また、キャピラリーレオメータでは射出成形に近い条件で溶融粘度を測定できますので、CAEの流動解析データベースとして型内流動をシミュレーションすることができます。

キャピラリレーメーターで測定した溶融粘度と流速の関係を図2に示します。ここで、流速は正式には「せん断速度」と表現しますが、せん断速度の意味はわかりにくいので、同じ概念を表す流速という用語を用います。

プラスチックの溶融粘度には次の特性があります。

 

①流速が速くなると溶融粘度は小さくなる。

水は流速を変えても粘度は変化しません。このような挙動を示すものがニュートン流体です。プラスチックは流速(せん断速度)が速くなると分子は流動方向に並ぶ性質がありますので、図のように溶融粘度は小さくなります。このように、流速によって溶融粘度が変化する流体を非ニュートン流体と言います。

実際の射出成形では流速を速くすると流れ易くなりますので、薄肉成形品では射出速度を速く設定するのが一般的です。

②成形温度が高いほど、溶融粘度は小さくなる。

成形温度が高くなるほど、分子の熱運動は活発になるので溶融粘度は小さくなります。そのため、成形温度を高くすると充填しやすくなります。

③分子量が小さいほど、溶融粘度は小さくなる。

分子量が低いほうが分子の絡み合いが少なくなるので、溶融粘度は小さくなります。そのため、薄肉成形用の成形材料は分子量の低い材料を用いることが多いです。

sample
PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。