人々の日常に寄り添うスマートシューズ「ORPHE」の開発(前編)

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この記事では…

スマホと連携して健康管理ができる、ORPHE(オルフェ)のスマートシューズ開発について、プロジェクトをリードする 宮田知起氏に話を聞いた(前編)

(執筆:PlaBase編集部)

コロナ禍での外出制限や在宅ワークの広がりにより、それ以前よりも歩く機会が激減して運動不足を感じる人が増えたことで、スマートフォンやスマートウォッチなどを利用したデジタル健康管理への関心が高まった。その中で、注目を集めているのが、センサーを搭載し、歩数や歩行距離が計測できるスマートシューズだ。

スタートアップのORPHE(オルフェ)も健康管理が可能なスマートシューズの開発に取り組む1社。ランニングシューズ「EASYRUN SHIBUYA」、アシックスと共同開発したビジネスシューズ「RUNWALK ORPHE」などを開発している。

最近は大手ブランドからスマートシューズが出てきているが、ORPHEのスマートシューズは、ほかのメーカーのように圧力センサーを利用せず、ユーザーの足の動きを取得しAIで着地衝撃を推定できる。ユーザーの履き心地を大きく損ねることなく、データ取得できるのが利点だ。

最初は「楽器」だったORPHE

2015年に同社が発表した初期モデル「ORPHE ONE」は、健康管理のためではなく、アート要素の強いガジェット的な存在だった。

そもそもORPHEは、創業者である菊川裕也氏が2014年に創業したスタートアップで、創業時の名前は「no new folk studio」。タップやフラメンコを踊った際の、靴から鳴り響く心地よい音から、「靴が楽器になる」と着想。そこから生まれたのが、「新しい電子楽器」であるORPHE ONEだ。

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ORPHE ONE

ORPHE ONEには、両足合計約100個の個別制御可能なフルカラーLED、Bluetooth通信モジュール、9軸モーションセンサーを内蔵。スマートフォンから光るシューズをデザインするというもの。ダンスをした際など、手足を動かすと、スマホアプリでデザインしておいた光や音を発するようにできるシューズだ。ソール部の9軸モーションセンサーは、ユーザーの動作を拾って、音楽制作ソフトウェアなどと連携も可能だ。

ORPHE ONEは、音楽関係のライブパフォーマンスやイベントなどでの用途を想定していた。初代オルフェは、アパレルブラントとのコラボ製品を企画するなど話題となった。

ORPHEが、今日のような健康管理ができるスマートシューズの開発に至る道の起点ともいえるのが、ORPHEのSDK(開発キット)の提供開始(2017年)だろう。この取り組みは、IoTプラットフォームとしてのORPHEを、特定の人しかかかわらないアート関係だけではなく、もう少し幅広い、一般の人たちの日常にもっと寄り添えるようなヘルスケアやスポーツなど用途を幅広く拡大していきたいという思いがあったという。

さらに、2018年のコンシューマエレクトロニクスの国際展「CES」では、満を持してスマートシューズのためのプラットフォーム「ORPHE TRACK」を発表。6軸モーションセンサー・気圧センサー・振動モーターとマイコンを組み込んだ「ORPHE CORE」をシューズのソール部に仕込むことでスマートシューズが完成する。ORPHE CORE に組み込んだ独自開発のAIは足の動きのデータを取得して機械学習を行い、それを利用してスポーツや健康の指導が行える仕組みだ。要は、EASYRUN SHIBUYAやRUNWALK ORPHEの基礎となっている技術だ。

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ORPHE TRACK

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ORPHE TRACKのソールの下にORPHE CORE の格納部がある。

2021年には、ORPHEを「スマートシューズに限定しない、ウェアラブル技術を用いて身体を拡張するセンシング &クリエイティブ プラットフォーム」と再定義し、それを社名として背負った。

アパレルと工業製品、ものづくり文化が異なる二者をつなげたORPHE

ORPHE TRACKの重要な要素の1つが、「ORPHE FRAMEWORKS」だ。これは、シューズメーカー向けにORPHE COREを靴に収めるためのデザインをフレームワークとして提供するものだ。

シューズは、アパレルの一部門であるが、スマートシューズとなると電気製品でもあり、これまでのアパレル製品にとって異質なものである。設計の進め方も製法も大きく異なるところを埋めるための施策が必要だった。

no new folk studioに、ORPHEのプロジェクトマネジャーである宮田知起氏がやってきたのは、2019年のことだ。前職では、大手スポーツメーカーで競技用の陸上スパイクの開発に携わっていて、その経験が買われて入社。2018年のCESで発表したORPHE TRACKをバージョンアップさせていった。

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ORPHE 宮田知起氏

宮田氏が入社する以前には、シューズとして仕上げるための工程に課題があったという。それまでは、工場にシューズのデザインのイメージを伝えるのみだったというが、宮田氏は機能性や履きやすさのほか、デザイン性など、シューズを開発していた経験からの意見を具体的に伝えるようにしたとのことだ。

「以前のデザインではデバイスが破損しないよう、耐久性を重視した構造にしていました。しかし、それだと重量や履き心地に影響が生じます。耐久性を担保しつつ、靴としての機能を損なわないような仕様にしていくことを意識しました」(宮田氏)

このように、シューズとしての機能、デバイスとしての機能、両面から検討していく必要があり、その橋渡しの役を担ったのが宮田氏だった。2019年以降、ORPHEは“シューズ型ガジェット”ともいえる状態から、“ガジェットシューズ”として、1歩1歩進化していった。

(後編へ続く)

■お知らせ

「日本 ものづくりワールド」(会期:2023年6月21~23日、会場:東京ビッグサイト)に金森産業「PlaQuick」が出展いたします(小間番号:8-41)。展示ブースで、PlaQuickがお手伝いしたORPHEの製品がご覧いただけます。ぜひお越しください。

株式会社ORPHE

「足元から世界を変える」をミッションに掲げ、創業以来スマートシューズの研究開発を行なっています。提供するスマートシューズプラットフォーム「ORPHE(オルフェ)」は靴内 のセンサから歩容解析を行い、履いているだけで歩行速度、着地角度、着地衝撃といった 様々な指標を記録することを可能とします。今後はこの技術を医療・ヘルスケア分野へ応用し、誰もが日常的に使う靴がインタフェースとなることで、あらゆる人の健康寿命を延ばし、楽しく歩き続けられるような社会を実現していきます。
⁠URL:
https://orphe.io

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PlaBase編集部
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