成形収縮率と影響要因は何か

プラスチックを加熱すると分子運動が活発になるので体積膨張し、逆に冷却すると体積収縮します。射出成形では、体積膨張した溶融樹脂を型内に充填したのち、冷却するにつれて体積収縮します。その場合、体積収縮分を補うため保圧をかけてシリンダ側から溶融樹脂を送り込みますが、ゲートが固化(ゲートシール)するとキャビティ内に樹脂を送り込めなくなるので体積収縮し、キャビティ寸法より成形品寸法は小さくなります。このように、キャビティ寸法より成形品が小さくなることを成形収縮と言います。成形収縮の大きさを表す値が成形収縮率です。

図1において、試験金型のキャビティ寸法L0、成形品寸法L1とすると、成形収縮率Sは、次式で表されます。

S=(L0-L1)/L0  (1)

成形収縮率Sをもとにして、製品の指定寸法Lpから製品金型のキャビティ加工寸法Lmを計算するには、式(1)から導かれる次式を用います。

Lm=Lp÷(1-S)  (2)

式(2)から成形収縮率Sに見積誤差があると、キャビティ加工寸法Lmに誤差が生じることがわかります。その結果、製品の指定寸法Lpに対する誤差が大きくなり、寸法精度は悪くなります。従って、寸法精度のよい製品を作るには、成形収縮率を正しく見積もることが大切です。

一方、材料の溶融粘度、成形条件(成形温度、金型温度、保圧)などの要因も成形収縮率に影響します。各要因の影響を表に示します。同表では非晶性プラスチックと結晶性プラスチックに分けて表しています。結晶性プラスチックは結晶化による体積収縮の影響が加わるので、要因によっては非晶性プラスチックとは異なる傾向を示します。

①溶融粘度

溶融粘度の大きい材料では、保圧をかけても溶融樹脂をキャビティ内に送り込みにくいので、成形収縮率は大きくなります。非晶性プラスチックと結晶性プラスチックとも同じ傾向を示します。

 

②保圧

保圧を高くすると、溶融樹脂をキャビティ内に送り込みやすくなるので成形収縮率は小さくなります。この傾向は非晶性プラスチックも結晶性プラスチックも同じ傾向を示します。なお、保圧の影響は金型への入り口部(スプル)からゲートまでの樹脂流路の形状によっても変化します。

 

③金型温度

非晶性プラスチックの成形収縮率は、金型温度の影響を殆ど受けません。結晶性プラスチックは、金型温度が高い方が結晶化は進みますので成形収縮率は大きくなります。

 

④成形温度

非晶性プラスチックでは、成形温度(樹脂温度)が高いと溶融粘度は小さくなるため、成形収縮率は小さくなります。一方、結晶性プラスチックは成形温度が高くなると、成形収縮率は大きくなる傾向があります。この理由は、型内に持ち込まれた溶融樹脂の熱によって、金型の表面温度が上昇するため、あたかも金型温度を高くしたときと同様な条件になることで成形収縮率が大きくなると推定されています。

 

上述のように製品の寸法は、キャビティを加工するときの成形収縮率の見積もり誤差が大きく影響しますが、保圧条件を変更することによって、ある程度は成形収縮率を調整することができます。保圧を変更すると、次のショットから変更した条件を反映した成形品が得られます。金型温度や成形温度は、条件を変更しても金型や樹脂の温度が安定した温度になるまで時間がかかるので、寸法を調整する条件としては適していません。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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