流動性をどのように調べるか

・材料の流動性を測定するには

材料の流動性は、JIS K7210に規定された方法でメルトマスフローレート(MFR)またはメルトボリュームフローレート(MVR)を測定します。図1に示す装置を用いて、加熱シリンダ内のセルに試料を入れて、所定の温度で溶融させたのち、所定の荷重を加えてノズルから溶融樹脂を押出します。押出時間と押出質量を10分当たりの押出質量に換算してMFRを求めます。単位はg/10minですが、単位を付けないで表すのが一般的です。また、押出時間と押出体積を10分当たりの押出体積に換算してMVR( cm3/10min)を求めます。MFRは質量をもとにした値であり、MVRは体積をもとした値ですが相関性がありますので、どちらを用いてもよいことになっています。いずれにしても、MFRやMVRの値が大きいほど流動しやすい、言い換えれば溶融粘度は小さいことを表します。

測定温度や荷重は、各プラスチックのJISで規定されています。測定条件例を次に示します。

温度(℃)     荷重(kg)

ポリスチレン         200                  5.00

ポリプロピレン       230                  2.16

ABS樹脂        220                 10.00

MFRやMVRの値を見る場合には次の注意が必要です。

①測定温度や荷重は射出成形条件とは異なりますので、MFRやMVRの値から、成形するときの型内での流動長を直接に推定することはできません。ただし、MFRやMVRが大きい材料は流動長も長くなる傾向があります。

②上述のようにプラスチックの種類によって測定条件が異なりますので、異なるプラスチックの流動性を比較することはできません。

MFRやMVRは材料の流動性の管理や材料納入仕様書のスペックとして利用されています。

 

・型内の流動性を測定するには

型内の流動性は肉厚によって変わります。肉厚が厚ければ流れ易く、薄ければ流れにくくなります。そのため、成形品の設計をするときには、各材料について肉厚と流動長の関係データが必要になります。

材料の肉厚と流動長の関係は、渦巻き状のスパイラルフロー型やバーフロー型を用いて測定します。

図2にバーフロー型を示します。同型を射出成形機に取り付けて測定します。肉厚の異なるキャビティプレートを用意し、プレートを交換して肉厚と材料の流動長を測定します。測定結果は肉厚tと流動長Lの関係をグラフに表す方法と、近似的にL/tとして表す方法があります。

ここでは、使用材料のL/tデータをもとにして、成形品設計するときの考え方を説明します。

使用材料のL/tは100、成形品の肉厚は2mm、ゲートからの最大流れ距離は240mmと仮定します。

肉厚tが2mmでは、材料の流動長Lは

L=100×2mm

=200mm

となります。しかし、成形品の最大流れ距離は240mmですから、現状の肉厚では充填しないことになります。

従って、設計対策としては、次のどれかの方法にとることになります。

①成形品肉厚を厚くする。

例えば、成形品の肉厚tを2.5mmに設計変更すれば、流動長Lは100×2.5mm=250mm(>240mm)になるので充填できます。

②ゲート点数を増やす。

ゲート点数を増やせば最大流れ距離は短くなるので、肉厚2mmでも充填できるようになります。

③同一材料でMFR(またはMVR)の大きい材料に変更する。

MFRの値が大きいほど流動性はよくなるので、MFRの大きな材料に変更すれば充填する可能性があります。

単純形状の成形品では上述の方法で設計検討できますが、最近では、CAE流動解析ソフトを用いてシミュレーションすることで複雑形状の成形品でも最適設計をすることが出来るようになっています。

 

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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