自己組織化するバイオポリマー

植物のチカラ
少年の頃、顕微鏡を通して見た葉緑体の姿に大興奮、その小さな姿になぜ光合成という能力が秘められているのかとても不思議に感じたと語る北陸先端科学技術大学院大学の桶葭(おけよし)講師。
前回ご紹介した金子教授とともに研究に励まれておられ、光合成産物の多糖が乾燥環境下で自らパターンを形成する現象に関するご研究内容をお伝えします。
人工光合成ゲルの開発
杉本「過去、モノマー自体や触媒粒子との組み合わせ等、イチから人工光合成ゲルの設計に取り組んでおられたそうですね。」
桶葭「高分子ネットワークの設計から構成必須分子の処方組みまで一貫して検討を行なっていました。その意味で植物が持つ光合成能力に注目し続けながら、光合成産物「多糖」の持つ潜在能力にも注目しています。」
多糖の自発的パターン形成を発見
杉本「今回のご研究では、人工的に管理した環境下で多糖が3次元空間パターンを自ら築くことを世界で初めて発見されたそうですね!」
桶葭「今回、物理化学的条件をひとつひとつ吟味しながら多糖の水溶液を乾燥下に置くと、1センチメートルほどの間隔で薄い膜が何本も現れて、3次元空間が分けられていく様子が確認できました。まるでパーティションが狭い空間の中を並ぶように秩序だった壁がつくられていきます。
今回、サクランという安全性の高い素材で成功したので、例えば再生医療分野での組織培養基材などへの応用が考えられます。
乾燥条件下で多糖が自らパターンをつくることを見出したことによって今後、生物が陸に上がった際にそれぞれが身につけた持つパターン形成を解明するヒントになるかもしれません。」

(多糖の乾燥実験とパーティション現象)
■北陸先端大学院大学
桶葭 興資(おけよし こうすけ) 講師
・略歴
2010年東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了、博士(工学)取得。
日本学術振興会 特別研究員DC1 (東京大学大学院)、特別研究員PD (理化学研究所を経てハーバード大学へ海外渡航)、海外特別研究員(ハーバード大学)を経て、2014年北陸先端科学技術大学院大学 助教に着任。
2017年より同学講師。
https://www.jaist.ac.jp/areas/ee/laboratory/okeyoshi.html
聞き手
金森産業株式会社 事業開発室 杉本

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