2019.03.13ニュース

バイオポリマーと天然素材との複合による高機能化

生分解性樹脂に植物、菌をプラス

繊維系メーカーで開発担当として車内装用加飾フィルムの研究に携わってこられた金沢工業大学の谷田講師。生分解性樹脂に植物素材そのものや形状機能を取り入れ、更には有用菌も組み合わせるなど、複合・高機能化に関する研究内容をご紹介します。

企業経験を活かして

杉本「民間企業では広くユーザーの感触・感覚に触れるシートやパネル用フィルムの開発に携わっておられたとのことですね。」

谷田「元々金沢工業大学を母校とし、現学長の大澤教授の下で生分解性樹脂について学んだ後に開発を行ってきました。企業での経験から現在でも工業化目線でシンプルさを重視する開発マインドを持っていると思います。」

実践的バイオミメティクス

杉本「大学に移られてからは、撥水機能付与におけるバイオミメティクスの好例とされる蓮の葉だけでなく、里芋の葉に着目された研究も行なっておられます。」

谷田「最終製品化を見据えた際には、植物が持つ形態や機能性成分だけでなく、基材フィルムへの易転写性などプロセス要素も重要になります。そこで、蓮の葉と同程度の撥水性を有する里芋の葉の表面構造は平板な表面にも応用しやすいと判断し研究を実施しました。」

(里芋の葉と水滴)

バイオロジーの応用

杉本「生分解性フィルムと麹菌という意外な組み合わせでの研究もとてもユニークですね。」

谷田「味噌やお酒に利用される麹菌の安全性は、我々の食文化の歴史が証明しています。また、2005年に麹菌(アスペルギルスオリゼ=黄麹カビ)のゲノム解読析を完了しており、どの遺伝情報が有用に働いたかも解析することが出来るため活用しました。生分解性を促進するだけでなく、産生物質によると思われる大腸菌繁殖抑制効果が認められ、食品包装フィルムとしての応用が考えられました。」

天然素材を添加剤に

谷田「植物抽出色素を使った生分解性フィルムの着色や、合成系紫外線吸収剤の構造と類似したタマネギ外皮抽出物による退色抑制効果の実証などもカラフルで楽しい研究です。」

(生分解性フィルム着色例)

今後はナノファイバーと麹菌とを組み合わせた有害物質の吸着分解剤開発など、バイオポリマーをベースにした高機能化を検討して行きたいと考えています。

(ナノファイバーと麹菌の組み合わせによる環境浄化への応用例)

■金沢工業大学

谷田 育宏 講師

・略歴

金沢工業大学工学部先端材料工学科卒。

同大学大学院工学研究科修士課程(材料設計工学)修了。セーレン(株)入社。

自動車内装材商品開発(加飾パネル開発)勤務を経て、2014年本学講師就任。

聞き手

金森産業株式会社 事業開発室 杉本

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PlaBase編集部
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