ニッポン発の素材技術や伝統文化にプラスワンで新価値を:ものづくりワールド東京2025レポート

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この記事では…

2025年7月、幕張メッセで開催された「 第37回ものづくりワールド東京」より、編集部が注目した出展企業を紹介!

(執筆:おりも みか/製造業ライター)


⁠2025年7月9~11日、幕張メッセで「 第37回ものづくりワールド東京」が開催された。今回の出展社数は1800社以上にのぼり、来場者は5万5749人だった。

⁠同展示会は、「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展、ヘルスケア・医療機器開発展」「工場設備・備品展」「次世代 3Dプリンタ展」「製造業サイバーセキュリティ展」「スマートメンテナンス展」「計測・検査・センサ展」「製造業DX展」そして「ものづくりODM/EMS展」で構成され、日本の製造業のトレンドをまるごと知ることができる展示会だ。


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⁠昨年までは東京ビックサイトで開催されていた本展示会だが、今回は幕張メッセでの開催となった。猛暑のなかでも展示会場はどこも多くの来場者であふれ、賑わいを見せていた。今回は3Dプリンタ展を中心とした展示を紹介する。



⁠セルロースナノファイバーが3Dプリンターにフィット――旭化成株式会社 


⁠旭化成が3Dプリンター用として提案するのは、セルロースナノファイバー(CNF)強化ポリアミド樹脂だ。フィラメントとペレットの両方で展開している。綿などの天然材から生成されたCNFの特徴は、通常のカーボンファイバーに比べて繊維径が数10nm~100nmと非常に細かいため、繊維強化品でありながら成形品表面は非常に滑らか。綿の種子に付着している短い繊維であるコットンリンターを使用しており、樹脂のみならず繊維など幅広い素材を扱う旭化成ならではの技術が生かされたフィラーなのだ。


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⁠CNFの特筆すべき点は、ノズル詰まりしにくく、ノズルの摩耗を抑えることができる点にある。通常、カーボンファイバーなどの強化繊維を使用した場合、ノズル径は0.6mm以上が推奨されるうえ、柔らかな真鍮ノズルは使用できない。しかししなやかな素材であるCNFであれば真鍮ノズルを使用できるだけでなく、ノズル径は0.2mmの実績があるという。さらに繊維がしなやかで破壊されにくいため、物性を落とさずにリサイクルが可能。繊維強化樹脂はリサイクル不可という常識を覆すサステナブルな強化繊維なのだ。

⁠旭化成のCNF樹脂はチキソトロピーという性質を持つ。これは通常の状態では粘度がありながら、圧力をかけると流動性を持つという特性であり、3Dプリンターに適している。ノズル吐出時はサラサラとして流れやすいため、積層間の空隙が少なく積層密着性が高くなる一方で、射出されると粘度があるため形を保持することができ、複雑な形状でもサポート材の使用を減らすことができる。

もちろん強化繊維に期待される耐熱性や反りを抑え寸法精度を高めるといった特性も付与され、まさに3Dプリンターに適した繊維強化樹脂というわけだ。



自社の未活用プラスチック材料が3Dプリンターで治具に生まれ変わる――城東リプロン株式会社


⁠城東リプロン株式会社では、リサイクル材を使用した雨水貯留浸透槽やマンホールカバーなど建材関係のプラスチック成形品を長年原料製造から成形まで行ってきた経験を生かした提案を行っている。

⁠再生樹脂材料は品質が安定していないなどの課題があるが、自社のノウハウによって、用途に合わせてコンパウンド。成形品だけでなく樹脂ペレットでの提供を開始した。大手樹脂コンパウンドメーカーではロットが大きく、中小企業では難しい面もあるが、城東リプロンでは共同開発も含め、小ロットからの対応が可能。小回りの良さが強みだ。

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⁠グループ企業の城東テクノ株式会社では、3Dプリンター用ポリプロピレン(PP)JIZAIを提供。PPは射出成形では最も多く使用される材料でありながら、反りなどの問題から3Dプリンターでは敬遠されている。しかし同社が独自技術で改質し、反りを改善できるという。

⁠また自社内で活用しきれていないプラスチック材料を3Dプリンター用フィラメントやペレットに生成してくれるJIZAIcleも注目だ。成形工場ではどこでも課題であるランナーなどのプラスチック素材が、3Dプリンター材料に生まれ変わる。自社工場内で使用する治具や通い箱などを成形すれば、資源を社内で循環させることができる。脱炭素・サステナブルな取り組みとして企業価値を高めることにも繋がるとして、多くの引き合いがあるという。



⁠「折り紙」を科学した折り工学で、素材に新たな付加価値を――OUTSENSE


⁠日本の伝統である「折り紙」が付加価値を生み出す。株式会社OUTSENSEが提供するのは折り設計技術と平面加工技術だ。対応している素材は紙だけではなく、金属、樹脂などさまざまで、それぞれの素材特性を熟知した上でトムソン加工、熱罫線加工、プレス加工、真空成形など最適な加工方法を提案する。新規素材についても共同研究を行っており、素材メーカーからの引き合いも多いという。

折りによって付与される機能も幅広い。幾何学・有機的なデザインなどの意匠性だけでなく、例えば人体など複雑に可動する形状に寄り添う形状も、「折り」ならば可能だ。

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⁠折りたたむことで輸送性や収納性を高める、衝撃吸収性、高剛性、さらに遮音性や集光性、放熱性など多様な特性を付与することも可能。既存の材料でもそのポテンシャルをさらに高めることが可能となる。インテリアやアパレル、包装資材だけでなく、自動車や家電、機械部品などさまざまな用途で応用でき、その可能性は大きく広がっている。試作・量産に大きな費用や設備投資などを必要としない点も魅力だ。宇宙産業にも活用されている折り工学。日本から世界へ羽ばたく製品が生まれるかもしれない。

⁠ライタープロフィール

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⁠⁠おりも みか  新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中
⁠⁠Twitter ID:@jilljean0506

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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