高機能素材Week TOKYO 2025レポート【後編】


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この記事では…

第5回サステナブルマテリアル展(SUSMA展)を中心にプラスチックの課題解決にフォーカスした出展企業、講演会について紹介する。(後編)

(執筆:おりも みか/PlaBase編集部)



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2025年11月12日から14日の会期で、幕張メッセにて開催された第16回高機能素材Week (主催:RX Japan株式会社)。Plabase編集部では、同時開催の第5回サステナブルマテリアル展(SUSMA展)を中心にレポートする。高機能素材Weekでは、豊富なセミナーも魅力の一つだ。後編ではセミナーの内容を含めお伝えする。




企業・政府、そして消費者が手を取り合ってリサイクル環境の構築を――いその株式会社


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いその株式会社の代表取締役社長磯野 正幸氏による講演会、「自動車マテリアルリサイクルの現状と課題」は、広いセミナー会場が満員になるほどの注目度の高さだ。

いその株式会社は2013年に初めてOEM主導で再生材が採用されたことに始まり、Tier1メーカーと共同開発している。同社の再生材は、廃プラスチックを再ペレット化するだけではなく、強化材、タルク、マイカ、ガラス繊維、さらにその他の機能を付与する補助剤などを加え、顧客要求に合わせて材料を設計。コンパウンドすることで、顧客の要求を満たす安定した材料供給を可能にしていることが強みだ。

社会課題として、再生材の使用が勧められているが、実際に法令化の動きもある。2025年2月に改正された資源有効利用促進法(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律)により、2026年にはリサイクル材の利用に関する計画の提出や定期報告が義務化される。また、2025年9月に採択されたELV規制案では、車両に使用されるプラスチックのうち、20%は再生樹脂を用いることが規定されている。そのうちの15%(全体の3%)はELV由来でなくてはならない。つまり年間で4~5tのELV由来の再生樹脂が必要となる。一方で、廃プラスチックはその材料の確保と素材の品質が課題だ。2026年4月から開始予定の自動車リサイクル資源回収インセンティブ制は、資源回収に欠かせない解体業にもインセンティブを与えるというシステムで、このスキームを経産省に持ち込んだのが同社だという。素材ごとに分解・回収するというのは非常に手間がかかる。だからこそ趣旨を理解し、協力してもらうことが不可欠なのだ。今後もより多くの解体業者に参加してもらうことを目指している。

一般社団法人サステナブル経営推進機構によるSPC 認証プログラムは、日本発祥の認証プログラムだ。サプライチェーン上の事業者を品質・安定供給・安全・環境の観点から総合的に評価する事業所を認証する制度で、トレーサビリティの充実によって利用者が安心して使える再生プラスチックを目指す。いくら再生プラスチックが安全で環境に優しくても、高価であれば消費者からは選ばれない。そこで進められているのがカーボンプライジング制度だ。導入されれば、バージン材と再生材の価格差がなくなり、再生材の普及と促進が見込まれる。こうした制度面での働きかけも行いながら、同社では、Car to Carだけでなく、X to Carの取り組みも進めている。同社で進めている東京での衣装ケース回収の取り組みや鹿児島県大崎町の取り組みを紹介。

リサイクルには企業だけでなく、官民の垣根を超え、さらにエンドユーザーの協力も必要不可欠なのだ。磯野氏は語る。「リサイクルに王道はなく、皆さんに理解してもらわなくてはならない。今後もリサイクル資源の流れを発展させたいと思っております」

「ランドクルーザーの工程からランドクルーザーへ」アップサイクルで、端材にランドクルーザーブランド由来の価値を。――トヨタ車体


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⁠世界中で人気車種となっている、TOYOTAのランドクルーザー。どんな悪路もものともしないその走力だけでなく、「こだわり」を持つユーザーから選ばれている。展示されていたのは、黒いラゲージトレイ。ランドクルーザーに使用されるダッシュボード用表皮の端材を再活用し、再びランドクルーザーの内装品として戻ってきた、アップサイクル品なのだ。

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⁠自動車に使用される素材は、厳しい品質条件をクリアしている。しかしダッシュボード用表皮などは、打ち抜いて捨てられてしまう部分も多い。高品質な素材を無駄にすることなく、自動車製品に戻すことで循環させることができないか――そんな想いで開発され、トヨタ車体としては初めて製品化されたのがこの製品だ。工程内から出される廃棄材は量もまとまっており、クオリティも保たれる。「ランクルから出た端材を用いているということ自体に価値がある」というランクルユーザーからの声もあるという。

トヨタ車体では、サステナブルな経営を掲げ、発信力を高めている。教育・社会貢献として、小学校での出前授業なども実施し、理解促進とブランド価値向上に努めている。スギの間伐材から作られた木材繊維をフィラーとしてプラスチックに配合したTABWD®(タブウッド)は、一見自動車とは関係がないようにも思えるが、自動車メーカーだからこそ環境に優しい素材を使うべきだという思いから開発された材料だ。現在ではフォグランプブラケットやバッテリーキャリアなど自動車部品に利用されている。一方で、製造工程から発生する端材・廃材の再利用や活用も、今後さらに進めていきたい考えだ。

日本を代表する産業である、自動車メーカーだからこそ。トヨタ車体の今後の取り組みに注目したい。

顧客の声を聞き、共に作りあげた小型射出成形機

機能、モニタリングシステムも充実。――エプソンテックフォルム


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エプソンテックフォルムでは、3トン~10トンの小型射出成形機が展示されている。「小さいものを小さく作る」というコンセプトで開発されたのがAE―M3だ。医療用などの精密な部品に用いられるスーパーエンプラは、非常に高価な樹脂素材だが、これまではスプルーやランナーなど製品ではない部分に多くの樹脂を使用せざるを得ず、利益率を圧迫しているという問題があった。同機はホットランナーシステムを標準搭載しており、ランナーレス化によって廃材を大幅に削減。独自のフラットスクリュによって少量ずつ射出容量を精密にコントロールすることで樹脂の使用量を抑えることができる。可塑化温度は430℃まで対応しているため、フィラー配合材やスーパーエンジニアリングプラスチックの成形にも対応している。

また、樹脂が長時間スクリュ内を対流することがないため、熱ダメージなく成形が可能。従来の成形機よりも強度が高くなったという顧客の声もあるという。長時間熱を掛けることでブリッジしやすい材料にも適している。

さらに注目を集めていたのが10トンの材料開発用性能に特化したモデルAE-M10TPだ。同機は300gの材料でA1ダンベル試験片を20本成形することが可能。200V電源、60Aではなく30Aを2回線用いることで、既存の研究室などでも設置がしやすいよう工夫されている。

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⁠同社の小型射出成形機にキスラー社製圧電センサを搭載することで、金型内の温度などの成形条件を詳細にモニタリングすることが可能だ。多点ホットランナーのばらつきを抑制したり、実測値のデータから金型が開く前に製品の良否が判断できる。また、成形機にはモールディングデータコネクトを搭載。成形機をパソコンにつなぐことで成形条件・温度・波形データなどのモニタリングが可能だ。パラメータを設定しておけばグラフを自動出力してくれる。異常値の検知も可能だ。小型成形機というと試作機のイメージが強いが、大型機とそん色ないデータ解析ツールを搭載しているのも強みだ。



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プロフィール

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おりも みか  PlaBase編集部員
⁠新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。

⁠Twitter ID;@jilljean0506


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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。