2026.03.02コラム

【PlaBase新年展望2026】(前編)プラスチックの現場ニーズや海外動向について話そう

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毎年恒例となった、PlaBase運営のキーマン3人による「PlaBase新年展望」では、前年の市場や自分たちの足下の活動を振り返りつつ、今年の技術展望やチャレンジについて語ります。

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今年もPlaBaseをよろしくおねがいします!

  • ⁠中央:金森洋平(金森社長):PlaBase運営元である老舗化学商社・金森産業を取りまとめる経営者。
  • ⁠左:高瀬正明(高瀬常務):試作サービス「PlaQuick」を担当。長年にわたりものづくりの現場とかかわってきた。
  • ⁠右:松本祐介(松本編集長):PlaBase、Cheamtels、シーエムシー出版のメディア統括。国内外各地を飛び回る化学商社マン。


    ⁠前編では、記事ランキングから見えた現場のリアルなニーズ、生成AI時代における専門メディアの役割、そして英語版始動による海外展開の手応えまでを総括します。さらにK2025で感じた欧州の実装力、中国市場のスピード感にも触れながら、変化する世界の中でPlaBaseが果たすべき役割を探ります。

2025年で一番読まれた記事は?


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⁠松本編集長: 「2025年記事閲覧数ランキング」の1位は本間先生の「プラスチックのガス透過性:基礎知識」でした。

高瀬常務: やはりプラスチックの基礎知識系が強いですね。

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松本編集長


⁠松本編集長: そうなんです。トップ10には製図や射出成形の基礎といった記事が並んでいて、やっぱり皆さん、実務に直結する「学び直し」を求めているんだなと感じます。あと面白いのが、PR記事がトップ20に4本も入っているんですよ。

金森社長: 私もそれは見ていて嬉しかったですね。これ、広告なんですけれども、2位の大塚化学さんとグーテンベルクさんの3Dプリンタの話とか、3位の出光興産さんの記事とか、すごく読まれていますね。

高瀬常務: 3位の「ポリカが割れたら」の記事は良いですね。あれは現場としては有益な内容だと思います。

松本編集長: あれは出光の担当さんが考えたキャッチなんです。展示会でも使っているそうです。やっぱり「割れ」とかトラブルシューティング系のキーワードは強いですね。現場で困っている人がいかに多いかということだと思います。

聞かれないと答えられないAIに対抗すべし!


⁠松本編集長:2025年を振り返ると、やっぱり「生成AI」の話は避けて通れないということですね。もうGoogle検索じゃなくて、AIに聞くのが日常になっちゃいましたから。これは我々Webメディアとしては死活問題でもあります。

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金森社長



⁠金森社長: そうですね。AIがリファレンスとして我々の記事を使ってくれるにしても、そこで終わってしまう可能性がありますからね。だからこそ、これからはアプローチが2つあるのかなと思っています。 1つは、AIの元ネタになるような「質の高い一次情報」を出し続けること。もう1つは、「新たな気づき」を提供すること。 AIって「聞かないと教えてくれない」じゃないですか。自分が知らないことって、質問すらできないじゃないですか。だから、記事やメルマガを通じて「こんな視点があるんだ」「こんな技術があるんだ」という「新たな気づき」をご提供したい。

松本編集長: まさにそうですね。2025年は、PlaBaseの仲間であるシーエムシー出版のサイトをリニューアルしましたが、ネットで拾える情報ではなく、「ちゃんと足で稼いだ」一次情報を強化したかったからです。AIにはできない、裏付けのある情報を出すことが信頼につながるのかなと。シーエムシーのデジタルマーケの立ち上げも、引き続き力を入れていきたいです。

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⁠PlaBase英語版、満を持して始動!


⁠松本編集長
:昨年、2025年10月に、念願だった「PlaBase英語版」を無事ローンチできました。

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PlaBase 英語版



金⁠森社長: おかげさまで、海外の会員の方も着実に積み上がっていますね。 面白いのが、英語圏といっても欧米だけじゃなくて、インドネシアとかフィリピン、あとはインドといったアジア圏からの反応がすごくいいんですよ。

⁠松本編集長: 確かに。足元のデータを見ても、インドやASEANからのアクセスが熱いですね

金森社長: 「無料で検索できる物性データベース」は、おそらく、世界的にもなかなかないですよね。だからこそ、非日本語圏のユーザーにも価値を感じてもらえているのかなと。
今後は、単に日本の情報を出すだけじゃなくて、「日本と海外をつなぐ」お手伝いを加速させたいですね。材料メーカーに限らず、機械メーカーや、成形などの加工メーカーも巻き込んで。

⁠高瀬常務: 現場からすると、その話は面白いですね。今まで海外の展示会に行っても、機械設備・材料個別の展示になってると思いますが機械PlaBaseというプラットホームを通じて、材料も機械設備も一緒に「チーム・ジャパン」みたいな形で紹介できるなら、すごく魅力的だと思います。


⁠松本編集長: まさにPlaBaseが、メーカー同士をつなぐ「カタリスト(触媒)」役になれればいいなと思っていて。

⁠高瀬常務: そういう取り組みを早くできれば良いですね。現場は求めていると思います。

⁠松本編集長: そうですね(笑)。単独ではなく「ジャパンパビリオン」のような形で、仲間を募って海外の展示会に出ていくようなトライアルを、今年はリアルな場で仕掛けていきたいですね。

昨年、「K2025」を訪れた時に見えたこと


⁠松本編集長:2025年にドイツで開催された「K2025」についても触れておきたいです。私も現地に行きましたが、今回のテーマは明確に「グリーン」「サーキュラーエコノミー」、そして「デジタル化」でした。

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⁠金森社長: 欧州は環境規制も厳しいですから、そのあたりは進んでいそうですね。

⁠松本編集長: ええ。特に圧倒されたのがBASFです。彼らは「2050年ネットゼロ」に向けて、実証プラントレベルですけど「電熱式スチームクラッカー」を展示していました。これでCO2排出量を90%削減すると。 さらに、製品ごとのカーボンフットプリントの開示も当たり前に行われています。「脱化石」への本気度が違いましたね。

⁠高瀬常務: リサイクル技術の方はいかがでしたか?

⁠松本編集長: 面白かったのは、オーストリアのエレマ(EREMA)ですね。PP(ポリプロピレン)の再生材って、どうしても「におい」が課題になるじゃないですか。彼らはその「脱臭技術」を強化して、高品質な再生材として使えるレベルに引き上げる提案をしていました。

⁠高瀬常務: なるほど。臭いまで取るとなると、用途がだいぶ広がりますね。

⁠松本編集長: あとは成形機の「スマート化」ですね。ここは正直、日本が遅れているなと痛感しました。エンゲル(Engel)やアルブルク(Arburg)といった欧州メーカーは、もうAIの実装が標準になりつつあります。「iQ weight control」のように、成形中に圧力を監視して自動補正する機能はもちろん、機械に対話型AIボットが搭載されていて、トラブルシューティングをチャットで相談できたりするんです。

⁠金森社長: もう機械が自分で考えて調整する時代なんですね。

松本編集長: そうですね。加工技術でいうと、コベストロ(Covestro)がやっていた型内塗装も印象的でした。 自動車の内装パーツなどで、金型の中で塗装まで完結させてしまうんです。塗装工程を省けるので、コストも下がるしCO2も削減できる。これを実際に採用実績として出してきているのが強みですね。

高瀬常務: 塗装レスは日本でもニーズが高いですが、欧州の方が、実装が進んでいる印象ですね。

⁠松本編集長: はい。欧米市場については、環境対応もデジタル化も、単なるスローガンではなく実装フェーズに入っているな、というのがK2025の率直な感想でした。

中国市場は今、どんな感じ?


⁠松本編集長
: 高瀬さんは、最近も中国に行かれていましたね。深圳(深セン)はどうでしたか?

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高瀬常務



⁠高瀬常務: 汎用材からスーパーエンプラまで、中国メーカーが自前で供給できる体制が進化してますね。使用側からすると慎重になっているといるというところも有りますが、コストと今後のBCPを考えて採用検討されていくんでしょうね。一方で、日本の展示会などを見学させていただくと、中国メーカーの出展が減っているような気もします。

⁠松本編集長: 確かに、以前ほどの勢いでブースを出している感じではないかもしれませんね

⁠金森社長: 中国に関しては、僕は、技術力そのものというより、「リスクを取って実装するスピード」を脅威だと思いました。昨年、広州とサンフランシスコで自動運転タクシーに乗ったんです。正直、技術的な洗練度で言うと、サンフランシスコで乗った「Waymo(ウェイモ)」の方が上。 Waymo、すごかったですよ。サンフランシスコの街中で、半道路の中央で裸で踊っている人がいたんですけど(笑)、車がちゃんとそれを認識して、スッと避けたんです。「あー、これも学習済みなんだな」と。

⁠松本編集長: それはすごいシチュエーションですね!(笑)。

⁠金森社長: 広州の凄さって、そこまでの完成度がなくても、もう街中で実証実験として走らせちゃっているところだと思うんです。「とりあえずやってみる」「走りながら考える」という姿勢です。日本企業が石橋を叩いている間に、彼らは橋を作りながら渡っているような感覚で、この「塊」としてのスピード感はやっぱりあなどれないよな!と思いました。


⁠(後編へ続く)


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