“補助金コンサル”ではなく、あくまで“経営コンサル”から見た補助金活用のあり方について、数百社もの経営コンサルや補助金サポートをしてきたエキスパートが語ります。
補助金獲得のための秘訣は何か?:補助金を活用した経営改善のススメ(4)

この記事では…
(執筆:小島雅史/富山ビジネスマネジメント)
外部有識者を適切に活用する
省力化補助金では、とりわけ製造ラインのオーダーメイド設計による省力化指数(省力化効果)が、採択に大きく影響する。公募要領でも、机上の計画だけでなく、実際のライン構築を想定したロボットSIer(システムインテグレーター)などの活用が望ましい旨が示されている。
この背景には、「設備投資により、どれだけの人数・工数が削減できるか」を、数字の根拠として提示する必要があるという要請がある。削減人数・工数の見積もりは、工程・段取り・稼働率・不良率・搬送など、現場条件の理解が前提となるため、現場を知る人材の関与が不可欠である。
その点、SIerはヒアリングや現場視察を通じて、改善案を工程に落とし込み、省力化効果を論理的に説明しやすい。費用対効果の観点から投資内容を整理し、申請書の説得力を高める上でも有効である。
一方で、中小企業診断士や経営コンサルタントの活用も併せて検討したい。経営全般、収益構造、マーケティング、組織・人材など、申請書で求められる最低限のマネジメント知識を有しており、事業計画の筋道を整える役割を担えるためである。
推奨したいのは、机上の助言に偏りがちな個人専門家よりも、自ら現場で実践している経営者兼コンサルタントである。加えて、ロジックの整理だけでなく、制約条件を踏まえて実行可能な事業アイデアを複数提示できる人材であれば、申請書の完成度が一段上がる。
強みがない状態から脱するには、強みの言語化が必要
多くの中小企業は自社製品を持たず、サプライチェーンの一部として受託加工・部品製造を担っている。そのため「何の設備の部品か」を把握しないまま製造しているケースもあり、ここで差別化要素を求められても、言語化が難しいのが現実である。
また、「社歴が長い」「若い人が多い」「設備が豊富」「主要顧客が大手」といった説明は、一定の事実ではあるものの、採択審査で評価される競争優位の根拠になりにくい。
重要なのは、自社の誇るべき強み・特徴を、審査者が理解できる形で表現することである。具体的には、会社のコア・コンピタンス(事業の核)を、まず一語(短いフレーズ)で定義し、それを要素分解して、
- どの工程・技術・品質・納期対応・提案力が核なのか
- それが顧客価値にどうつながるのか
- それが他社と比べてどこで優位なのか
というロジックを組み立てる必要がある。
この「強みのロジック」が完成すると、それ自体が、今後の省力化や新事業・新サービスを展開する際の基盤資産となる。
「書けない企業」ほど不利に――自由様式から指定様式へ
従来の補助金は、公募要領に評価項目が示されつつも、様式は比較的自由であった。しかし今年度からは、ほぼ指定様式(文字数制限あり)へ変更されるケースが増えている。これは不正防止、審査の透明性および公平性の観点から理解でき、書き手にとっても「何を書くべきか」が明確になる利点がある。
一方で、指定様式では「限られた文字数で、事業の骨格と根拠を過不足なく示す」ことが求められるため、事業内容が整理されていない企業ほど、不採択リスクが高まる。近年は申請水準が上がり競争も激化しているため、この形式変更は差がつきやすい。制度趣旨としては妥当だとしても、申請者である中小企業が単独でそこまで緻密に書き切れるかという課題は残る。
さらに、製品・競合・市場動向など、これまで以上に鮮度の高い情報を押さえたうえで、根拠として反映することが不可欠になっている。情報収集・分析・活用は補助金のためだけではなく、経営を確実に推進するための基本事項である。だからこそ中小企業には、今後いっそう情報戦略(収集・分析・活用の仕組み)が求められる。
(次回へ続く)
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プロフィール

小島雅史
1973 年生まれ。株式会社富山ビジネスマネジメント代表取締役社長。
本業の中小企業の経営者を対象とした伴走型経営コンサルティング業務を展開しながら、その一環として、単なる補助金獲得支援サービスではなく、企業経営の強化、成長を主目的とした補助金申請サポートを行っている。
これまで 500 社以上の経営コンサル、300 社以上の補助金サポートの実績あり。 https://www.tbm-g.net/

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