車載品でバイオエンプラ採用――プラスチックニュース 2026年4月

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PlaBaseが厳選したプラスチック関連ニュースをお届けします。今回は、「3Dプリンタ技術」と「ものづくり全般」がテーマです。

3Dプリンタ技術

東レが衝撃強度を2倍超に高めた3Dプリンタ向けPA12真球粒子を開発

東レは、パウダーベッドフュージョン(粉末床溶融結合)方式の3Dプリンタに対応した、ポリアミド12(PA12)真球粒子「トレパール PA12」を開発したと発表した。独自の真球粒子化技術を適用し、従来比で衝撃強度を2倍超に高め、約2.5倍の表面の平滑化に成功したと同社。

トレパール PA12は、粒子が均質に並んで高密度化することで、表面の面粗度は7μm、シャルピー衝撃強度は50kJ/m^2を達成した。耐久性や気密性が求められる用途で、試作品から実用部品まで幅広い造形への対応が見込まれる。 トレパール PA12は、既存のPBF3Dプリンタでも利用できる。

さらに東レは、長年培ってきたポリアミド重合技術と樹脂加工技術をベースに真球粒子化技術も確立した。これまでに高耐熱性を備えるPA6真球粒子「トレパール PA6」を展開しており、自動車部材やオフィスチェア、電動工具などに採用されてきた。今回、この技術をPA12に応用し、トレパール PA12を開発した。

PBFの3Dプリンタは、工業用途を中心に普及している。樹脂粒子のうちPA12は、低温造形が可能なことから市場の約7割を占めると推定されている。一方で、従来のPA12粒子は不定形状で均質に並びにくく、造形物の表面に粗さが残るため、研磨などの後加工処理が欠かせなかった。粒子間の隙間で造形物内部に微細な空孔が生じ、密度が低下して樹脂本来の機械特性を発揮しきれない課題もあった。

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(左)トレパール®PA12、(右)トレパールPA12を用いた3D造形物(出所:東レ)


⁠素材メーカー各社が3Dプリンタ向け樹脂を拡充

3Dプリンタ向けの樹脂素材は、素材メーカー各社の開発が活発だ。東レは、3Dプリンタ向け樹脂素材として、PPS樹脂パウダー「トレミル PPS」を、2022年にトレパール PA6を発売。さらに今回、トレパール PA12をラインアップに加えている。

旭化成は2026年3月に、開発を進めていたセルロースナノファイバー(CNF)配合のPA樹脂フィラメント「KARAKSA-F」の販売を開始した。強度と耐熱性に優れ、産業用途にも活用できる。

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KARAKSA‑F(出所:旭化成)

また、イタリアのAquafilとは、ナイロン廃棄物から作る再生PA6「ECONYL(エコニール)」を用いた3Dプリンタ向け樹脂材料の開発で協業しており、自動車や航空宇宙分野への展開を見込む。

BASFの3Dプリンティング材料事業を前身とするForward AMは、PAにカーボンファイバーを15%配合した「Ultrafuse PAHT CF15」など、熱溶解積層(FDM/FFF)方式向けフィラメントを展開している。

旭化成やAquafil、Forward AMでは、強化繊維や再生原料との組み合わせで差別化を図る一方、東レは粒子形状の最適化という独特なアプローチを取っている。

 

ものづくり全般

三菱ケミカルのバイオエンプラが、新型車のAIスピーカーに採用

三菱ケミカルは、東風日産乗用車公司が中国で発売している新型「ティアナ」のAIスピーカー部品に、植物由来のバイオエンプラ「DURABIO(デュラビオ)」が採用されたと発表した。

ティアナのダッシュボードに搭載するAIスピーカーは、音声による対話や操作に対応する。逆ピラミッドデザインで、点灯すると6本のライトピラーが256色の光を放ち、クリスタルのような色彩豊かで透明感のある質感を演出する。

今回の採用では、車内空間のラグジュアリーな演出に適した意匠性の高さや、素材そのものの耐久性が評価されたと同社。

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DURABIOの光学特性と耐久性(三菱ケミカル)

スピーカー部品に採用されたDURABIOは、植物由来のイソソルバイドを主原料とするバイオエンジニアリングプラスチックだ。全光線透過率は92%、従来のポリカーボネート樹脂と比べて広い波長領域で高い光線透過率を示す。アクリル樹脂に近い屈折率や高いアッベ数を持つなど、優れた光学特性を備える。

植物由来のポリマーでありながら生分解性は持たず、耐久消費財向けのエンジニアリングプラスチックとして設計されている。分子内に芳香族骨格を持たない構造により光による黄変が少ないため、長期間の耐光性や耐候性にも優れている。

また、表面硬度は鉛筆硬度でF~HB程度と高く、表面滑り性も良好であることからポリカーボネート樹脂を耐傷付き性で上回るといった物理的な耐久性も兼ね備えている。

長期間の耐久性を備えるため、クリアコートなどの塗装工程を省いた樹脂素材のままで使用できる。これにより、製造時の揮発性有機化合物(VOC)や二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつながる。

車載部品へのバイオプラスチック採用動向

自動車業界では環境負荷の低減に向けてか、植物由来樹脂を採用する動きが見られるようになってきた。

直近では、スズキの次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)2」のホイールキャップに、木粉と植物由来バイオプラスチックの複合素材が採用された事例がある。その素材を開発するのは、環境配慮型素材を開発するカミーノ。

カミーノは、「生分解性が求められる包装材などの用途が中心だったバイオプラスチックを、耐久性や耐熱性が必要な車載部品へ採用する取り組みは世界的にも稀」と説明している。

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次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)2」
⁠4本脚のホイールのキャップに植物由来バイオプラスチックの
⁠複合素材が使われている(出所:スズキ)

素材開発面においても、高級感と環境配慮を両立させる新たなバイオプラスチックが登場している。

NEC(日本電気)は、非食用植物資源であるセルロースを主原料とし、漆器のような深く美しい「漆黒(漆ブラック)」を無塗装で実現するバイオプラスチック「NeCycle(ネサイクル)」を展開している。現時点で公開された採用事例はないが、DURABIOと同様に塗装工程を省くことで製造時のVOCやCO2の排出量削減に貢献できることから、高い装飾性が求められる自動車の内装材などへの応用も想定している。

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NeCycleの成分(出所:NECプラットフォームズ)

このように、単なる「エコな素材としての枠を超え、高付加価値素材としてバイオプラスチックを活用する動きに、今後も注目したい。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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