2018.011.28連載

技術・研究紹介 富山県内で栽培したイリスの香気成分の抽出と香水の開発

1.はじめに

イリス(アヤメ科アヤメ属の多年草)の香気成分を含むイリス油は、香りを作るのになくてはならない重要な要素で、香水・フルーツ香料など全ての香料にブレンドされています。しかし、これまでイリス油の生産にはイリスの根茎の皮を剥き乾燥して2-3年間経過しないと香気成分が発生しないと言われ、それから抽出してイリス油が出来上がるまで約6年の歳月が必要でした。
またその生産も海外の企業に限られていました。
アンティアンティと工業技術センターでは、県内でイリスを栽培してイリス油を生産することを試みて、イリス油の香気成分は、イリス自身が持つ酵素が働く(発酵)ことにより発生することを確認しました。
今回、イリスの前処理、抽出、後処理等の各工程とその際の発酵による香気成分
の関係を求め、香気成分の抽出とそれを用いた香水の開発を行いました。

2.実験方法および結果

2.1香気成分の抽出手法の確立
香気成分を抽出するイリスの品種は、Iris pallida等の原種ですが、イリスは頑健な種であり、オランダから取り寄せたものは、県内でも有機栽培で問題なく育成できました。県内で栽培したイリスの根茎について、前処理方法(乾燥、粉砕、熟成)や抽出方法(溶媒抽出、水蒸気蒸留、超臨界流体抽出)について検討し
ました。まず、抽出の前処理として、根茎の皮を剥き水洗い-乾燥-冷凍-粉
砕等を行い、水蒸気蒸留法、各種溶剤抽出を行いました。さらに抽出残分について、後処理と抽出を行い成分の收率を向上させたうえ、抽出成分は、精製と濃縮
を行いイリス油としました。

2.2香気成分の機器分析と官能試験

香気成分の機器分析と官能試験抽出した各成分について、GC-MSやNMRによる測定を行い、抽出方法や各工程と香気成分の関係を求めました。さらに、得られ
た機器分析データと、実際の香り評価(官能試験)の関係を求め、これらの結果からイロン類が香気成分として重要であることを確認しました。

3.おわりに

今回の研究から、抽出の前処理、抽出、後処理の工程を確立することができ、さらに香水開発に必要な香気成分データを得ることができました。これらの成果を基に、アンティアンティでは、アイリスガーデン(パルファム)、アイリスミスト(オーデパルファム)を製品化しました。
この記事は、富山県工業技術センターの技術情報No.115(2014)に掲載された内容を編集したものです。
(文責:富山県産業技術研究開発センター水野渡)
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PlaBase編集部
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