ゴム用新規瞬間接着剤 アロンアルフア® #221RF

1 はじめに

1963年に工業用として上市されて以来、アロンアルフア®は瞬間接着剤の代名詞と言われ、日本国内ではトップシェアを誇る。瞬間接着剤の市場規模は他の接着材に比べ、決して大きくはないものの、その使い勝手の良さから世間一般で広く使われている。

当社はその後、1965年に医療用、1971年に一般用として上市を続け、既に半世紀近くが過ぎた。その間、各社により日々改良が加えられた結果、用途は多岐に亘り、今日では一般用に次いで自動車用途が多い(図1)。

瞬間接着剤は総じて耐熱性、耐衝撃性等に欠けるため、自動車用途では仮止め、あるいはゴム部品の接着に多用されている。代表例が、ウェザーストリップ(ドア周りゴム部品)における型成型部の補修接着(図2)である。

本工程では、

・被着体はEPDMまたはTPOであり、非極性材料である。

・被着体にはシアノアクリレートの硬化促進、または遅延の原因となり得る各種添加剤が配合されている(表1)。

・手作業の場合が多く、貼りあわせ時の圧力は弱い。

・作業温度が一定でない(幅広い作業環境温度で高速接着性が必要)。

といった条件下での超速硬化(セットタイム1秒以下)が望まれている。

しかしながら、これまでゴムに対する接着性能が最も良好な“当社高機能品(EXTRA2000)”を用いても、これらの条件下では十分なセットタイムが得られず、必ずしも顧客要求を満たしているとは言えなかった。そこで、従来品とは異なる新たな配合設計が必要と考え、開発に着手した。

詳細な検討の結果、上記条件下でも安定した高速接着能を発現させるある種の硬化促進剤を見出した。更に、安定剤他各種配合を最適化し、ゴム用新規瞬間接着剤“#221RF”の完成に至った。今回は、このウェザーストリップ等ゴムの接着に特化した新たな速硬化グレードについて、EPDM、TPOに対する接着能を中心に紹介する。

2 #221RFの特長

 硬化速度短縮、特にゴムの高速接着に特化した#221RFは、以下のような特長を有する。

・接着速度が速いため、ライン作業への適性に優れる。

・作業温度によるセットタイム差が小さく、安定した作業が可能である。

・成型直後の高温被着体も接着できる。

・耐熱性に優れ、高温下でもゴムの接着強さが低下しにくい。

・接着後の熱処理も短時間なら可能である。

・増粘品でもセットタイムが遅くなりにくい。

・炭素繊維強化熱可塑プラスチック(以下CFRTPと略す)をプライマーなしで接着できる。

 

3 #221RFのゴムに対する接着性能

3.1 セットタイム

被着体としてEPDMまたはオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下TPOと略す)を、接着剤として#221RF、当社高機能品(EXTRA2000)及び汎用品(#201)用い、各種温度で接着した場合のセットタイムを測定した(表2)。

#221RFは5℃という低温条件下でも常温下とのセットタイム差が小さく、接着速度が温度の影響を受けにくいことが判る。詳細は明確ではないが、新たに配合した硬化促進剤の効果と推測される。

3.2 熱間接着強さ

#221RF及び高機能品を用い、EPDMまたはTPOを接着した。各温度における熱間接着強さ(180° T剥離)を測定した(表3

耐熱性が高い高機能品と比較しても、ゴムの熱間接着強さに遜色はない。

3.3 接着耐熱性

熱間強さと同様の接着剤を用いEPDMを接着した。常態及び140℃ 6分間加熱後の剥離接着強さを測定した(図3)。

#221RFの強度はほとんど低下せず、接着後も短時間の加熱処理には耐えうる。

3.4 微増粘品のセットタイム

#221RF、当社高機能品を用い、粘度がそれぞれ2及び50mPa・sの接着剤を調製した。これらを用い、EPDM接着時のセットタイムを測定した(表4)。

#221RFは、増粘してもセットタイムに対する影響は少なく、いずれ粘度でも1秒以下で接着できた。

4 その他用途例

接着剤として#221RF及び当社汎用品を用い、CFRTP(マトリックス:酸変性PP)及びアクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン樹脂(以下AESと略す)/TPOを接着した(表5)。

当社汎用品がプライマーを必要としたのに対し、#221RFはプライマーなしで十分な接着強さが発現した。#221RFに配合している特殊な硬化促進剤は、非極性樹脂との親和性が高いため、プライマーと同様な働きをしたのではないかと推測している。

環境、エネルギー問題のソリューションとして、自動車等の軽量化を始め今後の需要が期待されるCFRTPが、プライマーを使用せずとも材破するほどの強度で接着できたことは注目に値する。

5 #221RFの一般的性能

#221RFはゴムに特化した設計であるが、汎用瞬間着剤としても十分な能力を示す。以下、各種被着体に対するセットタイムを当社高機能品と比較した(表6)。なお、当社高機能品はゴム類以s外の材料に対しても優れた高速接着性を示す万能型の瞬間接着剤である。

当社高機能品には及ばないものの、材質を問わず広い範囲の被着体に対して瞬間接着性を示す。

6 おわりに

今回紹介した#221RFはゴムの超高速接着を目指したものである。ゴムに特化したとは言え、万能型である当社高機能品を上回る接着速度を得ることは決して簡単ではなかったが、小さなセレンディピティをきっかけに目標を達成することができた。こうした知見こそが我々の財産である。より強く、より速く、より使いやすい瞬間接着剤を開発するための努力を惜しまず、ユーザーの方々にご満足頂ける製品を提供していく所存である。

引用文献

1) 日本接着工業会, “会報”, 日本接着工業会 (2014) pp.4~5.

2) 東海興業株式会社, “シール部品”, http://www.tokaikogyo.co.jp/Seihin/SSeal.html, (参照2015-8-29).

3) (a) 日本ゴム協会編, “新ゴム技術入門”, 日本ゴム協会 (1970) pp.30~49. (b) “NOC技術ノートNo.489”,日本ゴム協会誌,74,383 (2001).

東亞合成グループは、「化学事業を通じてより多くの人々とより多くの幸福を分かち合う」という企業理念のもと、技術力を背景に、特色ある新製品・新事業を生み出しています。特に接着剤分野では、瞬間接着剤の代名詞アロンアルフアのほか、エレクトロニクスや自動車向けなど幅広い用途に対応した機能性接着剤を数多く取り揃えています。

2018年(平成30年)12月5日(水)~7日(金)の3日間、当社は幕張メッセで開催される「高機能素材Week 2018 第2回 接着・接合EXPO」にグループ会社のアロン化成と共に出展いたします。
当社の接着剤、粘接着フィルム、光硬化型樹脂、ポリマー、消臭剤などをご紹介します。アロン化成は各種エラストマーコンパウンドをご紹介します。ぜひご来場ください(小間番号:34-6(6ホール))。

 

sample
PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlabaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。