海洋汚染、ストロー廃止広がる

海洋ゴミ対策、日本にも”脱・ストロー”波及

 海のプラスチックゴミ問題への対策が急展開を見せている。ファミリーレストラン「ガスト」を運営するすかいらーくホールディングス(HD)が、20年までにプラスチック製ストローの提供をやめることを決めた。外資に広がる”脱・ストロー”の動きが、日本の外食チェーンにも波及した。日本政府もプラスチック削減の数値目標を盛り込む「プラスチック資源循環戦略」策定に着手した。日刊工業新聞(14版)を含む全国紙は8月17日、すかいらーくHDのストロー廃止を一斉に報じた。対象は同社が国内外で運営する全3200店。まずは12月までに日本の「ガスト」1370店で、ドリンクバーでのストロー提供をやめ、他のチェーン店も順次、廃止する。すかいらーくHDのプラ製ストローの用は年1億500万本、そのうちガストは最も多い6000万本を消費しているという。24日には日清食品HDが紙や発泡スチロールを使用しているカップ麺の容器を、自然に分解される「生分解性プラスチック」に変更する方針を打ち出した。2-3年後をめどに順次置き換える計画という。すかいらーく、日清食品のどちらの取り組みにも、マイクロプラスチックによる海洋汚染が背景にある(7月11日のコラムを参考)。
 マイクロプラは、大きさ5ミリメートル以下の微細なプラスチックゴミ。分解されずに海に漂い、有害物質を吸着する。汚染されたマイクロプラは魚や貝の体内に蓄積されるため、生態系への悪影響が懸念されている。17年、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が海洋ゴミを「世界的脅威」と表現したことで、世界中で関心が高まった。マイクロプラのほとんどは陸で廃棄された使い捨てプラが河川から海へ運ばれ、砕けて細かくなったと考えられる。すかいらーくでは使用済みストローを適切に処理しており、河川に廃棄しているわけではない。一度しか使われないプラ製品の使用を減らすことで、海洋ゴミ問題の解決に貢献する企業姿勢を示そうとストロー廃止を決めた。

 日清食品の生分解プラの切り替え表明は、素材メーカーに大きなインパクトがあるだろう。代表的な生分解プラは、植物のたんぱく質を原料に作られるバイオプラだ。1990年代から2000年代初めに開発、実用化されたが、普及はしていなかった。使われたとしても、環境を訴求する商品など一部への採用にとどまっていた。コストや耐久性などで課題があったためだ。日清食品がカップ麺の容器を全面的に生分解性プラにすると、本格普及が期待できる。「特別な素材」ではなくなり、素材メーカーも量産にかじを切れる。廃プラ対策で先行するのが海外企業だ。米コーヒーチェーンのスターバックスや米マクドナルドも海外店舗で廃止の方針を打ちだした。
 海外ではホテル業界にも広がっている。米マリオト・インターナショナルは、世界6500以上の傘下ホテルで19年7月までにプラ製のストローやマドラーを廃止する。米ヒルトンや英インターコンチネンタルホテルズグループもプラ製ストローを廃止する。インターコンチネンタルホテル大阪(大阪市北区)は7月中旬、SNSで紙製ストローを使用していると公表した。欧州企業の取り組みや現地での議論をみていると、日本との違いを感じる。感度、温度差だけではない。日本では海洋汚染や環境問題として廃プラが捉えられがちだが、欧州では経済的側面からも議論されている。サーキュラー・エコノミー(循環経済)を主導する英エレン・マッカーサー財団によると、1回しか使われないプラ包装材の廃棄量は膨大で、経済価値にすると年800億―1200億ドル(約8兆8800億ー13兆3200億円)が捨てられている計算になる。使い捨てプラの削減は、巨額の損失を回避する経済効果も期待できる。欧州連合(EU)は30年までに使い捨てプラを全廃する戦略を打ち出した。これも環境政策というよりも経済政策とみる有識者が多い。コストでは新興国企業に太刀打ちできないため、”脱プラ”というマーケットルールを作り、EU域内の企業を保護しようとする戦略だ。

 日本でも政府は「プラスチック資源循環戦略」の策定に着手した。①使い捨て容器包装などの削減、②使用済みプラの徹底的な回収とリサイクル、③植物を原料としたバイオプラの実用性の向上と化石燃料由来プラから転換-の3本柱だ。政府は19年6月末に大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20)までに公表し、日本の姿勢を世界へ発信する。バイオプラの普及で新市場を生み出すような、経済政策と一体となった戦略を描けるのか、注目したい。
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PlaBase編集部
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