保圧工程の留意点は

保圧は、保持圧力(holding pressure)の略語です。シリンダ内で材料を加熱すると、熱運動が活発になるので体積膨張します。射出成形では、体積膨張した溶融樹脂を型内に射出します。型内に充填された溶融樹脂は冷却されるに従って熱運動は不活発になるので体積収縮します。そのまま冷却すると成形品にいろいろな不具合が生じるので、シリンダ側から圧力をかけて溶融樹脂を送り込んで体積収縮分を補います。

このように体積収縮分を補うためにかける圧力が保圧です。保圧をかけ続ける時間を保圧時間と言います。

保圧と体積収縮の概念図を図1に示します。同図(a)は保圧をかけない場合です。保圧をかけないと体積収縮が大きいことが分かります。一方、同図(b)は保圧をかけた場合です。密閉されたキャビティに保圧をかけて溶融樹脂を圧入すると、溶融樹脂は体積圧縮するため、より多くの溶融樹脂がキャビティに圧入されます。このように圧縮されたままの状態で冷却すると、保圧をかけない場合(a)より体積収縮は小さくなります。

保圧工程では次のことを留意する必要があります。

 

 

①ゲートシールするまで保圧をかける必要があります。

保圧工程で、ゲート部が固化することをゲートシールと言います。ゲートシールするとキャビティ内に保圧が効かなくなります。

図2は保圧時間と成形品重量の概念図です。保圧時間が長くなるとキャビティ内に、より多くに溶融樹脂が送り込まれるので、重量が重くなります。しかし、ある時間が経つと重量は変化しなくなります。重量が変化しなくなる時間がゲートシール時間です。通常、保圧時間はゲートシール時間より少し長く設定します。

 

 

②ゲートシールする時間はゲートの断面積の大きさによって変わります。

ゲートサイズの断面積が大きいとゲートが冷えるのに時間がかかるので、ゲートシール時間は長くなります。ゲートシールしない時に保圧を停止すると、ランナ側に樹脂が逆流するので、種々の不具合が発生します。

 

 

③樹脂流路では圧力は低下します。

シリンダ側から保圧をかけても、スプル、ランナ、ゲートなどの樹脂流路では圧力が低下するため、キャビティ内の圧力は低くなります。圧力が低くなることを圧力損失と言います。樹脂流路が細いほど圧力損失が大きいためキャビティ内に十分に圧力がかからなくなります。キャビティに高い保圧を伝える必要がある場合には、樹脂流路の断面積は大きくします。

 

 

④材料の溶融粘度が大きいほど、保圧を高くする必要があります。

溶融粘度が大きいと、樹脂流路における圧力損失が大きいので、保圧を高く設定する必要があります。

 

 

⑤スクリュ先端にクッションを残さないと、保圧の効果はありません。

図3に示すように、射出完了後にスクリュ先端に5mm~10mm程度の溶融樹脂を残すように設定します。このようにスクリュ先端に残した溶融樹脂をクッションといいます。クッションに保圧をかけることで、キャビティ内に溶融樹脂を圧入することができます。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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