予備乾燥はなぜ必要か

 

 射出成形に先立って、成形材料(以下材料と言う)を乾燥することを予備乾燥と言います。
 一般的に、樹脂メーカーでは押出機を用いて溶融混錬して製造するので、押出直後の材料には水分が含まれていない状態(絶乾状態)です。しかし、通常の包装容器は防湿性がないので保管中に大気中の湿気を吸って吸水率は高くなります。このような材料を用いて成形すると成形品にいろいろな不良現象が生じますので、予備乾燥することが必要です。
 通常の成形条件の下で、成形品に不良が生じない吸水率を限界吸水率と言います。予備乾燥では、それぞれの材料の限界吸水率以下に乾燥することが必要です。一般的な予備乾燥条件を別表に示します。乾燥温度は材料によって異なりますが、乾燥時間は材料によらずほぼ同じです。


 次に、材料を4つに分けて乾燥について説明します。



①厳密な乾燥を必要とする材料
 ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートなどがあります。これらの材料は分子中に水分によって分解する結合(エステル結合)を有していますので、成形時に水分によって分解する性質(加水分解)があります。加水分解すると分子量が低下し分解ガスも発生します。その結果、強度低下や銀条、気泡などの不良が起こります。また、成形上でも溶融粘度が変動するので成形性も不安定になります。
 従って、これらの材料は乾燥条件の管理を厳しくする必要があります。特に厳密な水分管理を必要とする場合には、除湿式乾燥機または除湿式ホッパードライヤーを使用することが推奨されます。

②吸水率の高い材料
 ポリアミド(PA)系材料は吸水しやすい性質があります。そのため、通常の包装容器に入れて保管すると吸水率は高くなります。また、いったん吸水するとPAと水分子は結合(水素結合)する性質があるため、乾燥に時間がかかります。そのため、材料の製造直後に防湿容器に入れて出荷されます。成形するときには防湿容器を開封した直後にホッパードライヤーや熱風循環式乾燥機に移して速やかに成形することが推奨されています。通常、PAは水分によって加水分解することはありませんが、他樹脂に比べて吸水率は高いため銀条、気泡などの不良が発生しやすいので、水分管理には十分注意する必要があります。
 いったん吸湿した材料を乾燥する場合には、通常の乾燥方法では乾燥に長時間かかり、高温乾燥では変色することもありますので、真空式乾燥機を用いて比較的低めの80°C程度で乾燥する方法が推奨されます。

③厳密な乾燥を必要としない材料
 ①の材料のように加水分解することはないので、厳密な予備乾燥の必要はありません。通常の熱風循環乾燥機またはホッパードライヤーで予備乾燥します。

④予備乾燥を必要としない材料
 ポリエチレンやポリプロピレンは殆ど吸水しないので、通常は予備乾燥をする必要はありません。ただ、吸水しやすい添加剤を含む場合や材料表面に結露している場合には70°C~80°Cで数時間の予備乾燥をすることはあります。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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