射出成形の実務~可塑化・計量工程の留意点は~

 シリンダ中で材料を加熱して溶融状態にすることを可塑化と言います。可塑化した溶融樹脂をスクリュ先端に輸送して一定容量を蓄積することを計量と言います。
同工程では次の留意点があります。

①材料を均一な温度に溶融する

 材料(ペレット)が溶融するまでの過程を図1に示します。

図のようにスクリュは供給ゾーン、圧縮ゾーン、計量ゾーンからなります。

ホッパーから供給ゾーンに落下したペレットは、フライト(スクリュのねじ山)によって押し込められ、ペレットがぎっしり詰まった状態(ソリッドベッド(a))になります。

しかし、数フライト進むとヒータからの熱によって温度上昇し、シリンダ壁面と接するペレットは溶融して膜状(メルトフィルム(b))になります。メルトフィルムに接しているソリッドベッドには間隙があるので、メルトフィルムの溶融樹脂はこの間隙に流れ込みます。

ソリッドベッドがスクリュ先端に向かって輸送されるにしたがって、メルトフィルムの厚みは次第に厚くなります。このように厚みを増したメルトフィルムは、圧縮ゾーンにおけるせん断熱でソリッドベッドの表面をさらに溶融します。

メルトフィルムに溶融樹脂が加わるのでメルトフィルムの圧力が高まり、ついにソリッドベッドを押しているフライトとソリッドベッドの間に溶融樹脂が侵入し、フライトの前部に溶融樹脂溜り(メルトプール(c))が形成されます。

その後、メルトプールは増大し、ついにソリッドベッドは破壊(d)し、溶融樹脂の中に未溶融物が浮遊している状態(ブレークアップ現象(e))になります。ブレークアップした状態でスクリュ先端に輸送されると、樹脂温度の変動や製品に未溶融物が混入することで強度不良の原因になります。

計量ゾーンにおいて未溶融物を完全に溶融し、均一温度にしてスクリュ先端に輸送することが重要です。

②スクリュ先端に安定して輸送する

 スクリュ回転によって材料を輸送する原理はボルトとナットの関係に例えられます。この状態を図2に示します。

同図(a)のように、ナットを押さえない状態でボルトを回転すると、ナットはボルトと共回りしてナットは同じ位置で回転します。一方、同図(b)のようにナットを指で押さえた状態でボルトを回転するとナットはボルトの軸方向に移動します。

スクリュ回転によって樹脂を輸送する原理は、ボルトをスクリュに、ナットを樹脂に例えるわかり易いです。ここで、ナットを指で押さえる力はシリンダ壁面と樹脂の間の摩擦力に相当します。

シリンダ内面と樹脂の摩擦係数が小さいと摩擦力が小さいのでスクリュと樹脂は共回りして材料はスクリュ先端には輸送されません。そのため、樹脂を安定してスクリュ先端に輸送するには、シリンダ内壁と溶融樹脂の摩擦係数が大きく、かつその変動が少ないことが必要です。

③成形温度より樹脂温度は高くなる。

 成形温度(設定温度)より実際の樹脂温度は10°C~20°C高くなるのが一般的です。これはスクリュ回転によってせん断熱が発生することが原因です。スクリュ回転が速いほど、またスクリュ径が大きいほど、せん断熱が発生しやすいので樹脂温度は高くなる傾向があります。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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