展示会特集 インターモールド2019(金型展2019)〜気になる3社をピックアップ!〜

去る4月17日から20日までの4日間。東京ビッグサイト『インターモールド/金型展』という展示会が開催された。

今回はこの展示家の中から筆者の気になった3社をレポートしたいと思う。なお、今回の会場は今までの会場がオリンピックの影響で使用できないため、新しく建設された青梅会場での開催となった。

従来の会場に比べて狭い会場ではあったが、来場者数は4日間で約4万2千人。昨年の同展示会が約4万4千人であり、若干来場者は減っているがまずまずの人出といえるだろう。

私自身、本業は射出成形金型の設計屋であり、この様な展示会で金型の動向や新しい技術の調査することを欠すことはできない。いろいろと会場を見た中で3社ほど今回は記事として取り上げてみた。

株式会社エムアイモルデ

静岡県富士市に所在する金型製造メーカーである株式会社エムアイモルデでは、自動車のスピーカーに用いられる様な樹脂製の微細メッシュ加工・成形を得意としておりその線径はφ0.3mmと極細である。

メッシュの模様も単純な四角や丸い穴だけではない、多角形を複雑に編み込まれた形状や、有機的なデザインに対しても加工・成形を行うことができる。

この様な極細の形状は射出成形時にショートショットなどの成形不具合を生じやすい。そのため流動解析などを行い不具合を事前に回避するのがセオリーであるが、残念ながら流動解析の結果と実際の成形の結果が異なることは多々ある。かといって樹脂の流動を見るために金属を削って型を作ったのでは時間もコストも掛かってしまう。

そこで同社ではリアル流動解析として、3Dプリントした入子に直接樹脂を流す仕組みを作っている。3Dプリント製の入子であるから強度は無いが流動を見るにためと割り切ってしまえば低価格ですばやく正確な流動を確認することができる。

また、同社ではこれまでの金型技術を活かしたオリジナルブランド「cavico|キャビコ」を立ち上げた。

「cavico|キャビコ」はプロアマ問わずオリジナル作品をプラキット化するブランドである。多くのクリエイターの願望として「自分のデザインしたキャラクターをプラモデルにしたい」という思いがある。しかしながらクリエイター個人が金型へ投資することは非常にハードルが高い。

そこに目をつけた同社は規格化、3Dプリントなどを用いるなどしてハードルを下げることによりクリエイター個人でも着手できるような仕組みを作った。それが「cavico|キャビコ」である。

実際に立ち上げから1年半で、すでに複数の商品がプラキット化されていることからもその需要が伺えこれから先の展開が楽しみなブランドである。

株式会社エムアイモルデ

〒417-0847 静岡県富士市比奈292-1

0545-38-1142

info@mimolde.co.jp

http://mimolde.strikingly.com/

キャビ

http://cavico.strikingly.com/

福井精機工業株式会社

大阪府大阪市に本社を構える福井精機工業株式会社は、バエリングの樹脂保持器など「丸いモノ」に特化した射出成形金型の開発・提案から製作・試作成形を行っている会社である。同社が手がける金型の半数以上は開発品とのことで、その技術力はもちろんであるが提案力や対応力の高さが伺える。

そんな同社のブースに出展されていたのが「グリースが染み出す樹脂成形品CIBs(キッブス)」である。CIBs(キッブス)はグリースが染み出すことで長い潤滑性を維持する。

モーターやギアボックスなどの可動部は従来であれば定期的にグリースを補給する必要があるが、このCIBs(キッブス)を用いればその手間は大幅に軽減される。最長で3~5年の無給油運転が可能になるそうである。

この成形品は超高分子量ポリエチレンとグリースで構成されている。

超高分子量ポリエチレンは潤滑性には優れているが、溶融時の流動性が悪く射出成形が非常に難しい樹脂である。同社は、ポリエチレン分子がある条件で密着することを利用してグリースを閉じ込めた。さらにグリースの含有量や成形時の温度などを調整し、同社の金型技術を活かすことで固定化に成功。自由形状の成形品を約2分で成形できる特殊技術を開発した。

様々な工業製品でグリースが使用される場面は多いので、本技術を活かした作業の軽減、コストの削減など非常に期待の持てる技術である。

福井精機工業株式会社

〒551-0023大阪市大正区鶴町1-16-13

06-6552-0115(代表)

info@fukuiseikikogyo.co.jp

http://www.fukuiseikikogyo.co.jp/

中辻金型工業株式会社

プレス金型の設計・開発から製作さらにプレス品の組立までトータルで請け負ってくれるのが大阪府東大阪市にある中辻金型工業株式会社だ。プレス金型がメインの会社ではあるが、ものづくりでは製造業でありサービス業であるとの考えから、金型はあくまで手段の一つとし、決して金型にとらわれず顧客のニーズに合わせた提案を柔軟に行っている。

そんな同社が長野県伊那市の有限会社スワニーと組んで実現させたのがデジタルモールド・プレスである。デジタルモールドは、3Dプリント樹脂型で試作・小ロットの部品生産を行う技術である。従来の金属型では時間のかかる複雑な曲面や凸凹文字刻印などの絞りや曲げ加工も、3Dプリントで型を製作することでスピーディに低コストで製作することができる。

そのため、試作型としてシワやワレといった外観不良の発生箇所・原因の検証をすばやく行うことができる。また、従来の金属型のプレスでは表現の難しい複雑な模様も実現可能でありデザインの可能性を広げてくれる。

もちろん強度は従来の金属型と比べればかなり落ちるため大量生産型には仕様は難しいが、プレス金型の新しい可能性を感じることができる技術である。なお、デジタルモールドは有限会社スワニーの商標登録であり、技術に関しても同社が特許出願中である。

中辻金型工業株式会社

〒577-0016大阪府東大阪市長田西4丁目1−16

06-6746-0056

n-info@nkk-24.co.jp

http://www.nkk-24.co.jp/

今回の取材では大手ではなくいわゆる中小町工場にスポットを当てた。
中小の町工場はできることは限られている。しかし、そのできることに関しては相当な実力・実績がある。その実力・実績を活かし会社としてどの様に舵をとるのかは、これからの中小町工場の一つの課題となるだろう。金型設計屋の私としては、微細形状の再現、新素材、3Dプリンターを使用したプレス金型と非常に収穫の多い展示会となった。

今回、取材させて頂いた3社は三者三様ではあるがそれぞれが独自に舵をきっている。まったく同じことを他の中小町工場で行うことは不可能であるが、何かしらの参考にはなるのではないだろうか?

 プロフィール : 落合孝明

1973年生まれ。株式会社モールドテック代表取締役(2代目) 本業の樹脂およびダイカスト金型設計を軸に、デザインから制作手配まで一貫した中小企業の連携による業務展開を行っている。 日本の町工場の持つ『技から生まれる美しさ』を大切にしたプロダクトブランド【FACTONERY】企画・運営。 http://www.factionery.jp/ 著書 金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社/2014.03) 『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社 /2016/12/23)

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PlaBase編集部
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