プラスチックのことならプラ博世にお任せ!フェノール樹脂の巻

プラ博世
こんにちは。プラスチックを愛してやまない研究員、プラ博世です。早速だけど、プラスチックをざっくり分類したら二つの種類に分けられるよね!

プラべくん
うん。一つは熱を加えると柔らかくなって、冷やすと固まる熱可塑性。もう一つは常温では液体なのに熱を加えると硬くなって元に戻らなくなる熱硬化性があるよね。
プラ博世
そうだね。今は熱可塑性プラスチックの種類が断然多いけど、実は初めて人工的なプラスチックの合成に成功したのは、熱硬化性のフェノール樹脂なんだよ。
プラべくん
じゃあ、今回はそのフェノール樹脂について紹介しようよ。
プラ博世
OK。それでは、いってみよう!

フェノール樹脂(以下、PF)の歴史


PFは、1907年にベルギー生まれのアメリカの化学者、レオ・ヘンドリック・ベークライトが発明した。植物以外の原料から人工的に作られたプラスチック素材としては世界初のことだった。
1910年にはベークライト社を設立して生産をはじめたことから、PFはベークライトという商標名を持っている。フェノールとホルマリンを反応させて生成するので、一般的にはPFと言われている。
日本では1911年に、ベークライトの親友だった高峰譲吉がライセンスを取得し、三共株式会社品川工場内に住友ベークライト株式会社の前身となる工場を建設。ベークライトの試作を始めた。
高峰譲吉は理化学研究所の設立者の一人。アドレナリンを発明したことで、医学会や薬学会では有名な人だが、PFだけではなくアルミニウム製造の事業を取り入れるなど、実業界でも活躍していた。
1920年代には、日用品や、ココシャネルのジュエリー素材などとしても使われるようになった。1930年代には、それがさらに拡大していき、金属の代替え素材としても注目されるようになっていった。1940年代後半から、アイロンなどの電気製品の普及に伴い、電気プラグやスイッチなどの工業用パーツとして登場する。
自動車用の部品やパーツとしても重要な役割を果たしてきたが、ABSなど安価で量産できる素材が普及し始めてから需要は減ってきている。

PlaBaseで掲載しているPFの一覧はここから確認できるよ。

PFってどんな素材なの?


合成を行う時は、フェノールとホルムアルデヒドを原料に触媒する。PFの他に、クレゾールなどのPF類を使っても合成可能である。
PFは、合成する時の触媒が酸性なのかアルカリ性なのかによって反応が異なる。用途によってどちらかの触媒か選択するが、酸触媒で酸縮合重合させるとノボラックと呼ばれる熱可塑性の樹脂ができる。これは熱を加えても硬化しないので、硬化させて使うにはヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を使う必要がある。
また、アルカリ触媒で合成するとレゾール樹脂ができる。通常は液状であることが多く、固形にする時は高分子量化させる。自己反応性の官能基を持っているので、熱を加えるだけで硬化させることができる。

PFの成形方法は?


PFは熱硬化性だが、熱可塑性樹脂の加工方法の代表ともいえる射出成形に対応している。その過程は、まず硬化しない程度の温度、50℃程度になるまで加熱。流動性が高くなったPFを金型に流し込んで充填させてから、金型を150℃~180℃に加熱して固める。金型から取り出す時に冷却する必要はない。
ただ、硬化するための時間を要することから、熱可塑性に比べると生産性は低い。
最近では、PFにガラス繊維などの強化剤を配合し、複合材料として使われることが多い。

PFにはどんな特性がある?


PFの耐熱温度は150~180℃。耐熱性に優れていて、高温でも強度を保持できる。ただし、マイクロ波を吸収し発熱しやすいので電子レンジには使うことができない。
また、断熱性も高く、熱が伝わりにくいという特性がある。他にも、電気絶縁性、難燃性、接着性、耐酸性、寸法安定性などに優れているが、アルカリには弱く耐衝撃性もあまり高くはない。

PFはどんなものに使われているの?


PFは、エンジニアリングプラスチックとして自動車の部品や電子機器のパーツなどに使われている。熱が伝わりにくいことから、鍋の取っ手や断熱材にも使用され、難燃性に優れていることから、住宅用のポリスチレン系断熱材に代わる素材としても開発されている。
最近多いのはPFを使った塗料や結合剤。これはPFの原料、ホルムアルデヒドが塗料や接着剤の原料でもあるからである。
PFの塗料は最も安価で、耐薬品性に優れ、錆止め効果もある。ダムなどの水門やタンクの錆止めとして使われているほか、電気絶縁性に優れているという特性を生かして、電子部品や鈴メッキ版の塗料としても使われている。
また、鋳造業で使われている砂型の結合剤としてもPFはなくてはならない存在である。高品質な金属加工をするためには精度の高い砂型が必要となるが、PFの結合剤を使った砂型は寸法精度も高い。崩壊性も高く、崩した砂をまた再利用できるPFの結合剤はコスト的にも最適な素材なのだ。

今回のまとめ


・PFは、1907年にベルギー生まれのアメリカの化学者、レオ・ヘンドリック・ベークライトが発明した世界初の人工的に作られたプラスチック素材。
・日本では1911年に高峰譲吉がライセンスを取得し、ベークライトの試作を始めた。
・PFは、フェノールとホルムアルデヒドを原料に触媒して合成するが、その時の触媒が酸性なのかアルカリ性なのかによって反応が異なる。
・PFは、射出成形に対応している。
・PFは、耐熱性はあるが、マイクロ波を吸収して発熱しやすい。断熱性、電気絶縁性、難燃性、接着性、耐酸性、寸法安定性などに優れているが、アルカリには弱く耐衝撃性もあまり高くはない。
・PFは、エンジニアリングプラスチックとして自動車の部品や電子機器のパーツ、住宅用断熱材などに使われており、最近は塗料や結合剤としても使われることが多くなってきた。

 

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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