【供給不安定なPA66を代替するソリューション】 DSMのAkulon® IGに注目が集まる

DSMエンジニアリングプラスチックスは、世界的に供給が不安定な状況が続くPA66の代替ソリューションとして、新グレードAkulon® IGの販売を開始しました。Akulon® IGは、新たな設備投資を行わずに、PA66をそのまま代替できる素材として注目を集めています。

https://www.dsm.com/markets/engineering-plastics/ja-jp/blog/Akulon-IG-a-PA6-46-blend-offers-the-best-of-both-worlds.html

日本経済新聞をはじめ、各種メディアでも紹介された注目素材です。

 

 

PA66の供給不足

PA66は、全世界で年間約10万から30万トンの供給不足が生じていると言われています。そして、その状況は2022から2023年まで続く見通しです。

なぜPA66の供給が、このように不安定な状況なのでしょうか?それはPA66の原料となるヘキサメチレンジアミン、さらにその原料となるアジポニトリルの供給が、昨年から急激に減ってしまったことによります。

 

アジポニトリルを生産している会社は、世界で4社しかありません。ところが2015年に中国での工場事故によって供給が著しく減り、さらに2017年から2018年にかけて米国や欧州で頻発した自然災害によって、アジポニトリルの生産工場の稼働停止が相次ぎました。

このため、アジポニトリルの市場への供給が急激に細り、これによってアジポニトリルを原料とするヘキサメチレンジアミンの供給が停滞。さらにヘキサメチレンジアミンを原料とするPA66が連鎖的に供給不足に陥る事態となりました。

 

なお、新たな生産設備の建設によるアジポニトリルの生産増強の取り組みが進められていますが、供給が安定するのは2023年ごろと見られています。このためPA66の供給不足解消にも時間がかかると考えられています。

また、生産サイドでは設備投資の回収を図る動きから、供給安定後もアジポニトリルの価格が高止まりすることも予想されます。これに伴い、PA66 だけではなく、アジポニトリルを出発原料としたすべての芳香族ポリアミド(PA6T、PA6I、PA610、PA612等)の価格の高止まりも予想されます。

 

 

DSMの代替ソリューション Akulon® IG

PA66の供給が不安定化する中、DSMはPA66を代替するソリューションとしてAkulon® IGを開発しました。Akulon® IGは、PA46とPA6を混合して開発されたものです。供給が安定している1,4-ジアミノブタンを主な原料としているため、アジポニトリルとヘキサメチレンジアミンの供給不足に影響されることがありません。

また、Akulon® IGは、DSM独自のテクノロジーにより、PA66とほぼ同等の物性を実現できているのが大きな特長です。高温かつ耐油性が求められる用途に最適で、新たな設備投資を行わずとも、PA66をそのまま代替できます。

単一の素材への依存は、企業戦略上も好ましくありません。この点でも、Akulon® IGはPA66に代わる選択肢として、非常に有効なソリューションと言えます。

 

 

PA66と同等の物性

Akulon® IGの物性がPA66と比較して実際どうなのかを見ていきたいと思います。

以下のグラフは、室温23度の環境下で、ガラス添加35%のAklulon® IGとPA66の応力ひずみ曲線を比較したものです。オレンジがAkulon® IGで、PA66より引張強度がやや高めであることがわかります。

また、以下のグラフは180度の温度環境下での同様の比較です。高温環境下でもAkulon® IGがPA66とほぼ同等の引張強度を持つことを示しています。

 

 

次は長期耐熱性の比較です。150度で空気中にエージングした場合、酸化安定性はPA66と同様のカーブを示しています。

また、長期高温耐油性についても同様です。以下は150度のエンジンオイル(SHELL 10W40)に長時間浸漬させた場合、耐油性はPA66と同様のカーブを示しています。

 

 

次に、耐衝撃性能について比較してみます。

耐衝撃性能は通常、V字型の切り欠き加工(ノッチ)を施したノッチ付衝撃強さとノッチなし衝撃強さを調べます。ノッチなしの衝撃強さでは、Akulon® IGは若干PA66を下回りましたが、依然として遜色のない強度を示しています。ノッチ付きの場合は、PA66とほぼ同等もしくは若干上回る強度を示しました。

ここでもPA66の代替として十分に機能することが見て取れます。

最後に、成型収縮率について見ていきます。ここでもAkulon® IGがPA66と同程度の収縮率を占めていることがわかります。

 

 

Akulon® IGの展開グレード

Akulon® IGは以下の3つのグレードを展開しています。

この記事での物性比較はGF35%のグレードで行っておりますが、GF25%においても、PA66と同程度の物性を示しています。

これまでご覧いただいたように、Akulon® IGは、新たな設備投資を行わずに、PA66をダイレクトに代替できる素材です。PA66の供給不足による調達リスク、単一の素材への依存によって高まった事業継続リスクを解消するソリューションとして、今、非常に注目されています。

 

今回の記事にてご紹介したグレードについては、PlaBaseにも収録しております。

ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社 樹脂製品・グレード一覧

 

 

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PlaBase編集部
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