2019.11.20ニュース

ポリ乳酸の真空成形技術の開発

はじめに


ポリ乳酸(PLA)は、植物を原料として石油を使用しないことから注目され、新規工業製品開発が加速しています。しかし、現状の製品は、射出成形品およびフィルムを用いた包装資材や農業用フィルムに限られ、大型工業製品製造に適する真空成形に応用された例は報告されていません。そこで、工業技術センターでは、(株)日本成工、ユニチカ(株)、(株)セコン三木と共同してポリ乳酸の真空成形技術について基礎的な検討をおこいました。

 

実験方法および結果


真空成形用のポリ乳酸シートを得るため、汎用押出グレードのポリ乳酸から、厚さ3mmのシートを作製しました。材料の熱的な性質の把握と真空成形条件に関する基礎的なデータを得るため、作製したシートから矩形試験片を切り出し、材料試験機により3点曲げ荷重を試験片に加えながら、装置付属の恒温槽を用いて室温から10/minの速度で恒温槽温度を上げ、変位が30mmに達するまでの試験時間と変位の関係を求めました。なお、真空成形で使用される市販アクリルシートについても同様の試験をおこない比較しました。

図1、図2に真空成形用ポリ乳酸シートと市販アクリルシートの熱特性試験結果を示します。図中の温度は、それぞれの試験荷重において変位が30mmに達したときの試験槽温度です。真空成形用ポリ乳酸シートではいずれの試験荷重においても試験槽温度の上昇とともに急激に試験片の軟化が起き、変位30mmの試験槽温度は6875℃となりました。また、試験荷重が高くなると低い試験槽温度で軟化が起きることがわかりました。一方、アクリルシートでは、変位30mmの試験槽温度は97125℃とポリ乳酸に比べて高く、温度幅も広くなっています。このことから、真空成形において、ポリ乳酸は他材料に比べて比較的低い温度でシートの軟化が起きること、軟化によるシートのたれも大きいことが予想されました。これらの結果から温度条件などを考慮することにより、図3のような箱形深絞り製品を得ることができました。

また、シートの曲げ最大応力はポリ乳酸シートをアニールしたものが高くなりました。これはアニール時の加熱によりポリ乳酸の結晶化が進んだ結果と考えられます。このことから製品の物性を向上させるためには、ポリ乳酸の結晶性を高める成形条件が有効であることが想定できました。

 

 

図1 ポリ乳酸シートの熱特性試験結果

 

図2 アクリルシートの熱特性試験結果

 

図3 箱形深絞り製品の外観

 

 

おわりに


今後、強度、耐熱性、耐衝撃性の向上について、成形技術の最適化や素材開発から取り組む予定です。

この記事は、富山県工業技術センターの技術情報No.99(2005)に掲載された内容を編集したものです。

(文責:富山県産業技術研究開発センター 水野渡)

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PlaBase編集部
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