断熱圧縮焼けはどのように発生するか



図1のように外部から加熱しない状態で気体を圧縮すると発熱します。この現象を断熱圧縮による発熱と言います。射出成形でも、型内に封じ込められたガスが樹脂圧によって圧縮されると断熱圧縮により発熱します。その結果、樹脂が熱分解して真黒な焼けが生じます。この不良を断熱圧縮焼けと言います。断熱圧縮焼けによる不良現象を写真に示します。

(1)発生原理



図2に示すように、ガス抜けがよくない箇所に溶融樹脂を充填すると、流動末端に封じ込められたガスは樹脂圧によって圧縮されて温度上昇します。射出成形における断熱圧縮焼けに関する可視化観察では、型内で火災が起こっていると説明され、その時の温度は700℃程度まで上昇すると推定されています。成形時の断熱圧縮焼けは、次のように進行すると推察されます。

(a)エアや樹脂から発生したガスが型内のガス抜けのよくない箇所に封じ込められます。

(b)樹脂圧によって断熱圧縮され、高温になります。

(c)樹脂の熱分解温度以上に上昇すると熱分解します。

(d)分解すると可燃性ガスが発生します。

(e)可燃性ガスが発火点を超えると燃え出します。

(f)炎によって樹脂が燃焼して黒い炭化物を生成し黒色の焼けになります。

(2)対策

金型内のガスには、樹脂流路やキャビティ内のエアと溶融樹脂から発生するガスがあります(以下ガスと総称)。これらのガスを排出するには、樹脂が最終充填する位置の分割面(パーティングライン)にガスベントを設ける必要があります。

ガスベントは溶融樹脂が流れ込んでバリにならないでかつ、ガスが抜ける程度に間隙(t)を設計する必要があります。ガスベントの設計基準は次の通りです(図3)。

ガスベント深さ(t)=0.01~0.03mm

ガスベント幅(w)=3~5mm

ランド長(L)=2~5mm

   深溝深さ(t1)=0.5~1.0mm



製品形状によってはパーティングラインにガスベントを設けることができないこともあります。例えば、図4に示すようにリブ構造の先端がガス溜りになる形状では、金型を分割構造にして入れ子の合わせ面にガスベントを設ける設計法がとられます。その場合も上述の設計基準でベントを設けることが推奨されます。

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PlaBase編集部
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