【3Dプリンタ動向】 3Dプリンタの歴史と活用法の変遷【1】

「3Dプリンタ」は、立体形状を横に薄切り(スライス)したデータを用いて、材料を少しずつ積み上げて形状を造形していく、いわゆる「積層造形機」(または「三次元造形機」)のことです。英語では「Additive Manufacturing」でしばしば「AM」と略されます。その直訳である「付加製造」と言っています。また、これらの言葉はほぼ同義で使われています。さらに「立体印刷機」という呼び方もありますが、最近はあまり聞きません。

さて2013年~2015年にかけて、製造業以外の、いわゆる「世間」で「3Dプリンタ」が非常に注目を浴びた時期がありました。その背景には、当時は米国の大統領だったバラク・オバマ氏の一般教養演説での言及、3Dプリントの重要な技術特許の期限切れ、クリス・アンダーソン氏の著書「Makers」のヒットなどがありました。この時期には、バラエティー番組やドラマの1シーンに登場することも増えました。

また「誰でも簡単にモノが作れる、最新技術」といった体での紹介が目立ちました。この表現には大きな誤解があり、3Dプリンタはさすがに「誰でも簡単に」使えるわけでもなく、さらに3Dプリントの技術は「最新技術」というわけではありません。3Dプリントするには、3Dデータが必要です。3Dデータを自分の好きな形に作るには、3D CADやCGソフトを自分で扱えなければなりません。

製造業では比較的以前から現場にあった技術だったので、関係者の中には、このようなヒートアップについて違和感を覚えながら見守っている人たちもいました。とはいえ、このブームのおかげで3Dプリントの認知度を高め、本体価格の相場を下げ、結果的には製造業のまだ普及していなかったエリアにも広まったことは確かでした。

積層造形と3Dプリンタの歴史


積層造形技術は約40年近くの歴史がある技術です。現在は、海外メーカーの製品が国内市場で大きなシェアを占めていますが、その基礎技術を最も早く発表したのが日本人でした。また「3Dプリンタ」という呼び名は、1990年代後半に米国のZ社(2011年に3D Systemsが買収)の商品名(商標)として出てきたのが最初であるといわれます。

日本の製造業においては「積層造形機」として長い間、部品の試作で活用されてきました。造形機を用いた試作は「ラピッドプロトタイピング(RP)」(日本語訳は「高速な試作」)と呼ばれています。以前の造形機は、一般的な加工機と同様に、工場エリアに設置する装置でした。オフィスに設置できるタイプの造形機、いわゆる3Dプリンタが登場・普及してきたのはこの10年くらいの間です。この期間で、設計者のいるオフィスに3Dプリンタを設置することが増え、試作部隊や受託造形サービスに依頼しなくても、設計者自身で試作が行えるようになりました。

3Dプリンタの低価格機種が続々と登場している一方で、ハイエンド機種の性能は年々向上しています。ハイエンド機種は造形精度が高まり、かつ対応する樹脂材料のバリエーションも増えました。

試作用途以外に、最終製品製作も


従来の積層造形の部品は強度が劣り、割れやすいため、スナップフィットなどの機構の評価には向きませんでした。故に、外観の評価や、組み立てが成り立つかなどの評価などの用途がメインでした。それが造形方法や材料の進化により、機構評価に使える部品の製作も可能になっていきました。

また試作ではなく最終製品の筐体や部品で使われる事例が少しずつ聞こえてくるようになりました。造形品質が高まったとはいえ、やはり射出成形には到底かなわないものです。また量産に見合った生産効率(生産数)の課題もまだ完全に解消されていません。最終製品での活用事例が本格的に増えてくるのは、これからになるでしょう。

現在、市場の顧客の趣向は多様化し、従来のように「安いから」「流行っているから」という理由だけで製品を購入しなくなってきました。自分がほしいと思う機能やデザインに投資したいと考える人が増えています。よって製品設計・製造のトレンドはマスプロダクション(大量生産)からマスカスタマイゼーションへ移行しつつあります。3Dプリンタは、マスカスタマイゼーションのための生産ツールとしての活用が模索されています。

 

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PlaBase編集部
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