【第1回】プラスチック加飾技術

第1章 概要


本連載では、プラスチックの加飾技術についてシリーズで紹介させていただきます。その第1回は、プラスチック加飾の概要についてです。

1.プラスチック加飾の概要


1-1.プラスチック加飾の意義

プラスチックは優れた特性に加えて、賦形の容易性、軽量性等に優れた素晴らしい材料であるが、通常の一次成形品は、安っぽく見える、冷たい感じがするなどの課題があり、プラスチックの特徴を生かしてなおかつ見栄えを向上させたい、消費者の感性に則した商品をつくりたいとの要望が強い。

最近、商品購入の中心層である若者は、第1次品質(機能・性能)を求めるより、第2次品質(高級感、見栄え)、さらには第3次品質(ブランド、ネーミング)を重視して商品を購買する傾向が強くなっており、シニア世代でもその傾向が見られる。

感性による選択の基準となる快適性には個人的な基準はあっても、明確な社会的基準はないが、それぞれの時期にその時期の方向性があり、これを如何に把握するかが商品開発上のポイントであると言われている。

「器物の表面にさまざまな工芸技法を用いて装飾を加えること」は「加飾」と言われ、例えば、縄文式土器や工芸品の蒔絵などのように加飾は昔から行われてきたが、プラスチックにおいても、消費者の感性に訴えて売れる商品を作るための手段として、最近特に関心が高くなっている。図1-1は、プラスチックへの加飾の意義をまとめたものである。

【図1-1 プラスチック加飾の意義(デザイン~性能~コストのバランス)】

すなわち、通常の一次成形品は、安っぽく見える、冷たい感じがするなどの課題があるが、質感のある他の素材を付与する、あるいは成形品の外観品質の向上を行うことによって、プラスチックの本来の特徴である優れた機能性、賦形性、軽量性と相まって、感性に訴える商品が得られる。ただ、加飾は一般的にはコストアップを伴い、ケースによってはデザインを制約する可能性があり、これはプラスチック本来の持つ特徴と相反することになる。これらを念頭に置いて、コストアップに見合うあるいはそれ以上の価値を付与する事が必要である。

1-2.プラスチックの加飾技術の分類

表1-1に一次加飾、二次加飾を基本とするプラスチックの加飾技術の分類を示す。

一次加飾は、成形と同時に加飾を行う方法で、多くは射出成形が用いられるが、射出成形以外にブロー成形や押出成形でも行われる。代表的な方法は、フィルムのインモールド成形(IM-D)、軟質表皮材の貼合成形(射出プレス表皮材貼合成形)、および、モールドインカラーなどのNSD(Non Skin Decoration)である。二次加飾は、成形後、成形品に後から加飾を行う方法で、印刷、塗装、めっきなどの基本的な方法以外に、加飾フィルムや軟質表皮材の後貼合成形がある。代表的な方法は、フィルムを用いるアウトモールド成形(OMD)である。

加飾品質とコストからみた各方法の位置づけを図1-2に示す。

【図1-2 主要加飾技術の位置付け】

加飾の中心技術であるフィルム加飾(IM-D、OMD)は多様な装飾が可能で、機能付加も行いやすい品質も高い方法であるが、コストもかかる方法である。その上位にソフト表皮貼合があり、一方で、その下位にNSD、さらに通常の成形がある。

他の分類として、加飾工程で液体(溶剤)を使用するウエット加飾と、溶剤を使用しないドライ加飾がある。ウエット加飾は塗装やめっきで、品質の高い技術ではあるが、VOC(Volatile Organic Compounds)、CO2が発生しやすい技術であり、環境問題から、ドライ加飾に代替したいとのニーズが高い。

さらに、表面性能を中心とする分類もある。概要は下記の通りである。

1)ソフト表面を求める場合
本格的なソフトなのか、あるいはソフトに感じる程度のソフトでよいのかによって、ソフト表面加飾、ソフトフィール層を有するフィルムによるIM-DやOMDなどが選択される。
2)ハード表面の場合
高意匠性が必要な3次元形状なのか、または高意匠の2次元もしくは若干の3次元形状であるのかによって、IM-DやOMD、または、印刷、ホットスタンプなどが選択される。さらに、それほど多様な意匠性を必要としない場合は、モールドインカラーなどのNSDが選択される。

著者


MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会 桝井捷平

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PlaBase編集部
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