景気低迷とコロナウイルスの影響はいかに?  ~ポリオレフィンの需給動向~

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今回の記事は…

2019~2020年における国内のポリオレフィンの需給がどのように推移してきたのか。2020年に入ってから騒ぎとなっているコロナウイルス騒ぎ関連が、需要にどのように影響しそうかも予測する。

景気低迷とコロナウイルスの影響はいかに?
~ポリオレフィンの需給動向~

本記事では、生産統計や貿易統計などのデータを通じて、2019~2020年における国内のポリオレフィンの需給がどのように推移してきたのか分析する。このところの景気後退や、2020年に入ってから騒ぎとなっているコロナウイルス流行関連が、需要にどのように影響しそうかも予測する。

今回は、日本のポリオレフィン需給について解説いたします。2018年は大阪地区のPP装置停止や、台風21号による被災など供給不安が続いた1年となりましたが、2019年は国内装置が春の一部装置停止を除いて概ね安定運転を実現したことから、潤沢な供給が確保されました。一方、2019年は米中間の貿易摩擦により、世界の実体経済がリーマンショック以来約10年ぶりの低成長となったことから、需要面が低迷。海洋プラスチック問題を背景としたプラスチック製品への逆風も、特に使い捨て用途において影響は少なくありませんでした。

では、生産統計や貿易統計などのデータを通じて、2019~2020年の国内需給がどのように推移してきたのか分析していきます。

図1に示す通り、2017年4月までに国内のポリオレフィン装置は廃棄が進み、PPは年間で約50万トン、PEは年間で約32万トンの生産能力が減少しました。

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[図1] ポリオレフィンの国内生産能力推移

2020年は日本ポリプロが五井に装置を新設し、鹿島の装置のうち1系列停止することにより、年当たり4.4万トン増加する見通しですが、これはほぼ横ばいに等しいと言えます。

国内装置の稼働率は名目生産能力に対してPPで90%以上と実質的にフル稼働の状況となった一方、PEは70%台と生産調整を余儀なくされました(図2)。

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[図2] ポリオレフィンの国内生産数量、装置の稼働率(生産数量は石化協の数値に基づく、稼働率は定修影響を補正の上、算出)

生産量は国内の装置の定修やトラブルが減少したことから、PPが対前年8万トン程度増加。PEは稼働調整により、対前年で2万トン程度減少しました。高密度PE、低密度PE共に、輸入数量はほぼ前年並みとなりましたが、国内の需要が減少したことにより輸出が増加。その輸出もアジア相場が下落し、採算が秋以降大幅に悪化したことから、減産に至ったとみられます。

2019年のポリオレフィン輸入量は図3に示した通り2018年対比で減少しました。

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[図3] ポリオレフィンの輸入数量(単位:トン)

特にPPの輸入が減少しています。2018年は国内品の供給不安により緊急的な輸入が急増しましたが、2019年は国産品の供給不安が後退しました。2018年対比約15万トン減少し、33万1552トンとなっています。しかし、国内装置の供給不安がなかった2016年に比べれば、約11万トン増加しました。汎用分野において割安な輸入品の数量が増加したことがうかがえます。一方、PEは低密度PEが約2万トン減少し、35万8398トン。高密度PEが約2千トン増加し、20万7942トンとなりました。PEの輸入数量は2018年対比若干減少しましたが、次項に示す見掛け内需はさらに減少していることから、PP以上に汎用分野で国産品から輸入品へのシフトが進行したと言えます。

2019年のポリオレフィン輸出数量は図4に示した通り、大幅に増加しました。

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[図4] ポリオレフィンの輸出数量(単位:トン)

PPは39万8373トンと前年対比約5万トン強増加。低密度PEは37万1956トンと約6万トン強増加し、高密度PEは15万2867トンと約2万トン弱増加しています。これは国内の需要が減速したことに起因すると言えます。

図5に示した通り、2019年の「国内の生産+輸入-輸出」で算出した「見かけ内需」は大幅に減少しました。

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[図5]  ポリオレフィン輸出、見掛け内需(単位:トン)

国内でさばききれない数量が輸出に回ったとみられます。経済産業省が発表したプラスチック生産動態では軒並み前年割れとなっており、リーマンショック以来10年ぶりとなる世界経済の低成長率がポリオレフィンの川下産業にまで広がったと想定されます。

2020年は2019年末の米中間第1段合意により、貿易摩擦が後退することにより景気が底を打つと想定されていました。同年1月下旬から世間を騒がせている新型コロナウイルス「コビッド19」の流行により、世界の同年1~3月の経済成長はマイナス成長に陥る可能性も指摘されています。

中国への輸出数量が減少する他、国内の需要への悪影響も懸念されており、一部のサプライヤーを除いて需給は緩和傾向となることが見込まれます。国内のポリオレフィンサプライヤーはさらなる構造改革や競合との統廃合に着手する可能性もあるでしょう。ただし、既に国内では廃棄や統合が進んでおり、対象となる装置は汎用グレードを多く生産する装置に限定されそうです。

次回はポリオレフィンの原料となるオレフィンの国内需給と展望について掲載いたします。こうご期待ください。


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PlaBase編集部
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