【第5回】プラスチック加飾のフィルム加飾技術:プラスチック加飾技術

今回の記事は…
プラスチック加飾技術について紹介する連載の第5回。今回は、加飾フィルムの詳細について解説する。

 加飾フィルム


加飾用基本フィルム
フィルムとシートは厚さによって区分されているが、加飾には、両者が使用されているので、本シリーズでは、原則として、区分せず、“フィルム”で表現する。
加飾フィルム用の“基本フィルム”としては、PMMA、易成形性PET、PC、ソフトアクリル、PMMA/PC/PMMA積層、ABSフィルム等が用いられ、最近PP系のフィルムが出光ユニテック㈱ (*3-6) 等から販売された。さらに、2010年台前半に、欧米のメーカー数社が自動車外板仕様を満たすフィルムとして、フッ素系などの複合フィルム(シート)を開発している。本フィルムは、既に、第3回の自動車塗装レス外板の項で説明した。

【 表1 】

主要な基本フィルムの性能比較は表1のとおりで、目的、使用する方法によって使い分けがされている。意匠面のみを成形品に残す転写成形のキャリアフィルムとしては易成形PET、水圧転写にはポバールが使用される。その他の樹脂および易成形PETはフィルムを製品に残す貼合成形に使用される。

【 図1 注目される加飾基本フィルム 】

特徴のある基本フィルムの例を図1に示す。図1上に示す出光ユニテック(㈱)のPPフィルム (*3-6) はPPでありながら、印刷性、光線透過率も他の透明材料と同程度に改良されており、これまで難しかったPP基材への貼合用フィルムとして期待され、今後、部品全体の軽量化、易リサイクルが期待される。同図下左は、帝人㈱のバイオPC (*3-7) で、通常のPCと比較して、光線透過率が高く、耐候性にもすぐれていて、自動車外装用加飾フィルムとして使用されている。図下右は東レ㈱の構造色フィルムピカサス(*3-8) で、着色材なしで、その層構成によって各種の発色ができ、見る角度で色が変化し、構造色フィルムと言われる。(構造色については後述する)。その中で、メタリック品は、最も需要が多く、見かけ上メタリックでありながら、光、電磁波を透過し、衝突回避システム等に搭載されるミリ波レーダーの部品などとして使用されている。

加飾フィルム
加飾基本フィルムに各種の意匠表現をし、接着層を付与したのが加飾フィルムである。

【 図2 加飾フィルムの基本構成とバリエーション 】

加飾フィルムの基本構成とバリエーションを図2に示す。意匠表現は、スタート時から使用されている印刷を基本として、これに着色、蒸着等を組合せた意匠表現が用いられている。また、加飾フィルムは各種バリエーション、各種機能の組込みが可能である。表面加工、表面層付与、添加剤配合などで、表面触覚、表面保護、さらに、第2回で説明した臭覚、聴覚、電気・電磁波・光性能などの機能を付加したフィルムが供給されている。IM―D用、OMD用ともほぼ同様な構成であるが、接着層は異なる。成形時の温度、圧力が低いOMD用には、低温、低圧で接着性が発現する層が用いられる(詳細省略)注目される加飾フィルム(第2回で説明した機能付加フィルムは除く)の例を図3に示した。

【 図3  注目される加飾フィルム、成形品】

フィルム加飾において傷つき防止は重要で、通常は、ハードコート層付与フィルムを使用するが、表面硬度と伸びのバランスで限界があり、成形時に大きな伸びが必要な深い成形品では、成形後アフターキュアが必要である。しかし、図3左上に示すアイカ工業㈱のハードコートフィルム (*3-9) は、伸びが大きく表面硬度も高いので、アフターキュアなしで高い表面硬度が得られる。これに対し、同図左下に示す東レ (*3-10) 他の自己治癒コートフィルムは外力で簡単に傷がつくが、数秒後にもとに戻る特性があり、傷つきを防止している。同図右上、下は、ゼロワンプロダクツの天然木シート (*3-11) 、村田金箔㈱のホログラム+印刷フィルム貼合品 (*3-12) を示す。その他各種注目品があるが省略する。

参考文献


*3-6) 出光ユニテック㈱ 説明資料
*3-7) 帝人㈱3-1-27) 帝人㈱ コンバーテイングテクノロジー総合展2019
*3-8) 東レ㈱
*3-9) アイカ工業㈱ コンバーテック総合技術展2019、2019/8/19毎日新聞
*3-10) 東レ㈱ ルミラー 展示会
*3-11) ゼロワンプロダクツ㈱ 私たちの小さな挑戦/ユビキタス・グリーン 
*3-12) ㈱村田金箔 コンバーテイングテクノロジー総合展2019

著者


MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会 桝井捷平

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PlaBase編集部
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