「これはどういう意味なの?」と思わず聞きたくなる製図記号:機械図面を読むための、基本の基(4)

今回の記事は…
この連載では、機械設計やトレースのビギナーさんはもちろん、それ以外で機械設計の現場にかかわる方や学生さんも対象にして、機械図面(三面図)の読み取り方の最低限の基本について解説していきます。

 

最後は、設計しない人からすると、「どういう意味なの?」と思ってしまう製図記号など紹介します。

穴の加工法が記述されている

【キリ】

ドリルで開ける穴には、直径寸法に合わせて「キリ」、リーマを通す穴には「リーマ」と指示することがあります(例:「20キリ」「5リーマ」など)。ざっくり、ドリル穴は部品やねじ頭の逃げなどそれほど高い精度がいらない穴、リーマは位置決めピンやシャフトを入れるために高めの精度が必要な穴に用いたりします。

穴などのピッチの表現

以下は、一部、現在のJISのルールではないようなのですが、今もよく出てくる表現です。つい最近も、機械設計や製図の専門外の方々から「どういう意味なの?」と尋ねられました。

【複数の穴の寸法記入例(このPは何ですか? と聞かれます)】

配線用の穴など、たくさんの穴が行列している場合、穴の個数を指示して、最初の穴と最後の穴までの寸法を「間隔寸法(ピッチ)×間隔の数(穴の数ではありません)=合計寸法」と記述します。ピッチの頭に「P」と書く人もいます。

【P.C.D:現在のJISルールではない】

穴のピッチを示すものには「P.C.D」(Pitch Circle Diameter)という表記もあります。穴が円状に配置されている場合、ピッチの径にP.C.D.と書きます。「P.C.D.18」「6×Φ4」なら、直径18mmの円に、直径4mmの穴を均等な角度で6個配置しますという意味になります。なお現状のJISでもピッチ径の指示ルールはありますが、「P.C.D」とは描きません。

 

材料厚さを表す

板状の部品(板金や基板など)の厚さ寸法を「t」で表す場合があります。例えば正面の形状だけ描いて、厚みを注記にtで指示する場合があります。「t=5」であれば、厚さが5mmという意味です。ただし、tで示すのはあくまで材料寸法であって、精密な精度を保証する値ではありません。

 

加工精度の表現

「10±0.01」のように、メインの寸法値の横に小さく書かれた数字があります。これは「公差」です。「10±0.1」であれば、「部品加工時には、10mmを中心にして、0.1mmまで小さく、または0.1mmまで大きくなってもかまいません」という、設計側からの指示です。この場合は±が均等に振られていますが、+が0.05、-が0.15のように不均等になっている場合もあります。

【公差の指示】

図面の寸法値に上記のような公差が書かれていない場合、適当な精度で加工をしてもいいというわけではありません。図面の表題欄に、「一般公差表」が付いていて、その範囲で加工精度を出してもらいます。

なお、( )で囲われた寸法は、「参考寸法」といい、おおよその寸法を書いたものであり、加工精度を保証しなくてもよい、参考値ということです。

また以下の図のような、「幾何公差」もあります。

【幾何公差の例(平行度)】

幾何公差は、本業の設計者でさえも、設計物によっては「難しい」「ややこしい」と悩むことがあります。今回は詳細の解説は割愛します。ひとまず、「“平行”“真っすぐ”“円”など、理論的に正しい形状を定義して、厳しく寸法管理するためのルール」とだけ理解してください。

面肌の精度(面の美しさ)

精度に関するところとしては、以下のような面肌記号もあります。

【面粗さ(Ra1.6は、軸受穴などのはめあい部でよく見られる粗さ)】

細かい説明はここでは省略しますが、ひとまず「研磨してつるつるに」「密閉部になるから」といった場合に、面粗さの値の保証をお願いする指示だと覚えておいてください。

ちなみに昔のJISは、面粗さについて「▽」で表現していました。分厚ファイルに閉じられた紙の図面でよく見かけますね。「▽▽」「▽▽▽」のように、▽が増えるほどきれいになります。上の図の「Ra1.6」は▽▽▽の範囲になります。「イッパツ」「ニハツ」「サンパツ」と読みます。

今回解説したのは、ひとまず機械図面を読むための最低限の知識です。もちろん、機械製図にはもっと細かいルールがたくさんありますし、機械製図や設計が本業の人はこの知識だけではぜんぜん足りません。

いまは製図の本も、昔のような堅苦しく分かりづらいものではなく、実務に寄り添ったやさしい表現のものも出ています。一冊買って、製図やCADに、ぜひチャレンジしてみてください。

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PlaBase編集部
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