エンジニアリングプラスチックの定義と歴史:エンジニアリングプラスチック概論【1】

今回の記事は…
この記事では、エンジニアリングプラスチックの定義や分類、開発の歴史など解説します。

(執筆:安田 武夫/安田ポリマーリサーチ研究所)

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、汎用熱可塑性樹脂より長期耐熱性、機械的強度などの各種特性が優れた熱可塑性樹脂である。例えば長期耐熱性は、汎用熱可塑性樹脂が約100℃以下に対して、エンプラは約100℃以上である。

エンプラはその図1に示すように耐熱性を基準として「汎用エンプラ」「スーパーエンプラ」に二分される。耐熱性が100~150℃以上で、強度が50MPa以上、曲げ弾性率が2.4GPa以上あるプラスチックを汎用エンプラとし、より耐熱性の低い汎用プラスチックと区別している。 耐熱性がさらに高く、150℃以上の高温でも長期間使用できるものを特殊エンプラまたはスーパーエンプラとする。

図1 各種エンプラの位置づけ

エンプラ開発の歴史

表1に各種エンプラの開発の歴史を示す。

編集部注:企業名は開発当時の名称とします。現在は組織変更や合併などで名称が異なる場合があります。

エンプラ系材料は、1930年代後半、DuPontが繊維系材料としてポリアミド66(PA66)を生産開始したことに始まる。同材料は1950年代初頭に現在のエンプラ的用途に使用されはじめた。

本格的なエンプラの誕生は、1950年代後半にDuPontがポリアセタール(POM)ホモポリマーを金属代替材料として市場開発を開始した時である。直後にBayer、GEがポリカーボネート(PC)、Celaneseがポリアセタール(POM)コポリマーを上市、市場開発が開始された。その後変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が開発され、1970年には、現在の汎用エンプラが出そろった。

一方、スーパーエンプラは、1947年にDuPontがフッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を市販したことに始まり、1966年にポリスルホン(PSU)、1971年のポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、1972年のポリエーテルスルホン(PES)、1973年には日本で開発されたポリアリレート(PAR)が開発された。

その後、1980年にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、1982年にポリエーテルイミド(PEI)、1984年に液晶ポリマー(LCP)が開発された。1989年からはPA6T、PA46、PA9Tなどの高耐熱性PAが開発されている。

表1 各種エンプラの上市時期の歴史

エンプラの用途は、工業製品が中心で自動車、電気・電子を中心に、OA機器、各種産業機器、容器・包装、医療、建材、スポーツ用品などと応用範囲は非常に広い。
自動車関連では、最近、地球環境保護の観点から従来の内燃機関を動力としたものから、動力源の多様化が模索されており、次世代車というべきEV・HEVの生産・販売が伸び、従来車もエレクトロニクス化が進み、新しい用途が生まれている。
一方の大手用途先の電気・電子では、日本での生産は減少しているが、世界の生産基地での中国などアジアでの発展が続き、各種エンプラの需要が伸びている。

最近のプラスチック関連の技術動向まとめ

表2に最近の注目すべきプラスチック関連の技術動向を示す。

表2 最近の注目すべきプラスチック関連の技術

上記のようなプラスチック関連の技術開発は、材料開発、成形加工、その他の技術に分けられる。次回は、その主なものについて紹介していく。

(次回に続く)

 

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PlaBase編集部
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