量産と個別最適、モノづくりの二極化を考える:金沢のクリエイター集団seccaインタビュー【後編】

この記事は…
デザインをキーワードにこれからのモノづくりについて、金沢のとあるクリエイターの方から、お話を伺いました。

(執筆:北村さくら/PlaBase編集部)

いつも、PlaBaseをご利用いただき、誠にありがとうございます。

前後編に分けてお届けしている、secca inc.(株式会社 雪花/以下secca)代表取締役の上町達也さんのインタビュー、今回は後編です。

seccaでは、石川県金沢市に拠点を構え、体験価値を大切にしたプロダクトデザインに携わっています。前回は、体験価値を大切にしている理由や、モノや素材に対する考え方をお聞きしました。前回の記事をまだお読みでない方は、ぜひそちらからご覧くださいね。

今回は、そんなseccaが考える、これからのモノづくりについて、伺っていきましょう。


――今後、モノづくりはどうなっていくとお考えですか。

DtoC(Direct to Consumer)が増え始めて、メーカーが直接顧客と会話をしながら、商品と価値を届けていくことが当たり前になった時に、個別最適な欲求に応えていく人と、個人のニーズがどんどんマッチングされていく時代になると考えています。

――seccaの製品も体験価値を重要視する中で、個人のニーズを大切にしていらっしゃいますよね。

普通は、1つデザインして、たくさん数を売った方がよいと考えるかもしれません。しかしそれはこちらの商売上の都合でもあります。極論、その人のことだけ考えて作られたオンリーワンのモノの方が、お客さまにとってはうれしいことではないですか? 例えば、料理人のための器であれば、その人との会話からしか生まれることのないオリジナルの器で、その人の料理表現をどれだけ拡張できるかということになると思います。「個人を満足させるために、モノづくりに何ができるか」が僕たちの課題だと捉えていて、今後もそれを突き詰めていきたいと考えています。

今後も世の中から大量生産はなくなりはしないでしょうが、サスティナビリティ(持続可能性)をしっかり担保して、経済も資源も健全に循環する形で、適切な量を作る人たちしか、生き残れないように感じます。そこと、個人に寄り添ったモノづくりをする人との二極化が激しくなるのかもしれません。

――seccaは、個人に寄り添ったモノづくりをする側になるということですね。

そうですね。seccaはいつの間にかその中間的なポジションを取っていました。量産もできなければ、個別に最適化するノウハウもない。それではどこにもフィットする対象がなく、一時面白がられ、すぐに淘汰されていくだけの存在になってしまうと気づいたので、量産では実現できない個別最適なモノづくりをseccaとしては追求して行っていこうと割り切りました。量を作る場合には、他のパートナー企業組んで、デザイナーとして関わっていきます。

ただ、デザイナーとして意匠設計だけ受けているのとは、少しスタンスが違いますね。その会社の技術や素材をしっかり把握した上で、「なぜ作るのか」といったビジョン共有から関わらせていただき、最終的には機構部分まで含めて形状を作り込めるところは、われわれの強みだと考えています。あとは自社の工房でも制作をしているため、産みの苦しみが分かった上で関われるのも大きいと感じています。

――石川樹脂さんと製作した、「ARAS(エイラス)」「Plakira(プラキラ)」などは、その例でしょうか。

まさにそうです。石川樹脂さんと僕たちとのペアでしか取れない案件が、出てきているところに大きな可能性を感じています。質が高く量を生産できる会社と、その技術や素材の良さを理解した上でデザインする僕たちが、パートナーシップを組んでしかできない製品を今後も作っていきたいですね。「お金を稼ぐ」ということ以上の価値を、一緒に作ることができていることにやりがいを感じています。

 

意義を捉え直すタイミングを経て

大手メーカーでプロダクトデザインをしていた時に覚えた違和感から、体験価値を大切にしたモノづくりに目覚め、それに取り組み始めた上町さん。今回は、seccaとして、これからどのようにモノづくりに関わっていくのか、というところまでお尋ねしました。

誰も予想し得ない状況となった、この2020年ですが、期せずして、さまざまな物事の意義やこれからについて、考える機会が増えたように感じます。モノづくりは、今後実際、どのような変化を迎えていくのか、それに対してわれわれはどうしていくべきなのか、考え続けていくことが重要になりそうです。

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。