おもちゃには美しさが重要!?開発の苦労とは:おもちゃの設計とプラスチック(4)

この記事では…
プラスチック製おもちゃの開発についての連載。今回はおもちゃの外観の重要性と開発に伴う苦労について解説します。

(執筆:おりも みか/製造業ライター)

前回の記事では、おもちゃの安全性とデザインのジレンマについてお話しました。デザインは形だけではありません。色や外観の美しさも、おもちゃにとっては重要な要素の1つです。

おもちゃにとって色は重要

おもちゃを手に取る際、真っ先に視覚に飛び込んでくるのは「色」です。

赤ちゃん向けのおもちゃは赤青黄といった原色が多いと思ったことはありませんか?まだ視力の弱い赤ちゃんは、淡い色よりも原色の方を好んで手にする傾向にあるといわれます。

またカラフルな色合いは赤ちゃんにとって適度な刺激になります。

一方で、大人は特に赤ちゃん向けのものにはパステルカラーのようなふんわりと柔らかい風合いを好みます。
色一つとっても、そこには込められた意味があるのです。

色合わせは大変な作業

おもちゃの開発段階において、色合わせはとても難しく、時間のかかる工程です。

たいていは印刷された色紙など、プラスチックとは異なった質感のものを元にサンプルを作成するので、色があっているのかいないのか、一人では判断できず何人もスタッフに聞いて回って確認をします。

色彩感覚は個人差が大きい上に数値化できないので、納得のいく色が出せず、何度も工場にサンプル作成を依頼しなくてはならないこともあります。特にキャラクターがある場合は版元の確認が必要となってくるため、さらに時間がかかります。

成形色決めは金型作成と同時進行で行いますがプレートや仮成形品で色OKとなっても、実際の金型でサンプルを作成し、組み上げてみたらバランスがおかしい、イメージと違う、なんてことはよく起こります。

海外の工場からはよく「日本人はうるさすぎる」と文句を言われるので、日本人ならではのこだわりなのかもしれません。

プラスチック材料そのものの色も問題

プラスチック材料は着色されていない状態で透明なものもあれば、白色、乳白色など種類によって異なっています。そのため、成形品の色出しは、材料毎に全て異なります。異素材で同じ色を出さなくてはならない場合も、差異が出ないように注意しなければなりません。色が決まらないために量産をスタートすることができず、時には色確認のためだけに海外工場へ出張することもあります。それほどおもちゃにとって色は大事なのです。

女児玩具ではクリアカラーにラメといった成形品も好んで用いられるため、おもちゃではますます美しいカラーが求められる傾向にあります。

成形不良による問題

プラスチック成形において、避けては通れないのが成形不良です。もちろん成形不良をなくすことが前提ですが、コストと納期の厳しいおもちゃでは全くのゼロにすることは非常に難しいのが実情です。ショートショットは遊びや安全性に影響を及ぼすため絶対にNGですが、他にも注意すべき成形不良があります。

外観に影響を及ぼす成形不良

ウェルドラインは消費者には傷に見えやすく、ヒケも外傷的な凹みに見えやすいため注意が必要です。特におもちゃのキャラクターやキーポイントとなる箇所に成形不良が出てしまうことは、ダイレクトにクレームにつながります。

キャラクターの顔だけでなく、魔法アイテムの重要な宝石パーツに傷があっては絶対に許されません。おもちゃは単に外観の美しさだけでなく、世界観を壊さないための配慮が必要なのです。

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プラスチック成形に慣れてくると、ある程度の成形不良は「出ても仕方のないもの」というような認識におちいりがちです。ですが消費者にとっては理解しがたいものです。メーカーと消費者の間で認識に大きな隔たりがあると、クレームの原因となるばかりか、評価や信用にもかかわってくることにもなりかねません。

おもちゃの外観の美しさは成形色だけではありません。次回は加飾についてご紹介します。

(次回に続く)

プロフィール

おりも みか  新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。

Twitter ID;@jilljean0506

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

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