【第8回】 二次加飾と目的別加飾:プラスチック加飾技術

この記事では…
二次加飾や目的別加飾について説明します。

(執筆:桝井捷平/MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会)

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印刷


印刷は、情報伝達や加飾のための手法として世の中で広く使用されている。図8-1に示すように従来の有版基本印刷であるオフセット(平版)印刷、グラビア(凹版)印刷、フレキソ(凸版)印刷、スクリーン印刷(孔版)の他に、印刷形状範囲を広げたパッド印刷8-1)、三次元曲面印刷8-2)も開発されている。

図6-1 印刷

図8-1 印刷

UVインクジェット印刷は、プラスチックなど多種多様な素材に、印刷することができる。図8-2にインクジェット印刷の例を示す。

図6-2 インクジェット印刷例

図8-2 インクジェット印刷例

揮発性有機化合物(VOC)を含まないので、環境にも優しく、版が不要で、オンデマンド印刷ができることが大きな特徴で、用途が拡大している。スクリーン印刷、パッド印刷などよりも形状対応性に優れており、一定範囲の凹部まで印刷ができるが、これには限界がある。深い形状品への印刷8-3)、3次元(3D)形状品への印刷8-4)も検討されている。

3D印刷を行う場合は、伸びの大きいインキを用いて、フィルムまたはシートにインクジェット印刷を行い、そのフィルムシートを用いて、IM-D、OMDあるいは熱成形を行う間接法を用いる。さらに、インクジェット塗装の開発や、射出成形直後のインクジェット印刷の開発8-5)も行われている。

真空製膜


真空製膜には、「真空蒸着」「イオンプレーティング」「スパッタリング法」があり、いずれも金属粒子などを活性化させて、成形品表面などに付着させる。図8-3に示すように、真空蒸着層の厚さによって、EMI(電磁気妨害)シールド、加飾金属膜、金属調でありながら金属が不連続な非導電性膜、構造色を発現する光学多層膜、薄膜などが付与され、加飾ならびに機能性付与加飾として利用されている。

図6-3 真空製膜例

図8-3 真空製膜例

3D形状に適用する場合は、印刷と同様、一端フィルムに真空製膜後、IM-D、OMDを行う。金属不連続のメタリック調で、電波を透過する膜については、自動運転車両の開発や市場投入が進む中で利用が拡大すると考えられる。

めっき


プラスチックにメタリック感を付与するプラスチックめっきが開発され、使用されている。使用されるプラスチックは主としてABS系の樹脂であるが、近年、ABS樹脂以外へのめっき技術も開発されている。最近のめっき事例を図8-4に示す。

通常めっき以外に、部分めっき、めっき+イオンプレーティング8-7)、金属イオンめっき、配線めっきなどが行われている。

塗装


プラスチック塗装は、「表面の保護」「美観の付与」「機能の付与」を目的として行われる。漆は表面保護と美観付与の面において、優れた塗料の一種である。

図8-4に最近の塗装例を示す。

図6-4 各種二次加飾例

図8-4 各種二次加飾例

超光沢メッキ調塗装(8-8)、塗装フィルム(日本ペイントオートモーティブコーテイン)を用いて、TOM成形で生産したフロントグリル製品である。また、塗装は通常モノトーンであるが、関西ペイント(8-9)は、1つのガンで同時塗装ができる新しい塗装による加飾システムを開発し、日本ペイントは、和紙調の塗装8-10)を実現している。

レーザーマーキング


図8-4に示すように、レーザー照射を用いて、塗膜を部分剥離して下地の基材を部分的に見えるようにしたり、特殊配合樹脂を使用して発色させたりすることが可能である(8-11)。金属粒子などを混合した樹脂を射出成形後にレーザー照射して、金属粒子を導体化し、無電解メッキを施して回路形成などを行うLDS工法(Laser Direct Structuring、8-12)も開発されている。

組み合せ加飾(一次加飾を含む)


より付加価値を高めるために、2つ以上の加飾技術を組合せた加飾が見られる。

日本では、「IMF(In Mold forming)」とH&Cの組み合せや、高品質原着材による成形がよく行われる。デジタルシボ金型による成形については、「H&C(Heat & Cool)」などの金型表面高品位転写成形が併用される。

表面保護や、意匠性の一層の向上などを目的として、水圧転写、インクジェット印刷や他の印刷手法、めっき、真空蒸着といった加飾の上に、さらに塗装を行うことも多く行われている。

めっきとイオンプレーティング、ABSとPC/PBTによる2材質成形から、部分めっき品を得る技術、金属粒子配合樹脂成形品にレーザー照射して、金属粒子を導体化し、これにめっきすることで、回路を形成する技術などが用いられている。

 


参考文献

8-1:スペースシステムズ株式会社「3次元表面加飾技術展 2019」
8-2:株式会社秀峰 入手資料、サンプル
8-3: 山形大学 入手資料
8-4:桜井株式会社「IPF2014」他
8-5:タクボエンジニアリング株式会社「IPF2014」他
8-6:津田工業株式会社
8-7:塚田理研工業株式会社 くるま軽量化技術展2015
8-8:ネクサス オートモティブ 2018
8-9: 関西ペイント株式会社(3-6-16) 大木宗治,若林賢治、塗料の研究(No138、July 2002)
8-10:日本ペイント株式会社「高機能ワールド 2018」
8-11:株式会社キーエンス
8-12:第一樹脂工業株式会社:「くるま軽量化技術展 2015」

著者


MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会 桝井捷平

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PlaBase編集部
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