「第3回 名古屋オートモーティブワールド2020」オンライン展示会レポ(後編)

この記事では…
2020年10月に開催された「第3回 名古屋オートモーティブワールド 2020」に出展していた企業の製品の数々を、プラスチックの技術動向・産業動向に明るい安田 武夫氏が紹介(後編)。
(執筆:執筆:安田 武夫/安田ポリマーリサーチ研究所)

2020年10月21~23日3日間、 ポートメッセなごやで「第3回 名古屋オートモーティブワールド 2020」が開催された。当時も、新型コロナウイルス感染拡大問題への注意が必要な状況での開催であったため、直接会場へ出向かずに、オンライン展示会に参加。出展内容が優れていた会社に筆者が連絡を取り、記事掲載の了解が得られた内容だけ紹介するようにした(前編はこちら)。

イナック


イナックは、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透明樹脂を使用した自動車部品などのスケルトンモデルを展示した(写真5)。

写真5 フロントグリル モックサンプル

同社では、自社設計によるオリジナルデザインの自動車フロントグリルを製作。高度な仕上げ研磨を施し加飾を行なったモックサンプルを写真5に示す。製品サイズは、400×800×155mmである。

特徴は、以下である。

・工法:光造形機、シーメット製「ATOMm-8000」
造形サイズ:600×800×400
・材質:TSR-829(高透明耐湿光造形材料)

 

塗装、蒸着メッキといった加飾との組み合わせも自在である。

同社ではトポロジー最適化による3Dモデル作成も行っている。開発段階での形状確認時に活用できる。

シライ電子工業


シライ電子工業は、5G向け透明フレキシブル基板「SPET-SG」や、透明ヒーターフィルムなどを展示した(写真6)。

写真6 3次元立体配線用透明フレキシブル基板

同社は、FCCL(Flexible Copper Clad Laminate)技術を用いて、3次元立体配線用透明フレキシブル基板および透明ヒーターフィルムを開発した。

これらの製品の特徴は、以下である。

1.賦形(ふけい)、インサート成形が可能であり、プラスチック一体型の3次元立体配線構造が形成できる
2.全光線透過率90.0%の透明フレキシブル基板・ヒーターで、導体も分かりにくい透明構造が形成できる
3.高い耐熱性があり、部品実装後に賦形、成形することで3次元部品実装構造が形成できる

 

今までのMID 技術(Molded Interconnect Devices)やウェアラブル技術の収縮インキとは異なり、銅張積層板を用いた点は「業界では初」(同社)となるという。

塚田理研工業


塚田理研工業は、同社で取り扱う各種めっき技術を展示した(写真7)。

写真7 3D-MID(LDS工法)による製品

LDS工法はLPKF Laser & Electronicsが開発した3次元配線形成技術である。金属錯体を分散した樹脂材料を用いて、レーザー光により錯体(さくたい)を還元し触媒核として、選択めっきにより回路形成する。

具体的には、LDS認定された材料(この場合PBT)を射出成形し、レーザー処理により回路を形成。その後、無電解めっき処理でメタライジングし、表面処理(ソルダーレジスト)する。その後、無電解Niめっき処理 もしくは無電解Auめっき処理により回路を形成する。

山下電気


山下電気は、同社独自の成形技術である「Y-HeaT」(ヒート&クール成形)を採用した樹脂/金属の接合強度向上や繊維強化樹脂の表面外観向上などを展示した(写真8)。

写真8 ピアノブラック無塗装ウエルドレス成形品 (ABS樹脂/PMMA)

ピアノブラック調の樹脂部品は従来、塗装により作られていたため、コストが高くなりがちであった。同社のウェルドレス成形技術「Y-HeaT」は、塗装レスでピアノブラック調の成形が可能。塗装レスによってコストダウンにも貢献できるとしている。

同社の「ヒート&クール成形」により、ウェルドラインやフローマークなどがない高光沢外観成形品を作り、従来の化粧塗装を不要にすることで、部品コストを削減した。

写真9は、当日の説明パネルからの抜粋である。

写真9 製品案内(展示パネル)からの抜粋(出典:山下電気)

オンライン展示、訪問側にとっての長所と短所


今回は、コロナ禍の中で開催されたオンライン展示会に初めて参加することになった。車載向けプラスチック関連を扱っていた出展社と電話で連絡を取り、了解が得られた会社を紹介した。会場に行けなかったため、写真も少なく、生の声が聞けなかったのは残念である。

オンライン展示会は展示情報収集のためには、非常に便利なものである。会場で各ブースを回り、資料収集する作業はかなりの重労働となる。オンラインを利用すれば多くの情報にアクセスできる。オンライン展示会と実際の展示会の同時開催という方式は、しばらく続くと思われる。

実地の広い敷地で開催される大型展示会を1日じっくり見て回ると、結構疲れるものだ。例えば、オンライン展示会で情報収集をした後に、実地の展示会へおもむくようにすれば、効率よく企業展示を見て回れるようになり、心理的・体力的な負担も減るのではないだろうか。

(終わり)

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。