【第10回】目的別加飾、今後の展望:プラスチック加飾技術

この記事では…
目的別加飾について解説した後、プラスチック加飾技術今後の展望について述べて本連載の締めくくりとします。

(執筆:桝井捷平/MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会)

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目的別加飾とは


金属調(メタリック)加飾技術

「メタリック加飾」としてはメッキが代表的な技術であるが、環境負荷が大きく、これに代わる技術が多く開発され、実用化されている。表10-1に示すように、蒸着フィルム、ナノ多層構造色フィルムのIM-D、OMD、およびメタリック着色コンパウンドの成形、銀鏡塗装(Metalize Finishing System)など使用されている(個々の技術内容はそれぞれの項目を参照ください)。

表10-1 金属調加飾方法

艶消し加飾技術

プラスチック製の商品においては、光沢が好まれる場合と艶消しが好まれる場合がある。自動車の外板や家電製品、化粧品、衛生用品などは一般的には光沢が好まれ、自動車の内装、内装建材などは一般的に艶消しが好まれる。ノートパソコンや携帯電話の筐体などではケースバイケースで、どちらも使用される。また、最近自動車外板でも艶消しのものが見られ、逆に自動車の内装で、インパネなどの大きな艶消し部品の周辺にフィルム貼合や水圧転写による光沢部品も用いられる。

光沢のある商品は、高級感がある半面、「落ち着かない」「傷・汚れが目立つ」「疲れる」といった問題がある。逆に艶消し商品は「落ち着く」「汚れが目立たない」などの特徴がある半面、「汚れが拭いにくい」との問題もある。

これらの違いがあることを認識の上で、いずれを選択するのか、またどの程度の艶消しにするのかを決める必要がある。なお、光沢度合いは表面凹凸によって決まり、光沢品と艶消し品の明確な境界があるわけではない。

艶消しの方法として、表10-2に示す各種の方法がある。プラスチックのモルホロジー、配合、添加剤などによる改質による方法、成形に使用する金型にシボを施し、適切な成形加工条件で成形する方法、および艶消し処方をした塗料、インキ、フィルムなどで後加工またはインモールド成形する方法、さらにはブラスト処理する方法がある。

表2 艶消し加飾方法

表10-2 艶消し加飾方法

加飾技術の今後の展開


加飾技術の今後の展開について、下記の通りにまとめる。

1.製造業が「低コスト競争」から「高付加価値競争」へシフトしており、加飾はますます重要になる。ただ、「見栄え」は世代、性別、個性で非常に多様化している。従って、コストパフォーマンス、きめ細かなニーズ把握が必要で、機能付加もされる加飾技術がより注目されると考えられる。

2.「フィルム貼合・転写加飾」は、意匠表現性に優れ、各種機能付与も行いやすい加飾で、今後も活発な動きがある加飾技術であると考えられる。とはいえ、やはりコストがかかる加飾技術であり、コストと価値をよく見極めながら取り組んで行く必要があり、他の機能の付加も検討していくことが求められる。フィルム加飾技術の中では、いろいろな優位性のあるOMDへのシフトが進んでいくと予想される。自動車外板への展開も期待される。一方で、コスト面で、限界があるとも言われている。

3.特別な表面層なし加飾(NSD)は加飾技術としての認知が進み、低コスト加飾、塗装代替加飾として、採用が拡大していくと予想される。

4.技術進歩と、多品種少量生産対応性から二次加飾が継続して使用されていくと予想される。特に、インクジェット印刷は版不要で、オンデマンドで、微細な印字、塗布、厚盛り等が可能で、今後、大きく進展すると予想される。

5.環境に優しい素材(植物由来樹脂、繊維、顔料、塗料など)の利用による加飾が拡大していくと考えられる。また、環境に好ましい状態で行える技術(塗装レス加飾)が普及すると考えられる。

6.自動車の外板に、フィルム加飾(フィルムラッピングを含む)、モールドインカラーによる加飾が採用されると予想され、インモールド塗装の採用の可能性もあると予想される。

7.人は、目で見た心地よさ以外に、触れたときの心地よさを好むことから、ソフト加飾、特にソフトフィール加飾が拡大すると考えられる。

8.バイオミティクスの利用による構造色加飾、その他の機能付加加飾が拡がると予想される。

9.CF(カーボンファイバー)、CNF(セルロースナノファイバー)、SpF(蜘蛛の糸合成繊維)などの繊維複合材料が高強度と加飾の併用での使用が先行して展開されると予想される。

10.「金属で利用されている切削、金属塗装などの加飾」がプラスチック加飾へ適用されることが期待される。

11.高速で、表面外観が良好な3Dプリントなど少量多品種生産に適した技術が求められる。

12.自動運転で室内リビング化、表示および操作系のHidden化、ソフト化、エンタメ対応が求められ、加飾カバー部品へのセンシング透過および遮蔽の機能+α(防曇、防汚、抗菌など)が進み、自動車の内装は大きく変化すると予想される。

13.着せ替え、織物柄の利用、自分だけ加飾(個性、経験と記憶、思い・想いの加飾)、コラボレーションなども進展すると思われる。


連載「プラスチックの加飾技術」は今回で終わりとなります。ご愛読ありがとうございました。(編集部)

著者

MTO技術研究所 兼 加飾技術研究会 桝井捷平

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PlaBase編集部
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