応力―ひずみ曲線から何が分かるか:プラスチックの強度(13)

この記事では…
引っ張り試験と、引張応力―ひずみ曲線の読み取り方について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

>>前回の記事

プラスチックの引張試験は、ゆっくりした一定速度で引っ張ったときの荷重Fおよび変形量ΔLを測定し(図1)、次式のように引張応力σと引張ひずみεを求める。試験法は日本産業規格の「JIS K7161」(プラスチック-引張特性の求め方)で規定されている。図1 引張試験法

このようにして求めた応力σを縦軸に、ひずみεを横軸にプロットした図が「応力―ひずみ曲線」である。応力(Stress)とひずみ(Strain)をS-S曲線と表現することもある。

図2に、鋼のような弾性体とプラスチックのS-S曲線の例を示す。

図2 S-S曲線

弾性体は応力とひずみは比例関係(フックの法則)にあるので点線で示す直線になるが、プラスチックは粘弾性体であるので、応力とひずみは曲線になる。この理由は、ゆっくりした速度で引っ張っている間にポリマー間のずれによる粘性ひずみが発生することによるものである。

弾性体の引張弾性率(ヤング率、縦弾性係数)は直線の勾配として求められるが、プラスチックは直線性を示す範囲が狭いので、2点の微小ひずみに対応する応力から次式で求めている。S-S曲線では、次のことが分かる。

①縦軸の応力は、大きいものは「強い」ことを表し、小さいものは「弱い」ことを表す。
②横軸のひずみは、大きいものは「粘り強い」ことを表し、小さいものは「脆い」ことを表す。
③曲線の勾配は、急勾配のものは「硬い(たわみにくい)」ことを表し、緩勾配のものは「軟らかい(たわみやすい)」ことを表す。

従って、同一条件で測定されたS-S曲線パターンから各プラスチックのおおよその特性を知ることができる。

図3にS-S曲線パターンとその特性を示す。

図3 S-S曲線パターンと材料特性

JIS規格では引張速度や温度を一定にして測定したときのS-S曲線であるが、条件が変化するとS-S曲線のパターンが変化することも留意すべきである。

図4は引張速度や温度を変えたときのS-S曲線パターンの概念図である。

図4 引張速度、温度とS-S曲線パターン

引張速度が速くなると「硬くて強いがもろい」材料になり、遅くなると「弱いが軟らかく粘り強い」材料になる。また、温度が低いと「硬くて強いが脆い」材料になり、高いと「弱いが軟らかく粘り強い」材料になる。

(次回へ続く)

sample
PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。