圧縮強度はどんな強度か:プラスチックの強度(14)

この記事では…
プラスチックの圧縮強度について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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試験片に圧縮荷重を加えたときの変形の様子を図1に示す。荷重を加えると圧縮変形するが、荷重が大きくなるとやがて座屈変形を示す。引張試験のように試験片が破断することはなく押しつぶされた状態になる。図1 圧縮荷重と変形の関係

圧縮試験法は日本産業規格(旧日本工業規格)「JIS K7181(圧縮特性の試験方法)」に規定されており、試験片は角柱、円柱、管形状のものを用いる。

圧縮応力σは、次式で求める。

圧縮ひずみは次式で求める。

一般的に圧縮試験では荷重を大きくしても破壊しないので、座屈する応力を圧縮強度とする場合や一定のひずみを生じたときの圧縮応力、例えば、圧縮ひずみ1%や5%などの圧縮応力を圧縮強度とすることもある。

圧縮弾性率は、引張弾性率と同様に2点の微小ひずみに対応する応力を結ぶ直線の勾配から求める。

一般的に、プラスチックの圧縮強度は引張強度に比べると大きくなる特性がある。図2は引張応力(Stress)-ひずみ(Strain)曲線と、圧縮S-S曲線の例である。

図2 圧縮と引張の応力ーひずみ曲線の例

圧縮S-S曲線では座屈するひずみまでは引張S-S曲線とほぼ同じ曲線になるが、座屈したあとはひずみが増大するとともに圧縮応力の方が大きくなる特性を示す。

ストレスクラックは引張応力が大きいとクラックが発生して破壊するが、圧縮応力ではクラックが発生しないので破壊に至らない。引張応力の
下ではポリマー間隔が離れるようになるので分子間力は弱くなりクラックが発生して破壊する。一方、圧縮応力の下ではポリマー同士が近づくようになるのでクラックが発生しないと推定される。従って、プラスチック製品の強度設計では圧縮応力が発生するように設計するのが安全である。

図3 ねじ締め付けによる発生応力と割れ

図3(a)は金属配管にプラスチック製内ねじキャップを締め付けた例である。

キャップを締め付けると図に示す位置に引張応力が発生する。締め付けトルクが大きいと大きな引張応力が発生するので、時間がたつとクラックが発生して割れ事故になる。一方、図3(b)の設計ではパッキン締め付け部に圧縮応力が発生するので、締め付けトルクが大きくてもクラックが発生することがなく安全な設計ができる。

(次回へ続く)

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PlaBase編集部
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