衝撃強度はどんな強度か:プラスチックの強度(16)

この記事では…
衝撃強度や、それを評価するシャルピー衝撃試験法について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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図1に示すように、物体に力Fを加えてΔLだけ変形させると、物体内には(F・ΔL)のエネルギーが吸収されたことになる。ここでエネルギーの単位はJ(ジュール)である。

図1 試験片を変形させたときの吸収エネルギー

衝撃試験は衝撃体を高速で衝突させたときに試験片が吸収し得る最大エネルギー(J)を測定する方法である。日本産業規格(JIS)のプラスチック衝撃試験法には、シャルピー衝撃試験(K7111)、アイゾット衝撃試験(K7110)、引張衝撃試験(K7160)、パンクチャー衝撃試験(K7211)などがあるが、ISO(International Organization for Standardization)ではシャルピ―衝撃試験を標準衝撃試験法としている。

シャルピー衝撃試験法を例にすると、衝撃体(ハンマーの衝撃刃)が試験片に衝突する速度は2.9~3.8m/secと規定されている。引張試験における引張速度が5~10mm/min(8.3×10-5m/sec~83.3×10-5m/sec)であるのに比較すると非常に速い速度で衝突させることが分かる。弾性変形や塑性変形(分子間のズレ)によって試験片が衝撃エネルギーを吸収できれば破壊しない。従って、衝撃吸収エネルギーが大きいほど、衝撃強度は優れていることになる。

シャルピ―衝撃試験を例にして試験法を説明する。衝撃試験装置と試験片の取り付け方法を図2に示す。

図2 シャルピ―衝撃試験装置の概略図

また、試験片の形状を図3に示す。

図3 シャルピ―衝撃試験片の形状(ノッチありの例)

同図はノッチを入れた形状である。ノッチを入ない形状もある。測定結果には「ノッチなし」、「ノッチあり」を明記する。また、測定値は試験片固有の値であるので、衝撃強度ではなく衝撃値と表現するのが一般的である。

測定は試験片を支持台にセットする。ハンマを角度(α°)まで持ち上げ、ロックをはずすとハンマは自重で振り降ろされて衝撃刃が試験片に衝突する。試験片が破壊しなければNB(No Break)と表示する。破壊した場合にはハンマの振り上がり角度(β°)を測定する。そのときの衝撃吸収エネルギーE(注1)からシャルピー衝撃値SIを次式で求める。

シャルピー衝撃試験による衝撃値は試験片固有の値であるので、実用製品の衝撃強度を表すものではないことに注意すべきである。他の試験法による衝撃値も同様に注意すべきである。

(次回へ続く)


注1:ハンマの持ち上げ角度と振り上がり角度から、次式でシャルピー衝撃エネルギーを計算する。

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PlaBase編集部
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