プラスチックのことならプラ博世にお任せ!塩化ビニルの巻

プラ博世
こんにちは。プラスチックを愛してやまない研究員、プラ博世です。プラスチックはいろいろな長所があるけど、環境問題が重視されるようになった今、廃棄したあとのことも考えて造らなければならないんだよね。
プラべくん
うん。そういえば、焼却処分するときにダイオキシンなどの有害物質が出るって騒がれた時期もあったよね。
プラ博世
それって、塩化ビニル樹脂(PVC)のことだね!?不買運動にまで発展したけど、その後の研究でいろいろわかってきたこともあるんだよね。
プラべくん
じゃあ、今回はその塩化ビニル樹脂(PVC)について紹介していこうよ

プラ博世
OK。

 

 

塩化ビニル樹脂(以下、PVC)はどんな素材?

PVCは、塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を付加重合させて造られている。ただ、塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を重合させただけだと硬くて脆い。熱を加えると柔らかくなるので、熱可塑性樹脂の一つとして分類される。

PVCは結晶質。紫外線にあたると分子を構成する塩素原子がはずれて劣化黄変しやすくなることから、可塑剤、安定剤を加えてこれを防いでいる。

原料の塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)は、高圧ガスで不安定な化学物質。発癌性があり人体に影響を及ぼし、そのまま接すると健康を害することもある。

だから、製造は厳重な安全管理のもとで行われている。ただ、PVCの重合体になってしまえば、安定した固体となり人体への影響はない。

 

 

PVCとダイオキシンの環境問題

PVCが発見されたのは1935年。金属やガラス、木材、紙、布など代わる新素材として、世界中で使われるようになっていった。今では、世界全体で年2500万トンも使われている。

日本で工業化され、使われるようになったのは1941年のこと。しかし、1990年代になって、PVCを焼却したらダイオキシンが発生するということで環境問題として取り上げられるようになった。

ダイオキシンの構成元素には塩素が含まれているから、「犯人はPVCだ」みたいな感じだったんだね。その後、PVCの生産量は減少したけど、最近では焼却する時にダイオキシンが発生するのはPVCなどの塩素系プラスチックだからではなく、塩素と芳香族化合物が含まれる廃棄物を焼却する時、不完全燃焼になると発生することがわかってきている。

その対処法として、不完全燃焼を軽減させるために焼却炉の性能を向上させることや、分別収集を行うことで塩素を含むごみを焼却しないなどが提案されている。PVCの重量比は塩素が約半分。石油消費量が小さいことから、他の石油系プラスチックより二酸化炭素排出量が小さい。

この観点から言えば、地球温暖化の原因になる二酸化炭素排出が少ないから環境への影響も小さいってことだ。

また、製造過程でもエネルギー投入量や石油消費量が少なくて済む、断熱性も高いことから省エネに貢献する素材だと見なされるようにもなってきている

 

 

PVCの特性とは?

PVCは耐候性に優れているので、屋外の環境で使うことができる。

また、耐薬性もあり、酸やアルカリ性にも強い。ただ、有機溶剤には弱い。水を通さないし、電気も通さない。燃えにくく、難燃性があり、自己消火性も有している。耐衝撃性は低いけど、ゴム特性を有するABS、MBSなどの耐衝撃性改良樹脂を混合することで、用途改良されてきている。

PVCが100に対して5~20部の耐衝撃性改樹脂を混合すれば、十分な衝撃強度を得ることができる。PVCは極性が大きいので、いろいろな種類の機能性樹脂との相溶性が良い。だから、簡単にポリマーアロイを形成できる。

すなわち、硬質のPVC製品の短所を改善するために、ポリマーアロイの手法が使われている。軟質のPVC製品は、ポリマーアロイの他に、高分子量の可塑剤によって、耐熱性などの改質もできる。

PVCは加工性もバツグンだから、硬いものから柔らかいものまでいろいろな製品を作ることができるんだ。着色性、印刷性も優れ、価格的にも安い。

 

 

PVCはどんなものに使われているの?

PVCが使われているものは、身の回りにたくさんあるよ。靴やカバンの合成皮革、文房具、縄跳びのロープ、食品を包装するラップフィルム。それから、医療用バッグやチューブ、工業用のホース、農業用のビニールハウス、水道管や建築資材など、本当にありとあらゆるものに使われているんだよ。

2010年以降、地球温暖化対策が重要視されるようになり、その一環として住宅など建物の断熱性向上が求められるようになってきている。これは、新築の家だけではなく既存の建物に対しても対策を強化するという方向性にあって、窓枠にはPVCを使うことが推進されている。

なぜ、窓枠にPVCなのかって?PVCのサッシは1955年、西ドイツで作られるようになり、省エネタイプの窓としてヨーロッパを中心に発展してきたんだ。最近ではLow-E複層ガラスにPVCの窓枠というのがあるけど、従来のガラスにアルミの窓枠に比べて、断熱性は3倍もある。

ということは、気密性、遮音性に優れていることにもなるんだ。また、結露やカビ・ダニの発生、躯体の腐食防止にもなっているという利点もあることから、注目されているんだよ。

 

 

PVCの将来的展望

環境問題で騒がれてから悪いイメージとなったため、実のところPVCの生産量は減少している。

ただ、その特性や加工性の良さは他の素材では代替できないものも多いと言われている。早くからPVCの窓枠を使っているヨーロッパでは、現在PVCサッシをリサイクルする取り組みが進められているらしい。

PVCの廃棄処理はコストが高いみたいだけど、日本でもしっかりしたリサイクルの体制を整えていこうという動きもあるし、今後はPVCの需要も拡大していくんじゃないかな?

 

 

今回のまとめ

    • PVCは、塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を付加重合させて造られている熱可塑性樹脂の一つ。
    • 原料の塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)は、発癌性があり人体に影響を及ぼす。製造は厳重な安全管理のもとで行われている。PVCの重合体になってしまえば、安定した固体となり人体への影響はない。
    • 1990年代になって、PVCを焼却したらダイオキシンが発生するということで環境問題として取り上げられるようになったが、現在は塩素と芳香族化合物が含まれる廃棄物を焼却する時、不完全燃焼になるとダイオキシンが発生することがわかってきている。
    • PVCは、耐候性、耐薬品性、耐酸性・耐アルカリ性に優れている。
    • PVCは、耐水性、難燃性もあり自己消火性を有している。強度が高く、電気絶縁性にも優れている。
    • PVCは、加工性に優れ、硬質から軟質までいろいろな製品を作ることができる。着色性、印刷性も優れ、安価である。
    • PVCは耐衝撃性は低いが、耐衝撃性改良樹脂を混合することで改良されてきている。
    • PVCは、いろいろな種類の機能性樹脂と相溶性がいいので、簡単にポリマーアロイを形成できる。
    • PVCは、靴やカバンの合成皮革、文房具、縄跳びのロープ、食品を包装するラップフィルム、医療用バッグやチューブ、工業用のホース、農業用のビニールハウス、水道管や建築資材など、ありとあらゆるものに使われている。
    • Low-E複層ガラス+PVCの窓枠は、地球温暖化対策として注目されている。

 

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PlaBase編集部
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