熱可塑性プラスチック材料の作り方(2)「重合工程におけるポリマーの変性」 :プラスチック材料の基礎知識(4)

この記事では…
前回に引き続き、熱可塑性プラスチック材料の作り方について解説する。重合工程におけるポリマーの変性について取り上げる。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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ここでいう「変性」とは、「ポリマーの基本構造を変えることなく、一部の分子鎖の種類または配置を変えること」をいう。

同一のモノマーを用いて重合したポリマーがホモポリマー(単独重合体)である。主モノマーに他のモノマー(コモノマー)を加えて重合することを「共重合」という。共重合したポリマーがコポリマー(共重合体)である。ホモポリマーとコポリマーの分子配列の概念図を図1に示す。

図1 ホモポリマーとコポリマーの概念図

共重合体にはランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーがある。ホモポリマーの基本的特性を保持しつつ、成形性や物性を改質する目的でコポリマーに変性する。

次にコポリマーによる改質例を紹介する。ホモポリマーのポリプロピレン(PP)は成形性、耐薬品性、強度・剛性などは優れているが、耐寒衝撃性が良くない。コモノマーを共重合すると、強度や弾性率はやや低くなるが、耐寒衝撃性は改良される。コポリマータイプのPPは自動車バンパ―のベース材料として使用されている。

ポリスチレン(PS)は透明であり、優れた流動性を有しているが、強度が低く、耐薬品性もよくない。スチレンにアクリロニトリルを共重合したAS樹脂は、これらの弱点が改良され自動車バッテリーケース、化粧品容器、扇風機の羽根などに使用されている。

ホモポリマーのポリアセタール(POM)は結晶化度が高いので強度や弾性率は高いが、成形時の熱安定性がよくない。コモノマーと共重合すると、結晶化度はやや低くなるが、成形時の熱安定性は向上する。歯車、カム、その他摺動部品に幅広く使用されている。

フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は耐熱性、耐薬品性、耐摩擦摩耗性、耐候性は極めて優れているが、非常に粘度が大きく、非溶融であるため射出成形や押出成形ができない。ある種のコモノマーと共重合すると成形可能なコポリマーとなる。電線コネクタ、医療器具、化学装置のバルブ、パイプなどの押出成形や射出成形に使用されている。

幹になる分子鎖(主鎖)に対して枝になる分子鎖(側鎖)の配列の規則性を立体規則性という。図2に示すように、側鎖が1方向に配列したアイソタクチック、交互に配列したシンジオタクチック、バラバラに配列したアタクチックなどがある1)。

図2 立体規則性と分子配列概念図

図2 立体規則性と分子配列概念図

側鎖の配列の仕方によってプラスチックの性質が異なる。立体規則性は重合技術や重合触媒技術によって制御される。

側鎖にメチレン基(注1)を持つPPでは、アイソタクチックは結晶化度が高く強度や耐熱性が優れていることからアイソタクチックPPが広く使用されている。側鎖にベンゼン環(注2)を持つPSでは、アタクチックPSが透明性や流動性が優れていることから、雑貨用途に広く使用されている。一方、シンジオタクチックPSは結晶化速度が速く、結晶融点も高いことからエンジニアリングプラスチックとして工業部品に使用されている。


筆者注
注1 PPの分子式を示す。側鎖はメチレン基(-CH3)である

注2 PSの分子式を示す。側鎖はベンゼン環である

引用文献
1)中條澄著、エンジニアのためのプラスチック、p.139、工業調査会(1997)

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PlaBase編集部
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