「第3回 関西次世代3Dプリンタ展」レポート(後編)

の記事では…
2021年10月にインテックス大阪で開催された「第24回 関西ものづくりワールド」の「第3回 関西次世代3Dプリンタ展」をレポートします(後編)。
(執筆:松永弥生/ライター)

>>前編

極小サイズのモデルの出力が得意「microArch」


BMF Japanのブースには、「microArch」シリーズで出力したサンプルが展示されていた。中には、肉眼では形状が分からないような極小モデルもあった。

microArchは、指先に乗るような極小サイズのモデルの出力を得意とする3Dプリンタだ。超高精度 AM(Additive Manufacturing)技術により、樹脂部品の加工交差は±10um/±25umまで縮小された。リードタイムは最短1営業日まで短縮されているそうだ。素材は光硬化性のアクリル樹脂。最大造形サイズは、19.2×10.8×45mm。最小積層ピッチは0.01mm。手に取ってみると、従来の3Dプリンタでは実現できない滑らかさが分かる。細かい穴の精度やエッジの効いたパーツも再現できるとのこと。

今、需要があるのは医療関係や電気会社のコネクタなど。今後、活用が期待できる分野として、補聴器や歯科材料、精密部品、エネルギー電子部品、マイクロロボット、バイオテクノロジーなどを挙げる。ジャンルを問わず、小さくて精度が求められる部品を作る企業がターゲットとなる。こうした極小モデルを出力できる3Dプリンタの認知度が低いのが、課題だと同社はいう。認知が広がれば、3Dプリンタが活躍する業種が増えるだろう。

緑内障向け眼圧降下ステント。肉眼では形状が判別できないほど小さい

緑内障向け眼圧降下ステント

同社のパンフレット表紙にもなっている、東京タワーのモデル

レーザー焼結方式の3Dプリンタ「Fuse1(フューズ1)」


Formlabsは、レーザー焼結(SLS)方式を搭載した3Dプリンタ「Fuse1(フューズ1)」とパウダー回収ステーション「Sift1」を国内で初展示した。

SLS方式は、ナイロンのパウダーにレーザーを直接あて、一層一層焼き固める技術だ。造形物をまわりのパウダーが支えるため、サポート材なしで複雑なデザインの造形が可能になる。

素材は、ナイロン12およびナイロン11がある。ナイロン12は、強度とディテールのバランスが取れており、機能的なプロトタイプや、複雑で頑丈さが求められる最終品の両方に対応できるパウダーだという。一方、ナイロン11は、ナイロン12と比較すると、より柔軟性、弾力性が高く、薄壁の造形なども可能だそうだ。

「Fuse Sift」は、Fuse1専用のパウダー回収ステーションだ。レーザー焼結したパーツを抽出し、使用済みのパウダーを回収して未使用のパウダーと混ぜてリサイクルできる。パウダーの除湿や窒素注入がいらないため、安全で簡単、低コストで購入・運用が可能だという。

最大造形サイズは、ナイロン12パウダーの場合で159×159×295mm。積層ピッチは110μm。


Fuse1とFuse Siftのワークフロー


光造形では出力できないモデルも造形できる

1時間で最大10cmの造形速度「Figure 4」


スリーディー・システムズ・ジャパン(3D Systems)では「Figure4 Standalone」と素材サンプルパーツを展示。「Figure4 Standalone」の特徴は、1時間最大10cmの造形速度を有する点だ。Figure4 Standaloneで使用可能な素材には、紫外線硬化性樹脂では難しかった耐紫外線性能に優れたものがある。他にも剛性で耐久性に優れた熱可塑性プラスチックのような特徴を持つ素材、ゴムのように鋳造可能な素材、耐熱性や生体適合性のある高機能な素材がそろっているという。

現在は自動車関連のメーカーやコネクタや電子部品メーカー、フィギュアなどの玩具メーカーなどで使用されているそうだ。最大造形サイズは、124.8×70.2×196mm。ピッチは65ミクロンと細かく、表面の質感も忠実に再現できるため、住宅設備のデザイナーにも好評だという。

同社は「プロトタイピングとして使われるだけでなく、最終製品でも使ってほしい」と考えているとのことだ。

1時間最大10cmの造形速度の「Figure4 Standalone」

表面の質感もリアルに出力される

3Dプリンタ活用の誤解と展望


「3Dプリンタは量産に向かないから、実用的ではない」と考えている企業がまだあるようだ。そうした人たちは、3Dプリンタの用途を誤解しているのだろうか。

製造業では商品化に至るまでに、試作を繰り返す。そのため、リードタイムとコストがかかるのが避けられなかった。その課題を解決する方法の1つが、3Dプリンタだ。3Dプリンタの活用で、金型不要の製造プロセスにより射出成形用の金型作成の時間とコスト削減が可能となる。

日本国内の3Dプリンタの普及は、世界と比べ遅れているといわれている。しかし、精度の高い3Dプリンタが登場し、コンシューマーや教育用だけでなく、製造業や医療分野でも3Dプリンタの導入が進んでいる。

今後、多品種少量生産への流れが進むに従い、 3Dプリンタの需要はますます拡大していくだろう。

(終わり)

プロフィール
松永弥生(まつなが・やよい)
関西を中心に活躍するフリーライター。2000年からロボコン観戦を始め、三月兎のハンドル名でイベントレポートや動画で情報発信を開始。編集部からの依頼でライターデビュー。以来、ロボットや製造業関連ニュースをメディアに発信してきた。得意分野は、ロボットと製造業。モノづくりが大好き。文章講座やプレスリリース講座の講師としても活動中。
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PlaBase編集部
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