2021.11.17大塚化学

リビングラジカル重合を用いたディスプレイ部材用ポリマー材料の開発:PR

この記事では、大塚化学がリビングラジカル重合法を用いた機能性ポリマー「TERPLUS」について詳しく解説する。(記事提供:大塚化学株式会社)

1.大塚独自のリビングラジカル重合法を用いた機能性ポリマー「TERPLUS」


ラジカル重合反応は、多くのビニルモノマーを穏和な条件下で重合できる汎用性を持っているため、工業的に広く用いられていることは周知のとおりである。しかしながら従来のラジカル重合では成長末端の制御がなされないため、生成するポリマーの分子量分布や構造を制御することは困難である。これに対し、リビングラジカル重合は成長末端の制御を行うことで生成するポリマーの分子量とその分布を制御して合成することができる他、ブロック共重合体のような構造制御されたポリマーを合成することも可能であることから、ナノテクノロジーを支える機能性高分子材料合成の基盤技術となることが期待されている。

我々は京都大学・山子教授のグループと共に、有機テルル化合物をプロモーターとするリビングラジカル重合法(TERP法)1)の有用性に着目し、研究開発を行ってきた。TERP法は適用可能なモノマー種、反応溶媒、制御可能な分子量領域が広いことから、工業的な機能性ポリマー材料の製造法として適している。

我々はTERP法を用いて合成される機能性ポリマー「TERPLUS」を主に下記製品群で展開を行っている。

2.粘着剤への応用


100万近い高分子量領域でも高度な分子量制御が可能なTERP法の特長を活かした用途として、我々は粘着剤での展開を進めている。TERPLUSを粘着剤に適用する特長は下記のとおりである。

・低分子量成分が少ない ⇒ 被着体汚染の低減、耐熱性の改善
・分子量分布がそろっている ⇒ 高凝集力の発現
・分子鎖間での架橋成分導入が均一 ⇒ 高伸張・追随性

ディスプレイ用途での適用事例としては優れた耐汚染性を活かし、光学フィルム工程・搬送保護フィルムでの適用を進めている。前述の通り、TERPLUSは被着体汚染の原因となる低分子量成分が従来の重合法と比較し低減されていることから優れた耐汚染性を発現する。

左図:TERP法で合成したポリマーは分子量10万以下の成分含有量が従来法(FRP法)と比較し少ない。
右図:150℃×1hr後の被着体汚染比較。従来品では低分子量物の移行による汚染が見られる。

また均一な架橋構造を活かし、光学透明粘着フィルム(OCA)での適用を進めている。TERPLUSは架橋構造が従来ポリマーと比較し、より均一であることから応力集中が回避される。繰返し応力が加わる場面で塑性変形が抑えられるため、使用に適している。

 

3.顔料分散剤への応用


リビングラジカル重合の特長である構造制御と、TERP法の特長である極性モノマーの重合制御とブロック共重合体の設計自由度の高さを活かした用途として、我々は顔料分散剤での展開を進めている。TERPLUSを顔料分散剤に適用する特長は下記のとおりである。

・ブロックポリマー構造により顔料吸着成分を偏在化することで、顔料表面に強固に吸着
・分散媒親和ブロックが広がることにより発現する立体障害により、顔料同士の再凝集を防ぐ(分散安定性)
・分散媒親和成分に機能性成分を導入することで機能付与(架橋性、アルカリ現像性等)が可能

ブロックポリマー構造の優位性を確認するために、モデル系ポリマー(DMAEMA/BMA=10/90)でのカーボンブラック分散性能を比較した。

TERP法により合成されたブロックポリマーは、FRP法により合成されたランダムポリマーと比較し、分散性能の改善が見られた。

ディスプレイ用途での適用事例としては、高い分散性および分散安定性と、現像性等の機能付与を活かし、液晶ディスプレイ、W-OLEDディスプレイで使用されるカラーフィルター用顔料分散剤での適用を進めている。

4.生産体制


我々はTERPLUSの市場開拓および量産技術検討を進めた結果、専用プラントを建設するに至った。当プラントは世界でも有数のリビングラジカル重合技術によるポリマーの工業生産が可能なプラントであり、数百kgレベルの試作から数tレベルの生産に対応する。

5.まとめ


今回、ディスプレイ部材用ポリマー材料として、独自のリビングラジカル重合法を用いた「TERPLUS」について紹介した。今回開発応用例として粘着剤と顔料分散剤を紹介したが、TERP法は、その設計自由度の高さから、化学・電子・光学・医療などの最先端分野に用いられる機能性ポリマーの製造技術として、今後も非常に有効な手段になると考えている。

6.参考文献


1) Yamago,S., Chem. Rev.. 109, 5051 (2009)

大塚化学からのお知らせ

本記事で紹介した「TERPLUS」について、大塚化学主催のウェビナー『次世代ディスプレイの技術動向と求められる機能性材料開発』で紹介します。本ウェビナーでは、テック・アンド・ビズ株式会社の北原氏、カワサキテクノリサーチの川崎氏による次世代ディスプレイについての専門的な講演をお届けします(質疑応答もあり)。

日 時:12月10日(金)13:30~15:30 終了予定
主 催:大塚化学株式会社
ウェビナーツール:zoom
参加費用:無料

ウェビナーに関して、お問い合わせはこちらから。

 

提供:大塚化学株式会社

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PlaBase編集部
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