2019.08.28連載

【7】組み立てられる塗装工程とその条件。また出来上がった塗膜の耐性とその年限は?

やっと組み立てることができる塗装工程とその条件などを探検してみよう


 

※塗装は神業で取り組む世界ではなく、決められた条件・方法等で精度よく繰り返して実施する世界である。

素材(被塗物)が整い、塗料及び塗装設備装置冶具類が整ったことから、次は実際の塗装工程に踏み込みましょう。その工程とは、塗装ブース/搬送コンベアでの塗装を前提にして、

①着荷 ➜ ②除塵 ➜ ③プライマー吹付 ➜ ④下塗吹付 ➜

⑤上塗吹付 ➜ ⑥セッティング ➜ ⑦乾燥硬化 ➜

⑧放冷 ➜ ⑨脱荷

※以下、この繰り返し

この流れで立派な塗装品が得られます。

 

この工程の中で、⑥のセッティングは非常に重要で、粘度の低い塗料の液体が霧化され、素材(被塗物)に塗布された直後から乾燥炉に入るまでの15分前後の間に、塗膜のレベリングや気泡の離脱、シンナー類の乾燥固化前の穏やかな飛散を進めるエリアです。静かに放置する、という意味でセッティング(setting)の処理をします。

この全ての循環工程においても、いかにして素材及び作業エリア内のゴミ・ホコリを抑え、除去して綺麗な状態を保ち続けるかどうかが操業管理の神髄であり、各企業・ライン毎の技術でありノウハウになります。

 

出来上がった塗膜はどのようなことに耐え続けなければならないか? その年限は?


 

※塗膜は素材の守り神でもあるから、5年・10年と守り続ける性能が必要。

塗装・塗膜が製品の付加価値向上や長期耐久性等の信頼性を得て、産業界はもちろん、日常生活の中でも非常に重要な役割を果たしております。

今回のシリーズでは、このことを裏付けるための代表的な試験方法を紹介しながら、その試験方法と、実際に世の中で塗装製品が使われ続ける間に受ける厳しい刺激に耐えるための方策を論説してみます。それぞれの試験装置・設定条件等は、基本的にISO(JIS)あるいは顧客が指定するものに従うことが必須要件です。

間違っても、根拠がない、勝手な方法や条件での試験は進めないで欲しいと思います。

 

(1)耐候性

屋外で使われる製品は太陽光に含まれる紫外線によって劣化されるが、塗料・塗膜はその対策ができています。それは、塗料の主要成分である樹脂成分を紫外線による劣化刺激に強いものを選んだり、塗料を構成する添加剤として、紫外線安定剤類を適量加えることで成り立ちます。紫外線安定剤類の添加は、塗料の成分・内容等を熟知している塗料メーカーの担当領域です。

試験装置の代表的なものは、ISO(JIS)に準じて精度良くコントロールできるサンシャインウェザーメーターと呼ばれるもので、人工的に発光する紫外線と温度・湿度等の刺激を、一定の条件で繰り返して加えるものです。顧客が決めるスペックに合格するかどうかは、その試験の経過時間によって退色(色の変化・劣化)やチョーキングの発生有無等で判断されます。

実際に過酷な自然環境下で暴露試験を実施することもあります。そのテストの有名なエリアには、アメリカのアリゾ州、フロリダ州、日本では沖縄などがあり、専門の試験受諾機関・組織があります。

 

(2)耐温水性

水分は地球上で無くてはならない物質ですが、塗料・塗膜にとっては紫外線と並んで厳しい刺激を与えられるもので、じわじわと、あるいは急激に塗膜が劣化させられたりして塗膜としての機能を果たせなくなってしまうことがあります。具体的な不具合事象としては、塗膜に亀裂が生じたり、簡単に剥がれたり、部分的に気泡(膨れ)が生じたりします。これらの状態になってしまうと、世の中で塗膜としての性能を発揮でいなくなります。

試験装置は、ISO(JIS)に準じて精度良くコントロールできる温水槽の中に試験片を浸漬し続けて、一定の時期ごとに取り出して塗膜劣化の有無を調べ、異常がなければ再び浸漬し続けて決められた時間まで試験と観察を続けます。

他にも塗料・塗膜の試験方法は多種多様ありますが、別の機会での論説を期待しましょう。

 


Part6はこちら

【6】塗料を塗るための冶具・道具類及び設備機器類にどのようなものがあるかを探検してみよう

 

この記事のPart1はこちら

【1】プラスチックをなぜ塗装をするのか? 何を期待して塗装をするのか?
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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。