「日本 ものづくり ワールド 2023」で見た、プラスチック製品づくりとDX(前編)❘【特集】射出成形とDX

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2023年7月度のPlaBase特集は、「射出成形とDX」

⁠これから約1カ月間、射出成形に関係するデジタル技術やDXをテーマとした記事をいくつかお届けしていきます。(期間中には、本テーマ外の記事の配信もございます)
⁠今後、「こういうテーマで特集をしてほしい!」というご要望もお待ちしております。ぜひ編集部までご連絡ください。

この記事では…

2023年6月、東京ビッグサイトで開催された「日本ものづくりワールド2023」の取材レポートを、前後編でお届け。プラスチック製品の設計・製造のDXに関連した展示を中心に紹介します。

(執筆:おりも みか、小林 由美/PlaBase編集部)

2023年6月21~23日、東京ビッグサイトで「第35回 日本ものづくりワールド」が開催された。近い日程で開催されたほかの大型展示会も同様の状況であるが、新型コロナウイルスが5類に変わったのちの開催ということで、会場内はコロナ以前の賑わいが戻りつつあるといったところだった。

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日本ものづくりワールドは、製造業にとっては、長年開催されてきた恒例の大型展示会の1つ。昨年もお伝えしたように、その歴史の中で、時代の変化に合わせて専門展のあり方が大きく変化してきた。今回は、「製造業DX展(MDX)」が新設され、グーグル社も出展していた。

今回のレポートは前編・後編構成で、プラスチック製品の設計・製造のDXに関連した展示を中心に紹介する。

成形不良を事前に検知できるAI――MAZIN

MAZINは2018年にAI技術者2人が創業。もともと製造業に特化していたわけではなく、AIシステム開発やデータ解析の受託を行っていた。その中で、客先の1つであった成形工場が抱える課題感が共通しているという気づきから、射出成形AIを開発。射出成形を中心とした工場関連の引き合いが多かったことから、現在は製造業の生産現場に特化したソリューションをメインに事業を展開する。

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MAZINが展示していた成形条件自動調整AIは、射出成形時に成形不良が発生すると良否を判断し、問題があればラインアウトするといった対応を自動で行ってくれる。従来のカメラによる画像検知とは異なり、金型に設置したセンサーによって金型のキャビティー面の内圧と樹脂温度などを検知し、AIによって数値分析を行う。そのためショートショットなどの形状不良だけでなく、ヒケやバリ、ボイド(気泡)やブリスター(膨れ)といった目視での判断が欠かせなかった不良にも対応しているという。

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AIによる良品・不良品判定の例

さらにAIが良品時の金型の状態を学習して理想的な成形条件の推奨値を提案してくれる。立ち上げがスムーズになるだけでなく、例えば夜間などパラメータをコントロールできるので、熟練オペレーターが不在の場合でも、大きな手助けとなるだろう。人材不足、成形技術者不足が懸念される業界にあって、AIは解決の糸口として期待できる。

成形工場ではいくつものメーカーの成形機を置いていることも多いが、MAZINのシステムは、機器のメーカーを限定することなく設置でき、かつ買い切り型のため規模の小さい成形工場でも導入しやすくなっているという。さらに初期学習の際に少ないサンプル数でスタートさせることができるというのもポイントとなっている。

画像センサー技術×IoTで成形不良を事前に予測――パナソニック インダストリー

パナソニック インダストリーはパナソニックグループの電子デバイス領域を担当する事業会社であり、電子・電気部品、制御機器、電子材料の開発や製造を行っている。主要な事業は工場の自動化、情報通信インフラ、車載デバイスなどだ。

同社産業デバイス事業部の展示では、画像センサー「SVシリーズ」を使用した成形品の不良検査のデモを披露した。

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成形不良検査のデモ

SVシリーズは、カメラとコントローラが⼀体化しており、省スペースで⼿軽に設置できるのが特⻑であるという。⾼速検査にも対応しており、細かい検査を⾏うための検査機能が充実しているため、バリやショートといった形状不良から、⿊点などの外観不良まで広く対応できる。

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デモシステムに設置された画像センサー「SV」

SVのWebサーバ機能により、事務所などの離れた場所からモニタリングしたり、複数のSVの検査状況を集中監視することが可能だ。

製造現場での目視検査は感覚的に行われがちで、担当者によって品質にバラツキが生じることが問題であった。また、⼈材確保や育成を課題としている工場も多い。SVは、既存の設備に簡単に設置できるので、工場のIoT化により、これら課題を改善することが期待できる。既に自動車部品や電⼦機器を始め、幅広い分野で導⼊実績がある。

予期せぬ稼働停止を未然に防ぐ――イグス

ドイツを本社とするイグス(Igus)は、エンジニアリングプラスチックの素材開発、射出・成形技術をベースとした製品を開発するグローバル企業だ。同社の主力製品は、ケーブル保護管「エナジーチェーン」、可動ケーブル「チェーンフレックス」、樹脂ベアリング「イグリデュール」「イグボール」「ドライリン」の3種。

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スマートプラスチックのデモ機

イグスの「スマートプラスチック」とは、工場内で使用されるエナジーチェーンやチェーンフレックス、ベアリングにセンサーユニットを取り付け、センサーから得られる測定データを監視するシステムである。

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同社が開発した状態監視システム「i.Sense」はセンサーから得た情報を管理モジュールへ送り、あらかじめ設定された閾値を超過し異状があると判断されると、PLCにI/O信号を送ることで、機器を自動停止したりできる。

さらに寿命予測計算「i.Cee」では、i.Senseと連携し、ローカルネットワークやIoTシステムとの連携を行う。i.Ceeは、同社独自のアルゴリズムによって使用条件や稼働頻度から負荷を割り出して、設備部品の疲労状態を把握したり寿命を予測したりが可能だ。さらにシステムを介してユーザー側に部品交換時期のリマインドを送るといったこともできる。

寿命予測の基本的なシミュレーションは、同社が公開している論理式に基づいて行われているが、さらにセンサーから収集する現場情報をもとに補正値を加えることで、より現実に即した精密なデータを提供可能であるという。

スマートプラスチックシステムでは、現場に行かなくても遠隔から設備の監視が行えるため、若手離れや人材不足が問題視されている保全の現場での業務効率化に期待できる。

今回披露したスマートプラスチックシステムは、1度の稼働停止が多額な損害を生みかねない比較的大規模な生産設備がメインターゲットとなっている。しかし今後は、より小さな規模の工場でも導入できるような技術開発も視野に入っているそうだ。

スマートプラスチックシステムは既に、海外でBMWを始めとした自動車工場や、湾港といった大規模な工場で導入が広まっているという。国内においては、営業を開始したタイミングがコロナ禍と重なってしまい動きが鈍かったものの、コロナ問題が落ち着いてきた最近は顧客から具体的な引き合いが増えてきたということだ。(後編に続く)


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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。