2024.05.20コラム

ポリ袋とラップも材料が違う! 使い分け、できてますか?:生活とプラスチック(3)

Image


今回の記事では…

かつておもちゃメーカーで生技や品証をやっていた筆者。日常生活でも手に取るモノに使われているプラスチックの種類を同定しがち。今回は、ポリ袋やラップの材質は何か見ていきましょう。


⁠(執筆:おりも みか/製造業ライター)



⁠生活の中のプラスチックを思い浮かべたとき、真っ先に思い浮かべるものは何ですか? これまではプラスチック成形品について説明してきましたが、今回は身近なプラスチック製品の代表であるポリ袋やラップについて解説していきます。

【これまでの記事】

Image



⁠ポリ袋はPEとPP 


⁠一般的にポリ袋や、「ビニール袋」と呼ばれているプラスチック製の袋は、PE(ポリエチレン)製です。PE製でも低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポチエチレン(HDPE)に分けられます。


Image

ポリ袋の例


⁠LDPEは透明で柔らかく、用途によってさまざまな厚みで利用されます。また、加工によって帯電防止や防臭などの機能を付与することができ、防臭ゴミ袋などにも利用されています。薄いLDPEは適度に通気性があるため、野菜などの保存袋としても利用されています。LDPEは耐寒性が高い(-20℃程度)ため、冷凍する際にも使用できますが、耐熱性は70℃~90℃と高くないため、電子レンジでの解凍や、ポリ袋を使った調理などには適しません。

⁠一方で、HDPEは半透明で薄くても比較的強度が高いため、レジ袋などに利用されています。シャカシャカとしたさわり心地で、耐熱性は90℃~110℃と高いため調理にも利用できます。上記の画像では、緑の箱がHDPE、紫の箱がLDPEになります。機能に差があるため、必要に応じて選ぶと良いでしょう。

⁠余談ですが、我が家の猫がよく遊ぶのはHDPEで、LDPEには興味を示しません。

Image

なんで?


⁠またよくポリ袋に利用されるプラスチックとしてはPP(ポリプロピレン)があります。PP袋は透明度が高く光沢があり、さらに印刷の際インクの発色が良いため食品などの包装に使用されています。

⁠PP袋は大きくOPP(オリエンテッドポリプロピレン;延伸ポリプロピレン)とCPP(キャストポリプロピレン;無延伸ポリプロピレン)に分けることができます。


⁠角のあるものがOPP袋から突き抜ける 

OPP袋は、熱をかけて引き伸ばして製造しており、ぱりぱりとしたハリのある透明度の高い素材で作られています。外観に優れているため、ラッピング資材としてよく利用されています。防湿性が高いためお菓子の包装にも利用されています。加熱されているためヒートシール性は良くありませんが、食品包装用にヒートシール機能を付与された製品も販売されています。また製造工程上、接合部の引き裂き強度が低いため、そこから破れてしまうことがあります。

Image

破けたOPP袋。ちょっとイライラします


⁠ラッピングや梱包をしたことのある人ならば、1度はOPP袋を割いてしまった経験があるのではないでしょうか。私はおもちゃの梱包仕様を決める際、何度やっても試験で割けるので、OPP袋に苦手意識があります。

食品をしっかり守るCPP

CPPはやわらかくて伸びやすく、裂けにくい素材です。お菓子の包装を開けようとしたら伸びるだけでいつまでも切れない。そんなときに使用されているのはCPPかもしれません。食パンなどの袋としても利用されています。製造工程で加熱されていないため、ヒートシール性がよく、ラミネートのシーラント基材としても利用されます。

⁠OPPに比べると透明度が劣ります。

Image

食パン袋の例


⁠そのほか、包装資材としてPET(ポリエチレンテフタレート)やPA(ポリアミド)などがピロ包装のフィルムとして利用されています。これらは外観や機能などによって選択されています。

ラップにもたくさんの種類がある


⁠食品用ラップにもさまざまな素材があることをご存じでしょうか。

Image

さまざまなラップ


⁠正直なところ、使用されている材料は見た目だけではほとんど見分けはつきません。ですが実際触れてみると、かなり質感や使い勝手が異なることが分かります。

⁠安価なラップに使われているのはPEです。PEは他の材料に比べて熱に弱いため、電子レンジでの使用には注意が必要です。

⁠耐久性や耐熱性を高めるためにPPなどの素材と混合したものや、バイオマス材料を使用したものなども販売されています。個人的な印象としては、PPが含まれたラップは若干ハリがあり、密着性が落ちる印象です。

⁠PVC(塩化ビニル)樹脂は伸縮性が高く耐久性が高いため、業務用としてよく使用されています。よく伸びるため、ラップが切りにくい印象があります。

PVDC(ポリ塩化ビニリデン)は耐熱性が高く、さらにバリア性が高い高機能素材です。比較的高価なラップに使用されています。冷蔵庫の中のにおいが食品についてしまうことを防いでくれるため、製菓や製パンの際にはポリ塩化ビニリデン製のラップを使用するようにと書かれたレシピもあります。

⁠PEが「無添加」などと環境にやさしいことをアピールしていることがある一方、塩化ビニル樹脂は可塑剤という添加剤が使用されています。可塑剤というのは、樹脂をやわらかくするためのものです。もちろん食品に使用しても人体に影響のないことは試験で確認されているので、心配はありません。

⁠ラップを選ぶ際は値段だけでなく、機能や使い勝手、また添加物や環境への配慮という点でもぜひ素材に注目してみてください。

⁠>>ここで出てきたプラスチックは「PlaBase プラスチック事典」でチェック!

Image

>>>>連載「生活とプラスチック」一覧 

新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。⁠Twitter ID:@jilljean0506