ギガキャスト、アルミ大型部品とその周辺の展示から:人テク2026横浜取材から(4)

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この記事について

自動車用途プラスチックの第一人者が見た、⁠「⁠人とくるまのテクノロジー展 2026YOKOHAMA」は? 今回は、近年話題となっているギガキャストと、その周辺技術を紹介する。

(執筆:高原 忠良/Tech―T)


⁠2026年5月27日~29日、パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)が開催された。 筆者は、自動車関連プラスチックの視点から、3日間にわたり現地取材を実施した。 

人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMAでは、樹脂材料や成形技術に加え、自動車の車体構造そのものを変革する可能性を持つ金属加工技術の展示も注目を集めた。今回は、近年話題となっているギガキャストと、その周辺技術に焦点を当てて紹介したい。
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ギガキャストとは、アルミニウム合金を用いた超大型ダイカスト部品のことである。2020年にテスラのモデルYで採用されたことを契機に、自動車業界全体へ急速に広がった。従来は数十点のプレス部品と多数の溶接工程で構成されていた車体後部構造を、一体成形された大型部品へ置き換えることで、部品点数の削減、製造工程の簡素化、軽量化、コスト低減を実現している。特に中国EVメーカー各社が積極的に導入を進めており、車体構造の新たな潮流となりつつある。

展示会では、リョービがギガキャスト関連技術を紹介していた。同社は静岡県の菊川工場にUBEマシナリー製6500トンクラスの超大型ダイカストマシンを導入し、大型構造部品の生産技術を検討している。展示された大型アルミ部品(写真1)からは、日本メーカーにおいてもギガキャストへの取り組みが着実に進んでいることがうかがえた。

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写真1 リョービ/ギガキャスト


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一方で、ギガキャストには課題も多い。超大型設備の導入には巨額の投資が必要であり、装置や金型の輸送・据付も容易ではない。さらに、大型金型の保守やハンドリング、生産停止時の影響なども無視できない。そのため、自動車メーカーやサプライヤー各社は、ギガキャスト以外の方法による車体部品の大型化・一体化も模索している。

その一例が、株式会社山田製作所とカナダのマーティンレアオートモーティブによる共同展示である。両社は大型リアサブフレームを展示していた。詳細は公表されていないものの、ギガキャストではなく、低圧鋳造技術を活用した構造部品と考えられる。低圧鋳造は、生産性ではダイカストに及ばないが、設備投資を抑えやすく、大型部品にも対応しやすいという特徴を持つ。用途によっては有力な選択肢となり得るだろう。

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写真2 リアサブフレーム(株式会社山田製作所とマーティンレアオートモーティブによる共同展示)


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さらに興味深かったのが、JFEスチールの提案である。同社は「ギガキャスト対抗技術」ともいえる鋼板一体成形技術を展示していた。リアフロアからホイールハウスまでを含む大型部品(写真3)では、従来6部品だった構成を1部品へ集約している。深絞りによる割れやしわの抑制技術に加え、レーザー溶接技術を組み合わせることで、高い一体化を実現していた。

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写真3 JFEスチール


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また、TWB(Tailor Welded Blank)技術も展示されていた。これは、異なる板厚や材質の鋼板を事前にレーザー溶接し、一体化した素材としてプレス成形する技術である。展示サンプルでは、車体サイドパネル(写真4)の部品点数を20部品から3部品へ削減できるとしていた。アルミギガキャストとは異なるアプローチながら、部品点数削減や軽量化、生産効率向上という目標は共通している。

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写真4 JFEスチール/TWBによる異種パネル一体化


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今回の展示から見えてきたのは、車体構造の大幅な統合という大きな流れである。その手段はアルミギガキャストだけではなく、低圧鋳造や高機能プレス成形、TWBなど多岐にわたる。材料や工法は異なっても、部品点数削減と生産効率向上を目指す方向性は一致している。今後、自動車産業ではアルミと鋼板、それぞれの強みを活かした技術競争、さらには長繊維強化プラスチックへの転換などがさらに活発化すると考えられ、その動向に注目したい。

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プロフィール

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⁠高原忠良
(たかはら・ただよし) 
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⁠2020 年にTech―T設立。
⁠「現地現物」の精神で部品分解調査や、中国・東南アジア現地取材をもとに、⾃動⾞産業の将来動向まで多領域で情報発信中。
⁠プラスチックや樹脂部品生産や材料の生産・開発に携わる自動車用途プラスチックの第一人者。 
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⁠⁠1980 年、山形大学理学部卒。2008 年、山形大学理工学研究科卒(工学博士)。 
⁠⁠1980~1989 年、新日本無線(現:日清紡マイクロデバイス)。
⁠1989~2012 年、トヨタ自動車。
⁠2012~2018 年、サムスンSDIなどグローバル企業で勤務。 ⁠
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⁠⁠2017-2025年、埼玉工業大学 客員教授など産学両分野で活躍。 
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⁠セミナー・メーカー支援・中国視察ツアー・日経クロステックへの寄稿など幅広く活躍中。ホームページでも各種調査情報を元に、記事や動画を多数掲載 
⁠https://www.tech-t.jp/ 


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PlaBase編集部
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