2021.06.22DX

MIの導入支援サービスとは:マテリアルズインフォマティクス入門(3)

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この記事では…

マテリアルズインフォマティクス(MI)を導入しようと考えている企業向けに、支援サービスを提供している企業を紹介します。

(執筆:一之瀬 隼/ 製造業ライター)

前回は、マテリアルズインフォマティクス(MI)を活用して材料開発に取り組んだ事例を紹介しました。今回は、マテリアルズインフォマティクスの導入を進めるにあたり、支援サービスを提供している企業を見ていきましょう。

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導入時に支援サービスは必要なのか?

新たな取り組みを始める場合、支援サービスなど外部の知見を活用する場合と、自社単独で全てこなす場合があります。マテリアルズインフォマティクスを初めて導入する場合には、支援サービスなど外部の知見を取り入れる方がいいでしょう。

マテリアルズインフォマティクスを材料開発に適用するためには、(「マテリアルズインフォマティクス」とは何なのか?)の記事で説明したように、材料に対する知見、豊富なデータ、適切な機械学習アルゴリズムが必要です。

材料に対する知見は自社で確保できますが、適切な機械学習アルゴリズムの選定や機械学習に活用できるデータ形式の準備には、マテリアルズインフォマティクスに関する専門知識が必要です。

せっかく豊富なデータを集めても、不適切なアルゴリズムを使用してしまったり、せっかく集めたデータの形式が活用できない状態だったりすると、時間の無駄になってしまいます。このような状況を防ぐためには、導入支援サービスなど、外部の知見を活用するといいでしょう。

マテリアルズインフォマティクスの支援サービス提供企業

それでは、マテリアルズインフォマティクスの導入支援サービスを提供している企業を紹介します。「マテリアルズインフォマティクスを活用するための開発環境と機械学習アルゴリズムの提供」「これらを活用する際のサポート」が代表的な支援サービスの内容です。

長瀬産業「TABRASA」

長瀬産業は、世界的に有名なIT企業であるIBMと共同開発したTABRASAというサービスを提供しています。IBMのAIを用いて高い計算力や洞察力を実現しているアルゴリズムを、SaaS(Software as a Service)形式で提供しています。

具体的な活用方法としては、まずAIに文献や実験データを読み込ませることで、「材料の化学構造と物性値とにどのような関連性があるか?」を学習させます。そこから、ユーザーが求める材料の化学構造式を推測および提案してくれます。

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TABRASA の特徴
⁠(出典:長瀬産業 プレスリリース)

MI-6のMIサービス

MI-6は、「データ駆動型の材料開発」の実現を支援するためのソリューションとして、「Hands-on MI」「miHub」「Robotics」を開発・提供しています。

「Hands-on MI」では、マテリアルズインフォマティクスに精通したデータサイエンティストが材料開発を直接支援します。材料開発における技術コンサルティングに加えて、マテリアルズインフォマティクスに関する知識や技術を身に付けるための研修を提供しています。

「miHub」では、複雑な材料開発における実験条件の最適化を効率的に行うためのソフトウェアを提供し、かつデータサイエンティストなどが継続的にサポートします。

「Robotics」は他の企業が提供しているサービスと比べて、特徴的な内容になっています。マテリアルズインフォマティクスの導入支援では、データ解析や新たな組成の提案を機械学習アルゴリズムを用いますが、Roboticsではさらに、全自動型実験サイクルや実験データも提供します。これらのサービスを活用することで、材料開発担当者は効率的な材料開発を行うことが可能です。

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MI-6とキシダ化学、三井物産とで行ったMI活用事例の概要
⁠電池の性能発現に有効な難燃性電解液組成を発見、MIの有効性も確認
⁠(出典:MI-6 プレスリリース)

日立製作所の材料開発ソリューション

総合電機メーカーとして知られる日立製作所ですが、マテリアルズインフォマティクスを駆使した材料開発ソリューションも提供しています。

膨大なデータの分析には時間がかかりますが、日立が提供する材料データ分析環境を活用することで、短時間で分析を終えられます。材料の特性や知見を効率的に認識し、Webブラウザからデータを確認できる環境を整えることで、担当者間での円滑な情報共有が可能です。

また、分析環境を提供するだけではありません。データ分析を代行し結果のレポートを発行するサービスやコンサルティングサービスも提供しています。

支援サービスを活用してスムーズに導入を進める

自社単独でマテリアルズインフォマティクスを導入しようとした場合、時間をかけてもうまく活用できない状況に陥る可能性があります。

マテリアルズインフォマティクスの開発環境やコンサルティングなど、外部の知見を上手く利用することで、自社が持つ材料に関する知見を活かしながら効率よく開発を進めていけます。

マテリアルズインフォマティクスが注目されるにつれて、導入を支援する企業は増えています。自社で導入を進めていく際に、必要となる部分はどこなのかを見極めることで、適切なサポートを受け材料開発を加速させることが可能です。

次回は、マテリアルズインフォマティクスに必要不可欠な、材料データベースの構築方法や公開されている公共のデータベースを紹介します。

参考文献

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>>>>連載「マテリアルズインフォマティクス入門」一覧
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自動車部品メーカーの現役エンジニアとして、先行開発から量産展開まで幅広い業務を経験。2022年より新規事業開発に着手。企業としての活動に加えて、コロナ禍で誕生した子供に背中を見せられるように、個人として製造業にどう貢献できるかを模索しながら活動をしている。